序章
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そうして会議室から詩音を連れ出した宇佐美。見慣れないボーダーの建物に目線をキョロキョロとさせる詩音。その様子を微笑ましそうに見ていた宇佐美だったが、不意にその先の人影に気づき声をかける。
「あ、とりまるくん!」
「宇佐美先輩。遠征お疲れ様です。」
突然現れた男に詩音は驚いて足を止める。宇佐美ととりまると呼ばれた男を交互に見比べる、宇佐美に目線で訴えかける。
「その子は?」
「んー、ちょっとわけアリなんだけど...。でも、とりまるくんは、いずれ知ることになるかな?」
「どういうことっすか?」
ブツブツと悩みながら言う宇佐美に首を傾げる男。その2人を不安そうに見つめる詩音。
「とりまるくん、今時間ある?」
「太刀川さんたち帰ってきたって聞いたんで、作戦室行くところだったんすけど。」
「んー、この子紹介したいからちょっとだけ着いてきてもらっていい?」
「わかりました。」
結局その3人で、宿舎棟へと向かうことになった。
「はい、到着ー!」
『ここ、が...?』
宇佐美が案内したのは、規格化された部屋のひとつで、ベッドや机、その他最低限の家具があるだけのシンプルな部屋だった。しかし、その部屋を見て戸惑ったように詩音は部屋の入口で立ち止まってしまう。
「どうしたんすか?」
『いや、えっと、なんか慣れなくて。』
「?」
「驚いてるとこごめんね。いきなりだけど先にとりまるくん、紹介するね。」
『あ、はい。』
「彼は烏丸京介。一緒に遠征艇に乗ってた太刀川さんたちのチームメイトだよ。」
「どうも。...って、は?一緒に?」
宇佐美に紹介され普通に挨拶しようとした烏丸だったが、さすがの彼も聞き流すことは出来なかった。
「とりまるくんも、驚かせてごめんね。こっちは如月詩音ちゃん。今回行った近界の国で偶然見つかった元行方不明者。」
「...はっ?えっ??」
『如月詩音、です。あの、とりまる?烏丸?えっと、なんとお呼びすれば...』
混乱する烏丸に自己紹介をした詩音だったが、詩音自身も状況が飲み込みきれず混乱しており、宇佐美だけが楽しそうに状況を見ていた。
烏丸という字がとりまると間違って読まれたことで、それがあだ名となったこと。詩音が遠征先から共に帰還したこと、現状捕虜扱いであること、極力他言無用であることなどを宇佐美がざっくりと説明した所で、烏丸の方はだいぶ状況が飲み込めたようだった。
「他言無用なのに俺に言っちゃっていいんすか?」
「とりまるくんは太刀川隊だし、大丈夫!」
2人がそんなやり取りをしていると、烏丸の端末が通知音を鳴らす。それは、太刀川からのようで烏丸は彼からの呼び出しに応じ、じゃあ今日のところはこれで、と部屋を出ていった。
「会議終わったかな?じゃあ、ざっと部屋説明しちゃうねー。」
『あ、あの!宇佐美さん!!』
「んー?どした?」
烏丸がいる間は緊張からか、かなり大人しくしていた詩音が宇佐美に呼びかける。
『私、ほんとにこの部屋使っていいんですか?こんな、いい部屋。』
「いい部屋って...。普通だと思うよ?」
『でも、私捕虜で、』
落ち着かない様子の詩音とその様子に納得がいったらしい宇佐美。詩音の手をゆっくりと宇佐美が握る。
「確かに、詩音ちゃんは、今は捕虜かもしれない。でも、私個人的には詩音ちゃんに何か問題があるとは思ってないの。きっと風間隊のみんなもそう。だから、詩音ちゃんはそんなに怯えなくていいんだよ?」
『...ホント?』
「うん。だから、」
宇佐美が握っていた手を詩音の頭に乗せて、さらに言葉を紡ごうとしたその時だった。
「宇佐美先輩、話長すぎ。」
『っ!?』
「わっ。ちょっときくっちー!急に入ってこないでよ。詩音ちゃんびっくりするでしょ?」
突然部屋に入ってきた存在に驚き、詩音は飛び上がる。その詩音の動きに驚いた宇佐美が、部屋に突如現れた菊地原に非難の声を上げる。
「しかも勝手に僕らの意見決めつけないでくれない?」
「えー、じゃあきくっちーは詩音ちゃんに何か問題あると思ってるの?」
「...勝手に決めないでって言ってるだけ。」
「こら、お前たち。それは俺たちが今決めることじゃないだろう。」
『...風間さん、歌川さんも。』
「宇佐美先輩、部屋の説明まだ終わってない感じですか?」
部屋に入ってきた3人は、それぞれに言いたいことを言った。驚いていた詩音だったが遠征艇でも何度かみたその光景に少しだけ肩の力が抜けるのを感じる。
宇「ごめんごめん!ざっと説明しちゃうからちょっと待って!」
『...。』
菊「...何、笑ってるの。」
『え、あ!す、すみません。』
風「?今のどこに謝る要素があった。」
歌(これで、笑ってるのか?)
