黄昏
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■桐島 赤 という男
「今回のテストで全部満点なのは桐島くんだけですよー! 皆さん、桐島くんを見習うように!」
昔から、勉強は出来るほうだった。
予習して復習。その繰り返しをするだけだから。
「あの……や、やめてください……」
「いいだろ金よこせって」
「お前ら何やってんの? 年上のくせにいじめにカツアゲとか……恥ずかしくないのか? ……どうしようもない奴ら」
「あ゛あ!? 何だお前は!?」
喧嘩も出来るほうだった。
元々の運動神経の良さもあったんだろう。少し鍛えればどうにかなった。
「あ、の……えっと、ありがとうございました……」
「ゴミ掃除しただけだ。もう絡まれないように気を付けろよ」
「は、はい……」
「……何かあったらオレを呼んでもいいから。これ、連絡先」
「あ、ありがとうございます……」
偽善だと分かっていても、放っておけなかった。
「敬語もいらない。年上だろ?」
「う、うん……ありがとう……」
おどおどしたオレより少し年上であろう男。前髪で左目が見えないぐらいに隠れていて、大人しい印象だった。確かに絡まれやすくはあるんだろうな。
「どういたしまして。じゃあな、何かあったら連絡しろ」
「……うん」
結局、連絡が来ることはなかった。ソイツはこの学校が合わなかったのか、親の都合だったのかは不明だが、転校してしまったから。名前を知ることも出来なかった。
「ちょっと勉強が出来て……腕っぷしが強くて……? だから何だ?」
誰も救えないくせに、ヒーローぶりやがって。偽善者が。自分が嫌になる。
オレにとって、赤色はヒーローのイメージだった。正義感に溢れた熱い男。勇敢な主人公のカラーだった。
そんな男になりたいと、小さい頃は本気で思っていた。
でもオレには特別な力なんてなくて。どこにでもいるような平々凡々の学生に過ぎない。憧れたヒーローには程遠い。
―――こんな自分でも、いつか誰かの役に立てるだろうか。
誰かを、救えるだろうか。
「今回のテストで全部満点なのは桐島くんだけですよー! 皆さん、桐島くんを見習うように!」
昔から、勉強は出来るほうだった。
予習して復習。その繰り返しをするだけだから。
「あの……や、やめてください……」
「いいだろ金よこせって」
「お前ら何やってんの? 年上のくせにいじめにカツアゲとか……恥ずかしくないのか? ……どうしようもない奴ら」
「あ゛あ!? 何だお前は!?」
喧嘩も出来るほうだった。
元々の運動神経の良さもあったんだろう。少し鍛えればどうにかなった。
「あ、の……えっと、ありがとうございました……」
「ゴミ掃除しただけだ。もう絡まれないように気を付けろよ」
「は、はい……」
「……何かあったらオレを呼んでもいいから。これ、連絡先」
「あ、ありがとうございます……」
偽善だと分かっていても、放っておけなかった。
「敬語もいらない。年上だろ?」
「う、うん……ありがとう……」
おどおどしたオレより少し年上であろう男。前髪で左目が見えないぐらいに隠れていて、大人しい印象だった。確かに絡まれやすくはあるんだろうな。
「どういたしまして。じゃあな、何かあったら連絡しろ」
「……うん」
結局、連絡が来ることはなかった。ソイツはこの学校が合わなかったのか、親の都合だったのかは不明だが、転校してしまったから。名前を知ることも出来なかった。
「ちょっと勉強が出来て……腕っぷしが強くて……? だから何だ?」
誰も救えないくせに、ヒーローぶりやがって。偽善者が。自分が嫌になる。
オレにとって、赤色はヒーローのイメージだった。正義感に溢れた熱い男。勇敢な主人公のカラーだった。
そんな男になりたいと、小さい頃は本気で思っていた。
でもオレには特別な力なんてなくて。どこにでもいるような平々凡々の学生に過ぎない。憧れたヒーローには程遠い。
―――こんな自分でも、いつか誰かの役に立てるだろうか。
誰かを、救えるだろうか。