序章
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結局、詩音の疲労も見てとれる状況と、城に潜入した2部隊からの通信もあり、それ以上の話はまた改めてということになった。風間隊出動はひとまず保留状態ということで、詩音の見張りという名目の世話をかってでた宇佐美。そして彼女たちを1対1にさせるのは危険だと部屋に残ったのは意外にも菊地原で。
「でも、意外ときくっちーも詩音ちゃんのこと心配してるんだね。」
「違います。変な動きしないか見張ってるだけ。」
『...これ、ほんとに食べていいんですか?』
「何?ぼくたちのこと疑える立場?」
「遠慮しなくていいよー。捕虜ってことだけど、丁重に扱えとも言われてるから、安心して。」
『い、いただきます。』
宇佐美と菊地原の言葉に促され、ゆっくりと出された食事を口に運ぶ詩音。それを静かに見守る2人。
『...おいしい。』
ぽつりと零れた詩音の言葉と少しだけ緩んだ表情に、2人は目を見開く。そのほんの僅かな変化が彼女の顔を随分と幼く見せたのだ。
「そんな顔するほどおいしい?普通だと思うけど。」
「全部食べていいからねー!」
『ありがとう、ございます。』
2人に見守られながら少し恥ずかしそうに食べ進める詩音。その器から、ほとんどのものが無くなる頃、部屋の扉が開く音がした。
「菊地原、宇佐美。応援要請だ。準備しろ。」
「太刀川さん達、手こずってるんですか?」
「いや、交渉は大方済んだらしい。さっき話を聞いたタンクを調べに行く。」
部屋に入ってきたのは風間で。その後ろには歌川も顔を覗かせている。
「なるほど。じゃ、詩音ちゃんまたあとでね。」
『あ、あの!』
「?」
立ち上がり出ていこうとする宇佐美と菊地原、その2人の1歩前に出ていこうする風間に向けて詩音が声を上げる。
『えっと、その...ありがとうございました!』
「なんのことだ?」
『私を、ここに連れてきてくれたことです。捕虜だったとしても、これからどうなるか分からないとしても、でも、助けてもらったのは事実だから。お礼、言いたくて。』
「...そうか。」
どう答えればいいか分からない、といったような顔で風間が素っ気なく答える。
「ぼくたち、仕事しただけだし。」
「そうだな。お礼されるようなことはしてない。」
「そんなに固くならなくてもいんだよー。でも、風間さんはちょっと素っ気なさすぎ。」
くすくすと笑いをこぼす宇佐美に、顔を顰めた風間。そして少し悩む素振りを見せたあと、詩音に背を向けながら言った。
「必ず戻る。任務からも、日本へも。」
その言葉に目を見開いて頷いた詩音。その後4人が出ていった部屋で彼女が浮かべていたのは小さな、それでも、笑顔と呼べる表情だった。
「でも、意外ときくっちーも詩音ちゃんのこと心配してるんだね。」
「違います。変な動きしないか見張ってるだけ。」
『...これ、ほんとに食べていいんですか?』
「何?ぼくたちのこと疑える立場?」
「遠慮しなくていいよー。捕虜ってことだけど、丁重に扱えとも言われてるから、安心して。」
『い、いただきます。』
宇佐美と菊地原の言葉に促され、ゆっくりと出された食事を口に運ぶ詩音。それを静かに見守る2人。
『...おいしい。』
ぽつりと零れた詩音の言葉と少しだけ緩んだ表情に、2人は目を見開く。そのほんの僅かな変化が彼女の顔を随分と幼く見せたのだ。
「そんな顔するほどおいしい?普通だと思うけど。」
「全部食べていいからねー!」
『ありがとう、ございます。』
2人に見守られながら少し恥ずかしそうに食べ進める詩音。その器から、ほとんどのものが無くなる頃、部屋の扉が開く音がした。
「菊地原、宇佐美。応援要請だ。準備しろ。」
「太刀川さん達、手こずってるんですか?」
「いや、交渉は大方済んだらしい。さっき話を聞いたタンクを調べに行く。」
部屋に入ってきたのは風間で。その後ろには歌川も顔を覗かせている。
「なるほど。じゃ、詩音ちゃんまたあとでね。」
『あ、あの!』
「?」
立ち上がり出ていこうとする宇佐美と菊地原、その2人の1歩前に出ていこうする風間に向けて詩音が声を上げる。
『えっと、その...ありがとうございました!』
「なんのことだ?」
『私を、ここに連れてきてくれたことです。捕虜だったとしても、これからどうなるか分からないとしても、でも、助けてもらったのは事実だから。お礼、言いたくて。』
「...そうか。」
どう答えればいいか分からない、といったような顔で風間が素っ気なく答える。
「ぼくたち、仕事しただけだし。」
「そうだな。お礼されるようなことはしてない。」
「そんなに固くならなくてもいんだよー。でも、風間さんはちょっと素っ気なさすぎ。」
くすくすと笑いをこぼす宇佐美に、顔を顰めた風間。そして少し悩む素振りを見せたあと、詩音に背を向けながら言った。
「必ず戻る。任務からも、日本へも。」
その言葉に目を見開いて頷いた詩音。その後4人が出ていった部屋で彼女が浮かべていたのは小さな、それでも、笑顔と呼べる表情だった。