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2年前。
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それが始まりだったのかもしれない。
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どうしてこうなった
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こんな事、誰が望むものか…
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………本当はわかっている
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全てはあの日、俺が逃げ出したせいだ。
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ユリエ
ユウキ、本当にいいの?
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ユウキ
………あぁ。
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ユウキ
これはバーシニア王国のディーノ王子としての使命。
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ユウキ
そしてディングの兄としての役割だ。
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ジュン
………。
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ユリエ
………私は……これでいいとは思えないよ…
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ジュン
時間がないんだよ。
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ジュン
あいつが人間でいるうちに終わらせる。
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ユリエ
………。
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ユウキ
弟だけにすべて押しつけたくない。
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ユウキ
二人共……本当についてくるつもりか?
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ジュン
このことは俺にも責任がある。
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ジュン
最後までついていくよ。
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ユリエ
私もユウキが嫌だって言ってもついていくよ。
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ユリエ
これは譲れない。
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ユウキ
………。
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ユウキ
……わかった。
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バーシニア城前
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ラルティア
………。
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ラルティア
やっぱり来たんだな。
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ユウキ
あぁ。
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ユウキ
ディングに会わせてほしい。
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ラルティア
会わせてやる、なんて俺が言うと思うか?
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ユウキ
……思わない。
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ラルティア
俺はお前をころす。
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ラルティア
楽にころしてやるつもりもない。
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ラルティア
ついてきたおまけも通らせない。
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ユリエ
私達は貴方にころされるほど弱くないよ。
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ジュン
俺達はもう振り返らない
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ユウキ
俺達は未来を作る。
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ユウキ
こんなとこで終わらせない!!
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ごめん。
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お前は俺を許さなくていい。
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俺をうらんでくれ。
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これは俺の身勝手。
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お前が一人で苦しむ必要はないんだ。
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バーシニア城玉座
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ディング
………。
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ディング
どうしてきたの?
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ユウキ
お前を止めるためだよ。
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ディング
………。
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ユウキ
終わらせられないんだろう?
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ユウキ
なら、それは俺の役目だ。
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ディング
………そう。
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ディング
僕は…
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ユウキ
ディング、お前には俺を憎む権利がある。
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ディング
…そんな権利いらない。
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ユウキ
俺にはある。
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ユウキ
お前に憎まれる権利が。
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ユウキ
そしてお前には俺に復讐する権利がある。
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ディング
…いらない。
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ユウキ
わかった。
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ユウキ
なら俺には俺が守るべき人達を奪ったお前に復讐する権利がある。
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ディング
………。
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ディング
勝手だね。
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ディング
捨てたくせに……やっぱり返してほしい、なんて
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ユウキ
そう、俺はお前以上に身勝手な人間さ
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ユウキ
だから俺をうらんでくれ。
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ディング
………。
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ディング
嫌だよ。
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ディング
僕は…うらめない。
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ディング
兄さんも
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ディング
アーサーも
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ディング
ラルも
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ディング
僕が憎いのは…僕自身。
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ディング
…兄さん、僕には…わかるんだよ。
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ディング
兄さんも………
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ディング
自分自身が憎い事
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ユウキ
そういえばそうだったな…
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ユウキ
お前に嘘は…つけないんだったな
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ユウキ
その目も俺がお前に押しつけたんだ。
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ディング
大変だったよ
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ディング
僕は産まれたと同時に母様をころした。
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ディング
僕は国の人を食い尽くした。
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ディング
聞こえるんだ。
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ディング
ずっと
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ディング
『お前のせいだ』
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ディング
って。
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ユウキ
もういいんだディング
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ユウキ
お前だけがその重みに耐え続ける必要はもうない。
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ユウキ
その責任は俺にもある。
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ユウキ
だから一緒に………
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ディング
………無理だよ
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ディング
それが僕自身の罪だから。
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ユリエ
一人で背負わないで
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ユリエ
キミだけが悪いんじゃない
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ジュン
そう、これはお前だけが背負うものじゃない
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ジュン
アーサー達はお前一人に押しつける為に死んだんじゃない
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ユウキ
俺がお前の鎖を断ち切る。
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ユウキ
お前に本当の『自由』をみせてやる!!
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ディング
そんな事、僕は…僕は望んでいない
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ユウキ
それはお前が知らない事だからだ
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ユリエ
恐がらないで
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ユリエ
ユウキの手をとって
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ユリエ
私達はキミを助けにきたんだから!!
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王国玉座 夕方
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ディング
どうして?
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ディング
僕は………
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ユウキ
言ったろ?
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ユウキ
お前の鎖を断ち切るって
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ユウキ
もういいんだよ。
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ユウキ
お前に自由を見せるって約束、守るよ。
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ユウキ
俺ら、兄弟なんだから。いや双子か。
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ユウキ
行こう。
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ユウキ
外に出て
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ユウキ
一緒に償うんだ。
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サマエル
それはできません。
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ディング
神父様………
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ジュン
………お前、人間じゃない、何者だ?
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サマエル
おや、貴方はガブリエルの残したご子息様ではありませんか。
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サマエル
なるほど、この城に微かに感じた天使のマナは貴方のものですか。
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サマエル
守りの印を壊すのは中々苦労したのですよ?
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ジュン
そうだろうな
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ジュン
人間の死体を乗っ取り内部から破壊したってところか?
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ユリエ
どういうこと………?
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ジュン
言ったろ?
俺は俺の家計のどっかに天使の血が混ざってる、だから居場所がなかった。って。 -
ユウキ
その神父様とやらは何の用だ?
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サマエル
僕は彼の魂を貰いにきたんですよ。
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サマエル
彼の魂は『聖杯』に匹敵する力を持っています。
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ディング
………神父様
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ディング
神父様は…僕の願いを叶えてくれるのですよね?
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サマエル
大丈夫、約束は守ります。
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サマエル
我が願いが叶った時には貴方の取り込んだ魂達は百の巡りのち転生の輪に返して差し上げます。
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ユウキ
………願い?
魂を転生の輪に返す?
何を言っているんだ? -
ユリエ
ダメだよディング君、その人はよくわかんないけど信じてはいけない!
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ジュン
俺も同感だ。
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ディング
………ごめんね兄さん
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ディング
僕は僕を消してでも報いを受けないといけない………
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ディング
だから一緒にはいけない。
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サマエル
そういうことです。
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ユウキ
やらせない!!
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ユウキ
ディング!!
頼むから俺を、俺達を信用してくれ!! -
サマエル
………残念ながら時間はないのですよ。
ディング様は自身の魂を削りながらここまできたのです。 -
サマエル
もういつ壊れてもおかしくないのです。
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サマエル
このままではあなた達も道ずれになりますよ?
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ユウキ
ディング!!
仮にそいつに従ったらお前はどうなる!? -
ディング
僕はどうなってもそうしたいんんだよ………邪魔しないで、兄さん
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ユウキ
行かせない!
お前を犠牲になんかさせてたまるものか!! -
サマエル
仕方ない………
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サマエル
霊冥へと導く破邪の煌きよ。
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サマエル
我が声に耳を傾け賜え。
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ジュン
!!
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ジュン
ユウキ、ユリエさがれ!!
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サマエル
聖なる祈り、永久に紡がれん。光あれ
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ジュン
闇の誘いより彼の者を守れ
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サマエル
グランドクロス!!
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ジュン
リヴァイブ!!
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ジュンと神父の術が重なり弾け
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意識が戻った後には………
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ディングも神父も姿はなかった………
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俺には救えないのか?
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何もできないのか?
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何も………
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2に続く…
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