おはよう。
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本日の天候 冬時々ーー春。
「おっしゃ、できた!空から降ってきた男"雪だるさん"だ!」
「見よ!おれ様の魂の芸術"スノウクイーン"!!」
「わぁ、雪だるさん可愛い〜!でもウソップくんも超すご〜い!!」
双子岬を出てから暫く。留めなく降る雪は豪雪となり、ナミから雪かきを命じられていたルフィとウソップであるがいつの間にか雪遊びに様変わりしていた。
防寒具を着込んだユイリはその監視を命じられていたが、ブラコンを胸を張って自称する彼女が最愛の弟のルフィがはしゃぐ姿を咎めることがあるはず無くーー
二人の傍らで観客に転身していた。
ルフィはその名のとおり、バケツやどこから持ってきたのか木の棒を使って雪だるまを、ウソップは手先が器用なのだろう。ユイリも思わず感嘆した見事な女性の雪像を作りあげていた。
細部の表現に余念がなく、職人気質が垣間見えた。
「ユイリは作んねェのか?」
「いや〜、私はお恥ずかしながらこんなのしか…」
しかし、ユイリとて雪遊びを目の前で見せられてジッとしていられるほど良い子ちゃんでない。
ウソップに言われてせっせと造っていたそれを見せると、ウソップとルフィは雄叫びを上げる。
「うぉー!!ミニチュア版メリー号が出来とるー!!」
「ユイリスゲーな!!」
恥ずかしそうにするユイリの隣にはスノウクイーンと同サイズの雪像 ゴーイングメリー号が鎮座していた。
誰が見てもゴーイングメリー号だとわかる雪像にーー何でも出来る、と双子岬で言ってはいたがーー自分でいうだけはあるとウソップは内心感心する。
口に出さないのはユイリが雪像を作ったのは自慢する為ではなく自分達に楽しんでもらいたいと思っていたから、というのとあと一つは。
「きゃ〜!ルフィくんに褒められちゃった〜!ルフィくんの雪だるさんもカッコイイよ〜!」
「ブラコンもそこまでいくと病気だな、お前…」
弟の賞賛以外は蝉の声と同じ。右から左に聞き流す(本人談)だからだ。
まぁ、ブラコンなど言ったところでそれを褒め言葉に捉える、都合の良い思考回路を持ったのがクラウス・D・ユイリという人間だ。
そのあたりは流石ルフィの血縁である。あの自分に都合よく物事を解釈する悪癖は血族に伝わるものなのかもしれないと一味皆は思った。
ユイリの言葉に気を良くしたルフィは「ユイリ!見とけよ!」とユイリが見守る中雪だるさんの背後に回り込む。
何をするのか、と見守っていると。
「雪だるパンチ!」
「あらら…」
ルフィは器用に雪だるさんの腕にあった木の棒を押し出し、棒は正面にあったスノウクイーンの頭部を貫通。いとも容易くウソップ渾身の雪像 スノウクイーンを破壊してしまったのである。
「何やっとんじゃおのれー!!!」
「がァーーー!!!雪だるさんーーー!!!」
ルフィからの突然の暴挙に当然ウソップは怒った。スノウクイーン頭部破壊の報復としてウソップは雪だるさんを蹴りで粉砕し応戦する。
そうなった後は語るまでもない。
「若いね〜…私のスノウメリーちゃんも壊しちゃって……」
乱闘騒ぎから雪合戦になっていること自体は褒めるべきだろうが、いかんせん激しすぎるそれにユイリは遠い目をした。若さ故のものだろうか…?と思ったが、同年代のナミは船室だし、多分この二人が特別若いんだろうなと思う。
ユイリ作スノウメリー号は雪像だ。当然ながら動けるはずもなく、ルフィから逃げるウソップに盾にされ、あっさりと豪速球雪玉に粉砕された。あっけない終わりであった。
ナミに召使いのように使われるサンジを働き者だなぁ、と視界の隅に捉えつつユイリはボケ〜っと若人の雪合戦を観戦していた。
流石にあれに混ざるほど若くはないのだ。体力面でなく、精神面の話である。
「あーーーーっ!!!!」
「何だァ?」
「何事っすかナミさん!!」
突如響いたナミの大声に一味は動かしていた手を止めて、船室から飛び出して来るナミを見上げた。
「180度船を旋回!急いで!!」
「180度?何で引き返すんだ?」
「忘れ物でもしたか?」
「違うわよ!船がいつの間にか反転して逆走してるの!ほんのちょっと記録指針から目を離した隙に!波は静かだったはずなのに…!」
「え〜?誰が舵取ってるかと思ったら取ってなかったのぉ?駄目じゃん」
「ユイリ!知ってたなら言いなさいよ!!!」
「双子岬でクロッカス先生とちゃんと言ったでしょ?海の上で信じるものは記録指針だけって」
「あんなサラって言われただけで分かるか!!!」
「え〜、我儘ぁ」
鬼の形相で叫んでくるナミにユイリはそうため息をついた。
メリー号はそれからてんやわんや。余計なことを言ったらしいMr.9とミス・ウェンズデーすらもナミに船室から蹴りだされ、顎で使われる始末。
雪が止んだと思ったら雷が落ちたり、晴れたと思えば春一番。氷山が流れてきたと思えば霧が出てくる。
偉大なる航路の洗礼とも言える意味不明な天候の変わり様にナミは「何なのよこの海はー!」っと半泣きだ。
それでも的確な指示を出し続けるのは彼女が腕の良い航海士の証だった。
気候が安定した為か、カモメの穏やかな鳴き声が聞こえる。
なんとか窮地は脱したようで一様にぐったりと倒れ込むメンバーなど知ったこっちゃないとルフィはデッキの、ユイリは甲板の手すりに座って太陽光発電していた。
そんな中、起こしても起こしてもグースカピーピー眠り続けていた男がむっくりと起き上がり、あくびを零す。
「あー、寝た。ん?