4人の絶妙に噛み合っているのか合っていないのか分からない会話に、またほんの少しだけ表情を緩めた詩音。それを指摘した菊地原と不思議そうな顔をする風間、別の意味で首を傾げる歌川。その様子を見て満足気に笑った宇佐美は駆け足で詩音に部屋について説明すると、言った。
「今日からここが、しばらく詩音ちゃんの部屋だよ。」
『ここ、が、私の。』
「何?ようやく念願の地球に帰ってきたのに不満?」
『そ、そんなことっ!』
「困ったことがあれば俺らにいえばいい。多少不自由はあるだろうけど。」
ようやく慣れてきたようだが、まだ少し固い詩音に風間も声をかける。
「何はともあれ、お前は日本に帰ってきた。そしてここが、今日からお前の帰る場所だ。」
「帰る、場所。...はい!」
その言葉に詩音は大きく頷いて見せたのだった。
ーーーーーー
これにて序章終了です。
あらすじ&主人公設定&作者の独り言にもお付き合い頂ければ幸いです!
「あ、とりまるくん!」
「宇佐美先輩。遠征お疲れ様です。」
突然現れた男に詩音は驚いて足を止める。宇佐美ととりまると呼ばれた男を交互に見比べる、宇佐美に目線で訴えかける。
「その子は?」
「んー、ちょっとわけアリなんだけど...。でも、とりまるくんは、いずれ知ることになるかな?」
「どういうことっすか?」
ブツブツと悩みながら言う宇佐美に首を傾げる男。その2人を不安そうに見つめる詩音。
「とりまるくん、今時間ある?」
「太刀川さんたち帰ってきたって聞いたんで、作戦室行くところだったんすけど。」
「んー、この子紹介したいからちょっとだけ着いてきてもらっていい?」
「わかりました。」
結局その3人で、宿舎棟へと向かうことになった。
「はい、到着ー!」
『ここ、が...?』
宇佐美が案内したのは、規格化された部屋のひとつで、ベッドや机、その他最低限の家具があるだけのシンプルな部屋だった。しかし、その部屋を見て戸惑ったように詩音は部屋の入口で立ち止まってしまう。
「どうしたんすか?」
『いや、えっと、なんか慣れなくて。』
「?」
「驚いてるとこごめんね。いきなりだけど先にとりまるくん、紹介するね。」
『あ、はい。』
「彼は烏丸京介。一緒に遠征艇に乗ってた太刀川さんたちのチームメイトだよ。」
「どうも。...って、は?一緒に?」
宇佐美に紹介され普通に挨拶しようとした烏丸だったが、さすがの彼も聞き流すことは出来なかった。
「とりまるくんも、驚かせてごめんね。こっちは如月詩音ちゃん。今回行った近界の国で偶然見つかった元行方不明者。」
「...はっ?えっ??」
『如月詩音、です。あの、とりまる?烏丸?えっと、なんとお呼びすれば...』
混乱する烏丸に自己紹介をした詩音だったが、詩音自身も状況が飲み込みきれず混乱しており、宇佐美だけが楽しそうに状況を見ていた。
烏丸という字がとりまると間違って読まれたことで、それがあだ名となったこと。詩音が遠征先から共に帰還したこと、現状捕虜扱いであること、極力他言無用であることなどを宇佐美がざっくりと説明した所で、烏丸の方はだいぶ状況が飲み込めたようだった。
「他言無用なのに俺に言っちゃっていいんすか?」
