その先にあるものは
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煉獄とのあの藤の家での邂逅以降、おかしなことが起こり始めた。
「任務ゥ!任務ゥ!合同任務ゥ!辛 煉獄杏寿郎ト合流ゥ!南南東ノ街デ起コル神隠シノ実態ヲ調査セヨォ!」
「また!?今月入って何回目!?」
思わず任務にケチをつけるがまぁ、組織で管理してるそれが烏ちゃんに言ったところで覆るわけもない。
これで何があったのかはお分かりいただけただろう。
そう。あれから何かしらの意図を感じるほど奴との合同任務の数が爆上がりしたのである。
だって前はそもそも合同任務なんてなかったのに。いきなりこんなん絶対なんかあるに決まってる。
しかし、組織にNOと言えるはずもなく、真面目人間な私は結局ブチブチ文句を言いながら南南東の街へ移動する。
その街は昼夜問わず人通りが多く、都市部程ではないが時代の流れに沿って栄えた大きな街だった。街の中心には大きな河が流れ、かつての文化と近代化文化を上手く調和させているように思う。
その街の南の橋で気乗りは一切しないが、煉獄と落ち合う予定となっていた。重い足取りのまま赴くとそこには日輪刀の入った竹刀袋を片手に持つ煉獄がいた。
私も時間より少し早めに来たつもりなんだけどそうなんだよ。コイツもめっちゃ…というか私なんかよりずぅーっと真面目君なんだよ。そんなとこが憎めないっていうかなんというか。
これで救いようのないくらいの欠点があればコイツのこと嫌いになれたんだけど無いんだよなぁ、悪いところが。いや、本当に。
因みに何故日輪刀を隠しているかというと前々回、今回と同じくらいの規模の街でこの廃刀令のご時世に刀を持っているだと!?警官呼べ!警官!!と大騒ぎになり、任務どころではなかったからである。そういえば鬼殺隊は非公認組織なんだと思い出した。
世の中上手くいかねぇなと思っていると煉獄は私が来たことに気付いたらしい。片腕を上げるといつものように爆音で喋り出す。
「鹿嶋!息災だったか!」
「つい二週間前も会ったけどね」
「それもそうだ!ワハハ!!」
「こっちはワハハじゃない…」
「む?泣いているのか!どうした!」
「アンタのせいですけど!?」
「すまん!心当たりはないので泣きやんでくれ!」
「相変わらずめちゃくちゃだな!お前!!」
ドヤ顔でそんなことを言う煉獄に思わず叫んだ後にドン引きした。
この男結構自由奔放なところがある。話していて退屈はしないが気疲れもなくはない。
今もそう。
心当たりが無いから泣き止めって。私だから良いものの他の女の子に言ったら往復ビンタもんである。
「アンタ、言い回しに気をつけなよ。じゃないとすぐ離縁されるどころか後ろから刺されるからな」
「まだ俺に伴侶はいないので大丈夫だ!気遣い感謝する!」
にっこー!と満面の笑みを浮かべる煉獄だけれども私はその対称的に半目である。なんだこのポジティブシンキング。
私とちょっと話してたら分かるでしょ?気遣ってないんだよ。怪我されるとこっちに任務が回ってきて迷惑だから言ってるんだよ。可愛くない?そんなの私が一番知ってる。
「お前…ホント、そういうとこだからな…」
最近煉獄と話す度に思う。私は本当に人間と話しているのだろうか。
※ ※ ※
煉獄と合流した後、私達はそれぞれ情報収集にあたることになった。
鬼は日の高い内は活動することは滅多にない。その為、下調べをしてからの任務の場合日中は情報収集をすることが多いのだ。
如何せん、人の多い街である。二手に別れたほうが情報もスムーズに集まるだろうということで私達は一時解散する運びになった。
私は耳を澄ませながら…特に噂好きの奥様方の声を聞きながら街中を歩きまわっていた。人の口に戸は建てられないし、特に女性というのは噂…スキャンダルが好きないきものである。そういうものはその手の専門家に聞くのが一番なのだ。
そして、刻限となり、待ち合わせの茶屋へ行けば既に山程団子を頼む煉獄の姿が。
既に馴染みの光景となってしまっていた私はそれに動じることなく、その隣に座ると本題に切り込んだ。
「煉獄、どうだった?」
「あぁ。神隠しが起こっているのは事実のようだ!