…おいおい、いくら気候がいいからってだらけすぎだろ?ちゃんと進路は取れてんだろうな」
((お前……!!!))
今まで呑気に眠りこけていた人間の台詞おは思えない発言に一同に殺意が芽生えた。
お前が寝ている間こっちがどれだけ大変だったと…!!といった感じである。
「…!?お前らが何でこの船に?」
「おそーーっ!!」
「今そいつらの町に向かってんだ」
「まさか送ってやんのか?何の義理もねェだろ」
「うん。ねェよ」
表情を変えることなく言い切るルフィにゾロは呆れた表情。
怪しい人間を義理がないのに送り届けるなど前代未聞。それどころか謎のコードネームを互いに呼び合う間柄の人間だ。ろくなことが無いのは目に見えている。
しかし、船長が送ると言っているのであればたとえ99%黒の塒でも答えはイエスしか無いのだ。
「で、ルフィの姉ちゃんは何でいるんだ?」
「仲間にした」
「仲間になりました〜!よろしくねぇ」
「お、おう……そうか」
そう、ルフィの突拍子の無い行動は今に始まったことではないのだ。
ひとまず、ゾロはユイリのことは後回しにすると決めたらしい。
怪しさ満点なお客人 Mr.9とミス・ウェンズデー。その二人の前にしゃがむとゾロは人のことを言えない悪い笑みを浮かべる。
「…にしても…悪ィこと考える顔してんなァ…名前…何つったかな、お前ら…!」
「み…Mr.9と申します」
「ミス・ウェンズデーと申します……」
「そう…どうもその名を初めて聞いた時から引っかかってんだ、おれは。
どこかで聞いたことがあるような…ないような……!!」
怪しい真似をするなと言うつもりだろうとユイリは推測した。
実際、ユイリが言えた義理ではないが彼らはどうも怪しい。ユイリにはラブーンの件もあり、挙動不審になるのは仕方無いとしてルフィや他の面々にもどこかビクついており、不審の一言だ。
いずれにせよ船が一隻も出港しない町の住人で、その内情を知る人間を信じるほうがどうかしている。警戒するに越したことはない。
麦わらの一味の嫌われ役というか監視役に落ち着きつつあるゾロは、彼らに警告寄りの忠告をするつもりだった。
だが。
「まァいずれにし…」
ーーゴン!!!
「ろ!!!?」
「わぁ…痛そ〜」
甲板に倒れていたナミが無言でゆらりと幽鬼の如く立ち上がったかと思えばゾロの背後へ。そして力いっぱい拳を緑髪へ振り下ろし制裁を加えたのである。
鬼の形相のナミと、意味のわからないままたんこぶタワーを頭に建設したゾロとを見て、一味の力関係を目の当たりにしたユイリはナミに逆らうことは極力やめようと決意した。
「今やっとこの海の恐ろしさが認識できたわ。"偉大なる航路"と呼ばれる理由も理解できた!
