始まった日常
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風「なるほど。」
歌「その協力者は研究者というより医者みたいだな。」
菊「そいつ連れてきた方がトリガーより有益だったんじゃない?」
宇「でも、今の説明で色々謎が解けたかも。」
詩音が言葉を切るとそれぞれ感想を漏らす。その中で最後の宇佐美の言葉に反応した詩音。
『謎、ですか?』
「うん。詩音ちゃんがシールドとバッグワームはうまく起動できた理由。この二つって大抵の人が使うことを想定されてるから、機構も簡単でそれでいて性能も割と高いのね。だから多少の障害があっても使うことができたんじゃないかと思う。」
「あと、仮想戦闘モードでなら起動できたことも説明できる。トリオンの動きをコンピューターで擬似的に再現している仮想戦闘モードなら、おそらく如月のもつトリオンの量を100%表に出せたということだろう。コンピューターの補助があればトリガーも使える、ということか。」
宇佐美の言葉に風間が補足するように返す。詩音はといえば、自分の説明が伝わったことな安堵すると同時に、逆に自分にはよく分からないボーダーの事情の話を理解しようと必死に耳を傾ける。
「でも逆に言えばコンピューターがなければ戦えないってことでしょ。実践に使えないじゃん。」
「確かに現時点では、オペレーターかエンジニアの方が現実的か?」
菊地原と歌川は現状を明確にする。
「カスタムしたり、調整したりすれば使える方法はあると思うけど、訓練生用のトリガー使うとなると...。今はうってぃーの言う通りかも。」
「お前はどうしたい?」
風間に問われ、思わず目を見開く詩音。まさかここで自分の意見を尋ねられるとは思っていなかった。
「何、驚いてんの。自分のことなんだから自分で決めるのは当然でしょ。」
『でも私、何も、わからなくて。』
「戦闘員か、オペレーターか、エンジニアか。一般職員って手もあるけど、如月の場合はトリオン的にもサイドエフェクト的にもこの3つのどれかがいいと思う。」
「で、今戦闘員は厳しいかな?って話なんだけど。でもどうしても戦闘員になりたい!って言うなら一緒に考えるよー。」
「気になることがあるなら聞けばいい。」
『あ、う...えっと。』
自分の考えがまとまらず、焦る詩音。だが、彼女を急かすものは誰もいない。そして静寂に耐えながら悩み、必死に言葉を紡ぐ。
『オペレーターかエンジニア?が現実的なら、それでいいです。オペレーターって確か、宇佐美さんと同じ、ですよね?エンジニアは、よく分からないから、私にもできるなら...』
「うんうん!大丈夫だよー、大歓迎!」
「これで、配属希望は決まったか。」
「全く、配属一つに悩みすぎ。遅くなっちゃったじゃん。」
「まあまあ、色々あったんだからしょうがないだろ。決まってよかったよ。」
ここまで来たなら、と結局配属希望の紙も風間たちに見てもらいながら書きあげ、4人が帰るついでにと提出まで着いてきてもらった詩音。
『あの、遅い時間まで、ありがとうございます。こんなに時間割いてもらって...。』
詩音が深々と頭を下げ礼を言う。
「気にしないで!これから同じボーダー隊員としてよろしくね。」
「サポートするように上から言われてるから。ま、せいぜい頑張りなよ。」
「何かあれば俺たちを頼るといい。できる範囲で力になろう。」
「無理せず、頑張って。」
『本当に、ありがとうございます。』
それぞれに声をかけられ、もう一度頭を下げる詩音。しばらくして顔を上げた彼女に別れを告げながら4人はそれぞれ帰路に着くのだった。
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ようやく日常が始まる、はず。