私の自慢の旦那様(シリーズ)
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※モブ視点
『すみません。このポイントカードってすぐ作れますか?』
そのお客様は結構若いカップルで、女性の方が丁寧にそう尋ねてきました。あ、私は三門市の郊外にあるホームセンターのしがない店員です。うちはとあるショッピングモールの四分の一くらいの面積にある家具なんかも取り扱うそこそこ大型の店舗ですが、今日は比較的お客さんが少なく、私も心に余裕があります。忙しい日のポイントカードご案内なんて、結構辛いですからね!
「はい、いくつか必要事項を用紙にご記入いただければ。お作りされますか?」
『だって。作っていい?』
「いいんじゃねーか?これからちょくちょくくるだろ。」
「お会計の後からでもポイントつけられますよー。」
そうご案内すると、お客様は先に会計を済まされるということなのでまずはレジを打ちます。ってか、男性の方どこかで見たことある気がする…?こんなかっこいい顔の人会ったことあれば忘れないと思うんだけどなぁ。さらっと支払いも彼がしようとしてるなぁ。財布取り出す動きと流れがスマートすぎない?
「配送も頼むんだろ?」
『あ、そうだった!ポイントカードと一緒にお願いできますか?』
「かしこまりましたー。」
確かに、大きな家具のバーコードもお持ちになっているようです。お引越しかな?ペアものの小物もいくつか買っておられるので兄妹?姉弟?の線は間違いなく消えたな、うん。
…と、いうわけで無事お会計を済まされたのでサービスコーナーに移動してまずはポイントカードを作るための用紙を差し出します。
「こちらの枠の中のご記入をお願いします。」
「俺書くわ。」
『うん、お願い。あ、でも私の名前で作りたい。』
「俺のでいいだろ。」
おやおや、揉めてる?といってもお二人の雰囲気はちっとも悪くないですけど。仲良いんだろうな。ふむ、苗字は荒船さんというのか。荒船、荒船…やっぱりどこかで??芸能人?とってもお顔素敵ですし。でも俳優さんとかじゃなかった気がするなぁ。奥さんも派手すぎず可愛らしい雰囲気の方でお似合いって感じですけど。
『でも、絶対私の方が来る頻度高いもん。あ、でも名前もうすぐ変わる…』
「んじゃ、荒船なまえで作っとくな。」
『え。』
「別にいいだろ。」
『あ、荒船なまえ…。うわ、なんか恥ずかしい…。』
むしろただの仲良しかっ!わー、ゴチソウサマデス。ってか、新婚さんだったんですね。
というより女性がもうすぐ名前変わるって言ってるから新婚さん目前カップル?ここで、「ご結婚されるんですかー、おめでとうございますー!」とかいう勇気は私にはないのでいつもの営業スマイル2割増ぐらいでニコニコしときますね。
「なまえ、新しい家の住所覚えてるか?」
『んーっとね、』
さっきまでサラサラとペンを進めていた男性が、住所の市まで書いたところでその手を止めました。所作がずいぶんスマートだった上に彼女さんの生年月日も手を止めることなく書かれていたので意外でしたが、今度は彼女さんの方がスラスラと住所を彼氏さんに伝えています。すでに熟年夫婦のような阿吽の呼吸ってやつですね。私の心の中でも彼氏彼女じゃなくて、旦那さんと奥さんって呼んだ方がいいですか?
「なまえの番号は、っと…。これであってるか?」
『ん?うん。あってる。ってか、哲次そういうの大抵覚えてるじゃん。』
「ま、一応な。」
「では、確認をさせていただきますー。」
そういうの聞くくらいなら奥さんに書いてもらってくださいよ。でもまあ、微笑ましい会話も聞けたんでいいですけど。記入事項に間違いがないか読み上げながら確認しつつ、そんなことしか浮かばない私の頭大丈夫か。その後スムーズに、ポイントカードの説明と発行、配送手続きが終わりまして。お二人ともありがとうございました、とご丁寧にお辞儀されましてサービスコーナーを後にされました。旦那さんの方なんて被ってたキャップちゃんと一瞬脱いでお礼してくれましたよ。こういう優しいお客さまの対応は、ホッとしますね。
『哲次ー、なんか食べて帰ろうよ。』
「おう。食いたいもんあるか?」
『うーん、そうだなぁ…』
そんな微笑ましい会話が微かに聞こえてきて、ここまで幸せオーラ出されると僻む気にもならずこっちもなんか幸せになれそうです。よく見たらさっきまでベタベタって感じでもなかったのにしっかり手も繋がれてますね。大きい荷物は旦那さんの手に小さい荷物は彼女さんの手にってやっぱり完璧じゃないですか。
お見送りを終えたので、仕事に戻りましょう。その後しばらくして不意に視界に入ったレジャー用のコーナーに置いてあるキャップ。さっきの方も確か似たようなの被ってたな。
…ん?帽子?そして荒船??哲次???
(あーー!!!)