この私の航海術が通じないんだから間違いないわ!!!」
「オイ、大丈夫か」
胸を張ってはいけないところに張っている航海士にウソップが突っ込む。不安になるのは仕方が無い。
海の上では航海士の指示のもとクルーが船を操る。言わば、航海士は船の要である。海の上では航海士がクルーの命を握っていると言っても過言ではないのだ。その航海士の航海術が通じないと断言すれば誰でも不安になる。
「大丈夫よ!きっとなんとかなる。その証拠にほら!」
ナミの視線の先に島があった。
「一本目の航海が終わった」
第一の島 ウィスキーピークだ。
「おっしゃ、できた!空から降ってきた男"雪だるさん"だ!」
「見よ!おれ様の魂の芸術"スノウクイーン"!!」
「わぁ、雪だるさん可愛い〜!でもウソップくんも超すご〜い!!」
双子岬を出てから暫く。留めなく降る雪は豪雪となり、ナミから雪かきを命じられていたルフィとウソップであるがいつの間にか雪遊びに様変わりしていた。
防寒具を着込んだユイリはその監視を命じられていたが、ブラコンを胸を張って自称する彼女が最愛の弟のルフィがはしゃぐ姿を咎めることがあるはず無くーー
二人の傍らで観客に転身していた。
ルフィはその名のとおり、バケツやどこから持ってきたのか木の棒を使って雪だるまを、ウソップは手先が器用なのだろう。ユイリも思わず感嘆した見事な女性の雪像を作りあげていた。
細部の表現に余念がなく、職人気質が垣間見えた。
「ユイリは作んねェのか?」
「いや〜、私はお恥ずかしながらこんなのしか…」
しかし、ユイリとて雪遊びを目の前で見せられてジッとしていられるほど良い子ちゃんでない。
ウソップに言われてせっせと造っていたそれを見せると、ウソップとルフィは雄叫びを上げる。
「うぉー!!ミニチュア版メリー号が出来とるー!!」
「ユイリスゲーな!!」
恥ずかしそうにするユイリの隣にはスノウクイーンと同サイズの雪像 ゴーイングメリー号が鎮座していた。
誰が見てもゴーイングメリー号だとわかる雪像にーー何でも出来る、と双子岬で言ってはいたがーー自分でいうだけはあるとウソップは内心感心する。
口に出さないのはユイリが雪像を作ったのは自慢する為ではなく自分達に楽しんでもらいたいと思っていたから、というのとあと一つは。
「きゃ〜!ルフィくんに褒められちゃった〜!ルフィくんの雪だるさんもカッコイイよ〜!」
「ブラコンもそこまでいくと病気だな、お前…」
弟の賞賛以外は蝉の声と同じ。右から左に聞き流す(本人談)だからだ。
まぁ、ブラコンなど言ったところでそれを褒め言葉に捉える、都合の良い思考回路を持ったのがクラウス・D・ユイリという人間だ。
そのあたりは流石ルフィの血縁である。あの自分に都合よく物事を解釈する悪癖は血族に伝わるものなのかもしれないと一味皆は思った。
ユイリの言葉に気を良くしたルフィは「ユイリ!見とけよ!」とユイリが見守る中雪だるさんの背後に回り込む。
何をするのか、と見守っていると。
「雪だるパンチ!」
「あらら…」
ルフィは器用に雪だるさんの腕にあった木の棒を押し出し、棒は正面にあったスノウクイーンの頭部を貫通。いとも容易くウソップ渾身の雪像 スノウクイーンを破壊してしまったのである。
「何やっとんじゃおのれー!!!」
「がァーーー!!!雪だるさんーーー!!!」
ルフィからの突然の暴挙に当然ウソップは怒った。スノウクイーン頭部破壊の報復としてウソップは雪だるさんを蹴りで粉砕し応戦する。
そうなった後は語るまでもない。
「若いね〜…私のスノウメリーちゃんも壊しちゃって……」
乱闘騒ぎから雪合戦になっていること自体は褒めるべきだろうが、いかんせん激しすぎるそれにユイリは遠い目をした。若さ故のものだろうか…?と思ったが、同年代のナミは船室だし、多分この二人が特別若いんだろうなと思う。
ユイリ作スノウメリー号は雪像だ。当然ながら動けるはずもなく、ルフィから逃げるウソップに盾にされ、あっさりと豪速球雪玉に粉砕された。あっけない終わりであった。
ナミに召使いのように使われるサンジを働き者だなぁ、と視界の隅に捉えつつユイリはボケ〜っと若人の雪合戦を観戦していた。
流石にあれに混ざるほど若くはないのだ。体力面でなく、精神面の話である。
「あーーーーっ!!!!」
「何だァ?」
「何事っすかナミさん!!」
突如響いたナミの大声に一味は動かしていた手を止めて、船室から飛び出して来るナミを見上げた。
「180度船を旋回!急いで!!」
「180度?何で引き返すんだ?」
「忘れ物でもしたか?」
「違うわよ!船がいつの間にか反転して逆走してるの!ほんのちょっと記録指針から目を離した隙に!波は静かだったはずなのに…!」
「え〜?誰が舵取ってるかと思ったら取ってなかったのぉ?駄目じゃん」
「ユイリ!知ってたなら言いなさいよ!!!」
「双子岬でクロッカス先生とちゃんと言ったでしょ?海の上で信じるものは記録指針だけって」
「あんなサラって言われただけで分かるか!!!」
「え〜、我儘ぁ」
鬼の形相で叫んでくるナミにユイリはそうため息をついた。
メリー号はそれからてんやわんや。余計なことを言ったらしいMr.9とミス・ウェンズデーすらもナミに船室から蹴りだされ、顎で使われる始末。
雪が止んだと思ったら雷が落ちたり、晴れたと思えば春一番。氷山が流れてきたと思えば霧が出てくる。
偉大なる航路の洗礼とも言える意味不明な天候の変わり様にナミは「何なのよこの海はー!」っと半泣きだ。
それでも的確な指示を出し続けるのは彼女が腕の良い航海士の証だった。
気候が安定した為か、カモメの穏やかな鳴き声が聞こえる。
なんとか窮地は脱したようで一様にぐったりと倒れ込むメンバーなど知ったこっちゃないとルフィはデッキの、ユイリは甲板の手すりに座って太陽光発電していた。
そんな中、起こしても起こしてもグースカピーピー眠り続けていた男がむっくりと起き上がり、あくびを零す。
「あー、寝た。ん?