老若男女問わず気付いたら人間がいなくなっていると!」
「私も同じかな。付け加えると見張りの目があったにも関わらず神隠しにあった、目の前で突然神隠しを見た人がいるらしいよ」
「む。よもや…異能の鬼か?」
「多分ね」
茶屋の看板娘から受け取ったお団子を頬張り、煉獄の情報を肯定しながらその中でも気になる情報を伝えるとうまい!うまい!とご機嫌だった煉獄の眉間にシワが寄せられた。
異能の鬼とは文字通り血鬼術という異能を使う鬼のことである。
それなりの人間を食らった鬼に発言するそれは時に人智を超える効果を発揮するときがある。その術の効果も個々によって異なるので、十二分に過ぎるほど注意が必要だ。
私が即答するとうーむ、と煉獄は唸り声をあげる。
「鬼の居場所の検討はついているのか?」
「街の外れにある元武家屋敷。神隠しが始まったあたりから物音がするようになったんだって。それまで無人だったはずなのに」
元はこの街でも有数のお家のお屋敷だったのだが、時代の奔流に抗えず没落したのだそう。
今は人など住んでいるはずもない。
にも関わらず神隠しが起こったあたりから異変が起こるなど疑ってください、と言っているようなものだ。犯行自体は用心深いのになんとも雑な鬼である。
煉獄はそれを聞いて、うんうんと深く頷くとパン!っと膝を叩いて立ち上がる。
「それは重畳!では今夜お邪魔するとしよう!十二分に心してな!」
「…一人で突っ走らないでよ。つーか、煩い」
「ワハハ!善処しよう!」
あ〜コイツまた聞いてるけど聞いてねー。
どこを見ているのか分からない夕陽色の瞳が斜め上を向いたのを見て、コイツ…と私は少し青筋が浮かぶのを感じた。
「任務ゥ!任務ゥ!合同任務ゥ!辛 煉獄杏寿郎ト合流ゥ!南南東ノ街デ起コル神隠シノ実態ヲ調査セヨォ!」
「また!?今月入って何回目!?」
思わず任務にケチをつけるがまぁ、組織で管理してるそれが烏ちゃんに言ったところで覆るわけもない。
これで何があったのかはお分かりいただけただろう。
そう。あれから何かしらの意図を感じるほど奴との合同任務の数が爆上がりしたのである。
だって前はそもそも合同任務なんてなかったのに。いきなりこんなん絶対なんかあるに決まってる。
しかし、組織にNOと言えるはずもなく、真面目人間な私は結局ブチブチ文句を言いながら南南東の街へ移動する。
その街は昼夜問わず人通りが多く、都市部程ではないが時代の流れに沿って栄えた大きな街だった。街の中心には大きな河が流れ、かつての文化と近代化文化を上手く調和させているように思う。
その街の南の橋で気乗りは一切しないが、煉獄と落ち合う予定となっていた。重い足取りのまま赴くとそこには日輪刀の入った竹刀袋を片手に持つ煉獄がいた。
私も時間より少し早めに来たつもりなんだけどそうなんだよ。コイツもめっちゃ…というか私なんかよりずぅーっと真面目君なんだよ。そんなとこが憎めないっていうかなんというか。
これで救いようのないくらいの欠点があればコイツのこと嫌いになれたんだけど無いんだよなぁ、悪いところが。いや、本当に。
因みに何故日輪刀を隠しているかというと前々回、今回と同じくらいの規模の街でこの廃刀令のご時世に刀を持っているだと!?警官呼べ!警官!!と大騒ぎになり、任務どころではなかったからである。そういえば鬼殺隊は非公認組織なんだと思い出した。
世の中上手くいかねぇなと思っていると煉獄は私が来たことに気付いたらしい。片腕を上げるといつものように爆音で喋り出す。
「鹿嶋!息災だったか!」
「つい二週間前も会ったけどね」
「それもそうだ!ワハハ!!」
「こっちはワハハじゃない…」
「む?泣いているのか!どうした!」
「アンタのせいですけど!?」