「お前変な顔してどした?」
「…ボーダーの人だ!」
そこでようやく、先ほどのお客様の正体に気がついた私を同僚が変な顔で見ていたのなんて、どうでもいい話ですね。
ーーーーー
22.05.20
『すみません。このポイントカードってすぐ作れますか?』
そのお客様は結構若いカップルで、女性の方が丁寧にそう尋ねてきました。あ、私は三門市の郊外にあるホームセンターのしがない店員です。うちはとあるショッピングモールの四分の一くらいの面積にある家具なんかも取り扱うそこそこ大型の店舗ですが、今日は比較的お客さんが少なく、私も心に余裕があります。忙しい日のポイントカードご案内なんて、結構辛いですからね!
「はい、いくつか必要事項を用紙にご記入いただければ。お作りされますか?」
『だって。作っていい?』
「いいんじゃねーか?これからちょくちょくくるだろ。」
「お会計の後からでもポイントつけられますよー。」
そうご案内すると、お客様は先に会計を済まされるということなのでまずはレジを打ちます。ってか、男性の方どこかで見たことある気がする…?こんなかっこいい顔の人会ったことあれば忘れないと思うんだけどなぁ。さらっと支払いも彼がしようとしてるなぁ。財布取り出す動きと流れがスマートすぎない?
「配送も頼むんだろ?」
『あ、そうだった!ポイントカードと一緒にお願いできますか?』
「かしこまりましたー。」
確かに、大きな家具のバーコードもお持ちになっているようです。お引越しかな?ペアものの小物もいくつか買っておられるので兄妹?姉弟?の線は間違いなく消えたな、うん。
…と、いうわけで無事お会計を済まされたのでサービスコーナーに移動してまずはポイントカードを作るための用紙を差し出します。
「こちらの枠の中のご記入をお願いします。」
「俺書くわ。」
『うん、お願い。あ、でも私の名前で作りたい。』
「俺のでいいだろ。」
おやおや、揉めてる?といってもお二人の雰囲気はちっとも悪くないですけど。仲良いんだろうな。ふむ、苗字は荒船さんというのか。荒船、荒船…やっぱりどこかで??芸能人?とってもお顔素敵ですし。でも俳優さんとかじゃなかった気がするなぁ。奥さんも派手すぎず可愛らしい雰囲気の方でお似合いって感じですけど。
『でも、絶対私の方が来る頻度高いもん。あ、でも名前もうすぐ変わる…』
「んじゃ、荒船なまえで作っとくな。」
『え。』
「別にいいだろ。」
『あ、荒船なまえ…。うわ、なんか恥ずかしい…。』
むしろただの仲良しかっ!わー、ゴチソウサマデス。ってか、新婚さんだったんですね。
というより女性がもうすぐ名前変わるって言ってるから新婚さん目前カップル?ここで、「ご結婚されるんですかー、おめでとうございますー!」とかいう勇気は私にはないのでいつもの営業スマイル2割増ぐらいでニコニコしときますね。
「なまえ、新しい家の住所覚えてるか?」
『んーっとね、』
さっきまでサラサラとペンを進めていた男性が、住所の市まで書いたところでその手を止めました。所作がずいぶんスマートだった上に彼女さんの生年月日も手を止めることなく書かれていたので意外でしたが、今度は彼女さんの方がスラスラと住所を彼氏さんに伝えています。すでに熟年夫婦のような阿吽の呼吸ってやつですね。私の心の中でも彼氏彼女じゃなくて、旦那さんと奥さんって呼んだ方がいいですか?
「なまえの番号は、っと…。これであってるか?」
『ん?うん。あってる。ってか、哲次そういうの大抵覚えてるじゃん。』
「ま、一応な。」
「では、確認をさせていただきますー。」
そういうの聞くくらいなら奥さんに書いてもらってくださいよ。でもまあ、微笑ましい会話も聞けたんでいいですけど。記入事項に間違いがないか読み上げながら確認しつつ、そんなことしか浮かばない私の頭大丈夫か。その後スムーズに、ポイントカードの説明と発行、配送手続きが終わりまして。お二人ともありがとうございました、とご丁寧にお辞儀されましてサービスコーナーを後にされました。旦那さんの方なんて被ってたキャップちゃんと一瞬脱いでお礼してくれましたよ。こういう優しいお客さまの対応は、ホッとしますね。
『哲次ー、なんか食べて帰ろうよ。』
「おう。食いたいもんあるか?」
『うーん、そうだなぁ…』
そんな微笑ましい会話が微かに聞こえてきて、ここまで幸せオーラ出されると僻む気にもならずこっちもなんか幸せになれそうです。よく見たらさっきまでベタベタって感じでもなかったのにしっかり手も繋がれてますね。大きい荷物は旦那さんの手に小さい荷物は彼女さんの手にってやっぱり完璧じゃないですか。
お見送りを終えたので、仕事に戻りましょう。その後しばらくして不意に視界に入ったレジャー用のコーナーに置いてあるキャップ。さっきの方も確か似たようなの被ってたな。
…ん?帽子?そして荒船??哲次???
(あーー!!!)
「お前変な顔してどした?」
「…ボーダーの人だ!」
そこでようやく、先ほどのお客様の正体に気がついた私を同僚が変な顔で見ていたのなんて、どうでもいい話ですね。
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