…おいおい、いくら気候がいいからってだらけすぎだろ?ちゃんと進路は取れてんだろうな」
((お前……!!!))
今まで呑気に眠りこけていた人間の台詞おは思えない発言に一同に殺意が芽生えた。
お前が寝ている間こっちがどれだけ大変だったと…!!といった感じである。
「…!?お前らが何でこの船に?」
「おそーーっ!!」
「今そいつらの町に向かってんだ」
「まさか送ってやんのか?何の義理もねェだろ」
「うん。ねェよ」
表情を変えることなく言い切るルフィにゾロは呆れた表情。
怪しい人間を義理がないのに送り届けるなど前代未聞。それどころか謎のコードネームを互いに呼び合う間柄の人間だ。ろくなことが無いのは目に見えている。
しかし、船長が送ると言っているのであればたとえ99%黒の塒でも答えはイエスしか無いのだ。
「で、ルフィの姉ちゃんは何でいるんだ?」
「仲間にした」
「仲間になりました〜!よろしくねぇ」
「お、おう……そうか」
そう、ルフィの突拍子の無い行動は今に始まったことではないのだ。
ひとまず、ゾロはユイリのことは後回しにすると決めたらしい。
怪しさ満点なお客人 Mr.9とミス・ウェンズデー。その二人の前にしゃがむとゾロは人のことを言えない悪い笑みを浮かべる。
「…にしても…悪ィこと考える顔してんなァ…名前…何つったかな、お前ら…!」
「み…Mr.9と申します」
「ミス・ウェンズデーと申します……」
「そう…どうもその名を初めて聞いた時から引っかかってんだ、おれは。
どこかで聞いたことがあるような…ないような……!!」
怪しい真似をするなと言うつもりだろうとユイリは推測した。
実際、ユイリが言えた義理ではないが彼らはどうも怪しい。ユイリにはラブーンの件もあり、挙動不審になるのは仕方無いとしてルフィや他の面々にもどこかビクついており、不審の一言だ。
いずれにせよ船が一隻も出港しない町の住人で、その内情を知る人間を信じるほうがどうかしている。警戒するに越したことはない。
麦わらの一味の嫌われ役というか監視役に落ち着きつつあるゾロは、彼らに警告寄りの忠告をするつもりだった。
だが。
「まァいずれにし…」
ーーゴン!!!
「ろ!!!?」
「わぁ…痛そ〜」
甲板に倒れていたナミが無言でゆらりと幽鬼の如く立ち上がったかと思えばゾロの背後へ。そして力いっぱい拳を緑髪へ振り下ろし制裁を加えたのである。
鬼の形相のナミと、意味のわからないままたんこぶタワーを頭に建設したゾロとを見て、一味の力関係を目の当たりにしたユイリはナミに逆らうことは極力やめようと決意した。
「今やっとこの海の恐ろしさが認識できたわ。"偉大なる航路"と呼ばれる理由も理解できた!
この私の航海術が通じないんだから間違いないわ!!!」
「オイ、大丈夫か」
胸を張ってはいけないところに張っている航海士にウソップが突っ込む。不安になるのは仕方が無い。
海の上では航海士の指示のもとクルーが船を操る。言わば、航海士は船の要である。海の上では航海士がクルーの命を握っていると言っても過言ではないのだ。その航海士の航海術が通じないと断言すれば誰でも不安になる。
「大丈夫よ!きっとなんとかなる。その証拠にほら!」
ナミの視線の先に島があった。
「一本目の航海が終わった」
第一の島 ウィスキーピークだ。
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