始まった日常
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『ふぅ...。』
失礼しました、と部屋を後にした5人。無意識に詩音が吐き出したため息が静かな廊下に響いた。
「お疲れ。」
「ほんとお疲れ様!それから、ボーダー入隊おめでとうー!」
労いの言葉を述べた歌川と宇佐美にありがとうございますと詩音が返すと、
「戦闘員ならまだ仮入隊だけどね。」
「配属先はどこでもいいと言っていたな。何も決めていないのか?」
菊地原と風間の言葉にはえっと...と答えを探すように言い淀んで。そんな詩音の肩に手を置いて宇佐美が楽しそうに笑う。
「ちょっとちょっと!きくっちーも風間さんも、まずは詩音ちゃんの入隊のお祝いしよう!」
「え、宇佐美先輩、今日は、」
「いいからいいから!そうと決まれば作戦室にレッツゴー!」
『え、あ、あの!?』
宇佐美に強引に手を引かれ、詩音は訳も分からないまま彼女について廊下を歩く。何かを言いかけた歌川だったが、風間と菊地原を見ると、2人は軽く首を横に振る。そうして男子3人もため息をつきながら、それに続くように歩き始めた。
結局詩音は最後まで状況が飲み込めないまま、風間隊の作戦室に連れていかれると、勧められるがままにお菓子を食べ、ジュースを飲み。その時間は昔、近界民に連れ去られる前に過ごした日常を思い出させ、懐かしさに心がふわふわとした。
「やっぱちびだけあって、子どもだね。お菓子で喜ぶとか、精神年齢宇佐美先輩より低いんじゃない?」
「それはどーゆーことかな、きくっちー?」
「そういう菊地原も結構食べてるんじゃないか?」
(そういう風間さんが相変わらず1番食べてます...。)
さらに、そんな詩音の新たな日常になりつつある光景と会話が目の前で繰り広げられれば。
『ふふ...。』
「「「「!」」」」
思わず、といういうように彼女が漏らした笑い声。そして、
「そんな顔、できたんだ?」
「笑った...。」
「詩音ちゃん〜〜〜!」
『わ!う、宇佐美さんっ。』
詩音が小さく浮かべた笑みに驚いた菊地原、歌川、それぞれの反応を見せ宇佐美に至っては勢い余って彼女に抱きつく。そして風間も、
「楽しいか?」
『え、あっ、すみません。』
「なぜ謝る?楽しいならそれでいい。誰もそれを咎めない。お前はもう、捕虜ではないからな。」
『あ...。はい。』
宇佐美の腕の中で、風間の言葉に頷いた詩音は未だにほんの少しだけ笑っていた。