始まった日常
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「え、なんでそんなしょぼいの。」
ささやかながら詩音の入隊祝いをした次の日。
午後から任務があった風間隊は、その任務終わり詩音の配属先を決めるための相談に乗っていた。といっても、詩音から言い出したのではなく、宇佐見が提案したことだ。そして今、初めて彼女はトリオン体となり、試しに風間隊の3人が普段から使うスコーピオンを構えてみたのだが。
「見た感じから、明らかに強度が足りてない?」
「長さも短い。普通に出す分にもなかなかこうはならないはずだが。」
菊地原のざっくりとした感想を、具体的に分析する歌川と風間。モニターから様子を見ていた宇佐美の声も混ざる。
「うーん?でも、一応貰ってきたデータ上詩音ちゃんのトリオン量って結構あるはずなんだけど...。」
「トリオンの数値幾つ?」
『えっと、9って言われたと思います...』
「は?ぼくより上なのに、そんなしょぼいスコーピオンしか出せないの?」
「とりあえずもう1度やって見ろ。」
『は、はい。』
風間に促され再びスコーピオンを構える詩音。しかし今度は先程よりも強度はまともだが形の歪なブレードが現れる。
「不器用すぎ。」
「トリガーに慣れてないだけ?にしては不安定すぎるような...。」
菊地原と歌川の感想に戸惑う詩音。その様子を見て首を傾げる風間。さらにそれをモニター越しに見ていた宇佐美がひとまず他のトリガーも試してみようと提案して、色々なトリガーを使ってみることにした。
「まともに起動できたの、シールドとバッグワームだけとか。」
「一応ガンナー用のトリガーも形としては起動できたが、実戦には少し厳しいか。威力は十分だったが、弾数が極端に少ない。」
「アステロイド以外はまともに飛びませんでしたしね...。」
「でも、仮想戦闘モードにするとどれも使えるんだよね。なんでだろ?」
一通りのトリガーを試した結果、仮想戦闘モードでは普通にトリガーが使用できるのに、実際にトリガーを消費して起動すると何故か色々な不具合が起きるということが分かった。
『うぅ、すみません。たぶん、私のせいです...。』
「何か心当たりがあるのか?」
『えっと、父にあくまで仮説だが、って言われてたんですけど、私のトリオン器官、障害があるみたいで。』
「あ。」
風間の問いに詩音が答える。その答えに思わず声を漏らしたのは歌川で。
「何、なんかあるの?」
「トリオンの先天性機能障害...」
「それ何、うってぃー?」
「如月のお父さんの手帳、忍田さんが読んでた時後ろで見てて。そこに書いてあった記憶が。」
歌川の説明にふーんと興味が無いのか理解する気がないのか薄い反応を示す菊地原と、黙り込む宇佐美。風間も考えるような素振りを見せていて沈黙が流れる。その沈黙にいたたまれなくなったのか、口を開いた詩音。
『ごめんなさい。』
「それ、何対しての謝罪?」
『せっかく時間とって手伝ってもらってるのに、うまくできなくて...。』
「そんなの、最初から完璧にできるとこっちも思ってないから。さすがにここまでだと思ってなかったけど。」
「そうそう、気にしなくて大丈夫だよー。とりあえず訓練室から出て、こっちで話そっか。」
肩を落とし、俯く詩音に菊地原と宇佐美がそう声をかけ、訓練室から出てきた4人。宇佐美もモニターの前の席から移動して各々がソファーに座る。
「さて、じゃあトリオンの先天性機能障害だっけ?詩音ちゃんは何か知ってることある?」
『知ってること...。何から、話せばいいのか...。』
「そうだな。例えばお前にそれがあると、どうやって知った?こちらの世界ではそういったことは聞いたことがない。」
宇佐美が全員分の飲み物を出しながら詩音に尋ねる。戸惑う詩音に風間が助け舟を出すと、ぽつりぽつりと、彼女は説明を始めた。
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オリジナル全開の設定説明が続きます。