運命と出会う
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【運命】なんて生まれてこの方20年信じていなかった。
けれど、彼との出会いは間違いなく運命だと出会った瞬間感じたのだ。
そもそも、わたしーー訳あってファミリーネームは伏せさせてもらうがーーアイラには、生まれた時から父親という存在がいなかった。
悪い意味で有名人だったので顔と名前は一方的に知ってはいるが、父親として対面したことはない。
母曰く【酒とその場のノリと勢いでデキちゃった♡】なわたしのことなど知る由もないだろう。わたしとしても一夜の過ちで父親になってしまった人と対面する勇気はないのだが。
加えて、母は豪胆な性格をしていたがわたしを産んでから身体を悪くしていたらしく幼少期に病気で亡くした。
そんな子供がそんな夢を見る暇などあるか?と問われたら間違いなくNOである。
運良く母の友人だという目つきが鋭い育ての親に引き取られはしたが、鍛錬に明け暮れ、世間一般でいう【普通】の生活からはかけ離れたスパルタでデンジャラスな日々に、夢を見る暇があるのなら是非教えていただい所存である。
それでも、強くなることがわたしの身を守る唯一にして最大の守りであることは幼いながらに理解していたわたしは、自分から教えを請う程には稽古を楽しんでいたと思う。
師曰く【才能がある】らしいわたしは毎日が楽しくて仕方なかった。
剣に日々慣れ親しんでいくことも、彼に相手取ってもらうこともとても嬉しかったのだ。
ただ、思い出したかのように突発的に発生するドキドキ☆ジャングルサバイバルは心臓に悪いのでもう二度としたくはない。幼子を刀1つで密林に放り込む所業をやる鬼畜など海広しといえどあの人くらいでは無いだろうか。
そんな育ての親はわたしが15歳の時に袂を分かっている。
…というか、15歳になった次の日に置き手紙を残して置いて行かれた。
曰く、子連れ狼を今日で卒業する。これからは自分の身は自分で守れ。
要約すればそんな事が書いてあった。
淡白なわたし達らしい別れだった。5年前の話である。
それから、わたしは賞金稼ぎとして細々と生きていた。
生きるためにはやはり金は必要不可欠だ。愛があれば生きていけるなどと宣う人間がたまにいるが金は食べ物に変えられても愛は変えられない。世の中は無情なのだ。
金を稼ぐ方法として、一番に思い浮かぶのは働くことだ。
しかし、育ての親も口数はそう多くなく、人ともそう関わってこなかったわたしは若干人見知りの気があり、働いてお金を稼ぐという事に抵抗を感じた。生真面目に毎日働くというのもしっくり来ない。
なので、自分が自由に動けて且つ稼げる職ーー賞金稼ぎになることにした。
幸運なことにそれなりに力があるわたしはいつ、誰が言い出したのかは知りもしないが【銀狼】という異名付きの賞金稼ぎとしてが食いっぱぐれることなく今日まで命を繋いでいる。