「とりまるくんは太刀川隊だし、大丈夫!」
2人がそんなやり取りをしていると、烏丸の端末が通知音を鳴らす。それは、太刀川からのようで烏丸は彼からの呼び出しに応じ、じゃあ今日のところはこれで、と部屋を出ていった。
「会議終わったかな?じゃあ、ざっと部屋説明しちゃうねー。」
『あ、あの!宇佐美さん!!』
「んー?どした?」
烏丸がいる間は緊張からか、かなり大人しくしていた詩音が宇佐美に呼びかける。
『私、ほんとにこの部屋使っていいんですか?こんな、いい部屋。』
「いい部屋って...。普通だと思うよ?」
『でも、私捕虜で、』
落ち着かない様子の詩音とその様子に納得がいったらしい宇佐美。詩音の手をゆっくりと宇佐美が握る。
「確かに、詩音ちゃんは、今は捕虜かもしれない。でも、私個人的には詩音ちゃんに何か問題があるとは思ってないの。きっと風間隊のみんなもそう。だから、詩音ちゃんはそんなに怯えなくていいんだよ?」
『...ホント?』
「うん。だから、」
宇佐美が握っていた手を詩音の頭に乗せて、さらに言葉を紡ごうとしたその時だった。
「宇佐美先輩、話長すぎ。」
『っ!?』
「わっ。ちょっときくっちー!急に入ってこないでよ。詩音ちゃんびっくりするでしょ?」
突然部屋に入ってきた存在に驚き、詩音は飛び上がる。その詩音の動きに驚いた宇佐美が、部屋に突如現れた菊地原に非難の声を上げる。
「しかも勝手に僕らの意見決めつけないでくれない?」
「えー、じゃあきくっちーは詩音ちゃんに何か問題あると思ってるの?」
「...勝手に決めないでって言ってるだけ。」
「こら、お前たち。それは俺たちが今決めることじゃないだろう。」
『...風間さん、歌川さんも。』
「宇佐美先輩、部屋の説明まだ終わってない感じですか?」
部屋に入ってきた3人は、それぞれに言いたいことを言った。驚いていた詩音だったが遠征艇でも何度かみたその光景に少しだけ肩の力が抜けるのを感じる。
宇「ごめんごめん!ざっと説明しちゃうからちょっと待って!」
『...。』
菊「...何、笑ってるの。」
『え、あ!す、すみません。』
風「?今のどこに謝る要素があった。」
歌(これで、笑ってるのか?)
4人の絶妙に噛み合っているのか合っていないのか分からない会話に、またほんの少しだけ表情を緩めた詩音。それを指摘した菊地原と不思議そうな顔をする風間、別の意味で首を傾げる歌川。その様子を見て満足気に笑った宇佐美は駆け足で詩音に部屋について説明すると、言った。
「今日からここが、しばらく詩音ちゃんの部屋だよ。」
『ここ、が、私の。』
「何?ようやく念願の地球に帰ってきたのに不満?」
『そ、そんなことっ!』
「困ったことがあれば俺らにいえばいい。多少不自由はあるだろうけど。」
ようやく慣れてきたようだが、まだ少し固い詩音に風間も声をかける。
「何はともあれ、お前は日本に帰ってきた。そしてここが、今日からお前の帰る場所だ。」
「帰る、場所。...はい!」
その言葉に詩音は大きく頷いて見せたのだった。
ーーーーーー
これにて序章終了です。
あらすじ&主人公設定&作者の独り言にもお付き合い頂ければ幸いです!