序章
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風間隊が遠征艇に戻ると、詩音は女性オペレーター達によって身体検査をされ、現状危険はないと判断される。しかし一応は捕虜ということで外からしか鍵の開け閉めのできない部屋へと軟禁されることが決まった。しかしそれも情報を聞き出してから、ということになり。まずは彼女が近界民に連れ去られてからの話を聞くこととなった。ちなみに冬島が現状現場で指揮をとりつつ、それを国近と真木がサポートしているので実際に話を聞いているのは風間隊の宇佐美を含めた4人と忍田。
『父と、この国に連れ去られたのが5年くらい前で。私はタンクでずっと奴隷としてトリオンを貯める役目でした。父は、情報を得るのが得意だったから、位はそこそこで、城の中で働いてました。』
宇「タンク?」
『さっき私たちがいた城の隣の大きな建物です。あそこには、たくさんのトリオンが貯めてあって、城のエネルギーとか、街のエネルギーとか、色んなところに使われてました。作り出す力はないけど、無限に貯める力があるらしくて。』
忍「なるほど...。」
『それで、さっきの部屋は、父にあてがわれてた部屋で。父に協力的な人が少し居て、時々あの部屋で合わせてもらってました。』
風「あの部屋で、何をしていた?」
『父、殺されたのは少し前で。戦争で、勝ちが見えたって。それで、知りすぎてる父は殺されたって。』
宇「詩音ちゃん、無理しなくて大丈夫だよ?」
宇佐美が優しく声をかけるが、詩音は緩く首を横に振る。
『大丈夫、です。それで、それを知ったのと同じ頃、敵、また攻めてきて。今までと違って、城の中も混乱してて。みんな逃げてて。』
「逃げなくちゃ。」そう思ったと詩音が話す。
菊「それで、お前も逃げてあそこに?」
『はい。遠くにいこうかとも思ったんですが、街とか城の外とかたくさん悲鳴聞こえてたし、トリオン兵、見えてたし。当てもなく逃げるより、隠れてた方がマシだと思ったので。何か、父が残したものがないか探してたってのもありますけど。』
歌「彼女、かなり賢いのでは?」
宇「そういえば詩音ちゃんっていくつ?」
歌川が漏らした言葉に反応し宇佐美が詩音に問いかける。
『歳、ですか?15ですけど...。』
菊「は?ぼくらと同じ??」
歌「ってことだよな。」
菊「その割にチビだね。」
宇「ちょっときくっちー!」
話が脱線して行き、忍田が咳払いをする。
忍「それで、父親が残したものはあったのか。」
『あ...。』
彼女は忍田に問われ、肩から下げていた小さなポシェットのようなものに触れる。それはボロボロで、辛うじて可愛らしいデザインだったのだろうと想像出来る程劣化していた。
『これ、さらわれた時、私が身につけてたもので。1度こっちで捨てられたんですけど、父が探して、拾ってくれたみたいで。この中に...』
そう言ってその中からそっと彼女が取り出したのは、手帳と思われるもの。
『これ、父が残したものです。昔仕事に使ってたヤツみたいで。途中から、日記みたいになってると思います。』
差し出された手記を忍田がペラペラと捲る。それを後ろから覗き込むようにしているのは歌川。
(...トリオンの先天性機能障害?)
とあるページに行き着いた時、2人ともが同じ文字に目を止める。それは、トリオンの研究をしていたような書き方ともみてとれる。その後ざっと目を通した忍田はそれを閉じると、
「ひとまずこれは預かる。いずれ問題がなければ君に返す。それでいいな?」
『はい。』
忍田の言葉に素直に頷く詩音。その姿に眉をひそめた風間。
(捕虜の身と分かっているとはいえ、聞き分けが良すぎないか...?裏がある?いや、あるいは...)