「すまん!心当たりはないので泣きやんでくれ!」
「相変わらずめちゃくちゃだな!お前!!」
ドヤ顔でそんなことを言う煉獄に思わず叫んだ後にドン引きした。
この男結構自由奔放なところがある。話していて退屈はしないが気疲れもなくはない。
今もそう。
心当たりが無いから泣き止めって。私だから良いものの他の女の子に言ったら往復ビンタもんである。
「アンタ、言い回しに気をつけなよ。じゃないとすぐ離縁されるどころか後ろから刺されるからな」
「まだ俺に伴侶はいないので大丈夫だ!気遣い感謝する!」
にっこー!と満面の笑みを浮かべる煉獄だけれども私はその対称的に半目である。なんだこのポジティブシンキング。
私とちょっと話してたら分かるでしょ?気遣ってないんだよ。怪我されるとこっちに任務が回ってきて迷惑だから言ってるんだよ。可愛くない?そんなの私が一番知ってる。
「お前…ホント、そういうとこだからな…」
最近煉獄と話す度に思う。私は本当に人間と話しているのだろうか。
※ ※ ※
煉獄と合流した後、私達はそれぞれ情報収集にあたることになった。
鬼は日の高い内は活動することは滅多にない。その為、下調べをしてからの任務の場合日中は情報収集をすることが多いのだ。
如何せん、人の多い街である。二手に別れたほうが情報もスムーズに集まるだろうということで私達は一時解散する運びになった。
私は耳を澄ませながら…特に噂好きの奥様方の声を聞きながら街中を歩きまわっていた。人の口に戸は建てられないし、特に女性というのは噂…スキャンダルが好きないきものである。そういうものはその手の専門家に聞くのが一番なのだ。
そして、刻限となり、待ち合わせの茶屋へ行けば既に山程団子を頼む煉獄の姿が。
既に馴染みの光景となってしまっていた私はそれに動じることなく、その隣に座ると本題に切り込んだ。
「煉獄、どうだった?」
「あぁ。神隠しが起こっているのは事実のようだ!
老若男女問わず気付いたら人間がいなくなっていると!」
「私も同じかな。付け加えると見張りの目があったにも関わらず神隠しにあった、目の前で突然神隠しを見た人がいるらしいよ」
「む。よもや…異能の鬼か?」
「多分ね」
茶屋の看板娘から受け取ったお団子を頬張り、煉獄の情報を肯定しながらその中でも気になる情報を伝えるとうまい!うまい!とご機嫌だった煉獄の眉間にシワが寄せられた。
異能の鬼とは文字通り血鬼術という異能を使う鬼のことである。
それなりの人間を食らった鬼に発言するそれは時に人智を超える効果を発揮するときがある。その術の効果も個々によって異なるので、十二分に過ぎるほど注意が必要だ。
私が即答するとうーむ、と煉獄は唸り声をあげる。
「鬼の居場所の検討はついているのか?」
「街の外れにある元武家屋敷。神隠しが始まったあたりから物音がするようになったんだって。それまで無人だったはずなのに」
元はこの街でも有数のお家のお屋敷だったのだが、時代の奔流に抗えず没落したのだそう。
今は人など住んでいるはずもない。
にも関わらず神隠しが起こったあたりから異変が起こるなど疑ってください、と言っているようなものだ。犯行自体は用心深いのになんとも雑な鬼である。
煉獄はそれを聞いて、うんうんと深く頷くとパン!っと膝を叩いて立ち上がる。
「それは重畳!では今夜お邪魔するとしよう!十二分に心してな!」
「…一人で突っ走らないでよ。つーか、煩い」
「ワハハ!善処しよう!」
あ〜コイツまた聞いてるけど聞いてねー。
どこを見ているのか分からない夕陽色の瞳が斜め上を向いたのを見て、コイツ…と私は少し青筋が浮かぶのを感じた。
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