「風間さん、酷い顔ですよ。」
「何?」
「そんな難しく考えなくても、こいつが近界民の仲間なら殺せばいいだけでしょ。連れてきたのは忍田さんの判断だし、ぼくたち責任ないです。」
「菊地原、お前な...」
「そうだよ、もうちょっと言い方が、」
「いや、菊地原は間違っていない。責任は私が持つ。だか、なにか気になることがあるなら言ってくれ。」
考えを巡らせていた風間に、菊地原が飄々と言ってのける。いつも通りが過ぎる彼の言葉に歌川と宇佐美が流石に声を上げるが、忍田がそれを制した。そして、視線を向けられ意見を求められた風間は思ったことを口に出す。
「なんでもありません。ただ、聞き分けがよすぎると、思っただけです。」
『...抵抗なんて、辛いだけです。命を、短くするだけです。』
「!」
意外にも、風間の疑問に答えたのは詩音自身だった。投げやりにも聞こえるその言葉は、彼女の5年間がどれほど壮絶だったかの片鱗を表しているようだった。
『父と、この国に連れ去られたのが5年くらい前で。私はタンクでずっと奴隷としてトリオンを貯める役目でした。父は、情報を得るのが得意だったから、位はそこそこで、城の中で働いてました。』
宇「タンク?」
『さっき私たちがいた城の隣の大きな建物です。あそこには、たくさんのトリオンが貯めてあって、城のエネルギーとか、街のエネルギーとか、色んなところに使われてました。作り出す力はないけど、無限に貯める力があるらしくて。』
忍「なるほど...。」
『それで、さっきの部屋は、父にあてがわれてた部屋で。父に協力的な人が少し居て、時々あの部屋で合わせてもらってました。』
風「あの部屋で、何をしていた?」
『父、殺されたのは少し前で。戦争で、勝ちが見えたって。それで、知りすぎてる父は殺されたって。』
宇「詩音ちゃん、無理しなくて大丈夫だよ?」
宇佐美が優しく声をかけるが、詩音は緩く首を横に振る。
『大丈夫、です。それで、それを知ったのと同じ頃、敵、また攻めてきて。今までと違って、城の中も混乱してて。みんな逃げてて。』
「逃げなくちゃ。」そう思ったと詩音が話す。
菊「それで、お前も逃げてあそこに?」
『はい。遠くにいこうかとも思ったんですが、街とか城の外とかたくさん悲鳴聞こえてたし、トリオン兵、見えてたし。当てもなく逃げるより、隠れてた方がマシだと思ったので。何か、父が残したものがないか探してたってのもありますけど。』
歌「彼女、かなり賢いのでは?」
宇「そういえば詩音ちゃんっていくつ?」
歌川が漏らした言葉に反応し宇佐美が詩音に問いかける。
『歳、ですか?15ですけど...。』
菊「は?ぼくらと同じ??」
歌「ってことだよな。」
菊「その割にチビだね。」
宇「ちょっときくっちー!」
話が脱線して行き、忍田が咳払いをする。
忍「それで、父親が残したものはあったのか。」
『あ...。』
彼女は忍田に問われ、肩から下げていた小さなポシェットのようなものに触れる。それはボロボロで、辛うじて可愛らしいデザインだったのだろうと想像出来る程劣化していた。
『これ、さらわれた時、私が身につけてたもので。1度こっちで捨てられたんですけど、父が探して、拾ってくれたみたいで。この中に...』
そう言ってその中からそっと彼女が取り出したのは、手帳と思われるもの。
『これ、父が残したものです。昔仕事に使ってたヤツみたいで。途中から、日記みたいになってると思います。』
差し出された手記を忍田がペラペラと捲る。それを後ろから覗き込むようにしているのは歌川。
(...トリオンの先天性機能障害?)
とあるページに行き着いた時、2人ともが同じ文字に目を止める。それは、トリオンの研究をしていたような書き方ともみてとれる。その後ざっと目を通した忍田はそれを閉じると、
「ひとまずこれは預かる。いずれ問題がなければ君に返す。それでいいな?」
『はい。』
忍田の言葉に素直に頷く詩音。その姿に眉をひそめた風間。
(捕虜の身と分かっているとはいえ、聞き分けが良すぎないか...?裏がある?いや、あるいは...)
「風間さん、酷い顔ですよ。」
「何?」
「そんな難しく考えなくても、こいつが近界民の仲間なら殺せばいいだけでしょ。連れてきたのは忍田さんの判断だし、ぼくたち責任ないです。」
「菊地原、お前な...」
「そうだよ、もうちょっと言い方が、」
「いや、菊地原は間違っていない。責任は私が持つ。だか、なにか気になることがあるなら言ってくれ。」
考えを巡らせていた風間に、菊地原が飄々と言ってのける。いつも通りが過ぎる彼の言葉に歌川と宇佐美が流石に声を上げるが、忍田がそれを制した。そして、視線を向けられ意見を求められた風間は思ったことを口に出す。
「なんでもありません。ただ、聞き分けがよすぎると、思っただけです。」
『...抵抗なんて、辛いだけです。命を、短くするだけです。』
「!」
意外にも、風間の疑問に答えたのは詩音自身だった。投げやりにも聞こえるその言葉は、彼女の5年間がどれほど壮絶だったかの片鱗を表しているようだった。