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「──その辺にしておけ、杏寿郎」



血だらけで横たわる青年を抱き起こした真菰の前に、錆兎が立つ。

向かう先には、赤い刀身の長柄を持った青年だ。彼はじっと新参者を見下ろすだけで、もう猛撃を仕掛けてくる様子もない。

「鬼柱、もう鬼狩りに関わらないとか言ってなかった?」
「仕掛けてきたのはその男のほう」
「挑発したのは貴方だろう」

ぽつりと答えた青年が、用は済んだとばかりに踵を返す。
それを呼び止めたのは錆兎だ。彼は最初からこの場にいたので一部始終を目撃していた。
それでも止めなかったのは、炎柱には必要だと思ったからだ。



「鬼舞辻無惨に仇なすものは、何人たりとも許さない──立場を明確に伝えたことが悪いことだとは思わない」



ちらりと視線だけ寄越して、さっさと立ち去って行く青年が見えなくなると、ようやく自力で体を起こした杏寿郎を錆兎が見下ろして。

「話したばかりだろう、今の我々ではあの人には勝てないと」
「いや、すまない。挑発してもらったので稽古をつけてもらうつもりだったのだが」

それにしては本気だったと思うが──言葉にせずとも視線で訴える錆兎に悪かったと詫びながら、杏寿郎がところどころ霞がかっている自分の姿に気づいた。
魂だけの自分には体がない。完全に霧散したら消え失せるということなのか。

自分の体を見下ろして考え込んでいる杏寿郎を見て、わかるわかる、と真菰が手を叩いた。

「私たちは意識だけの存在だからね。気持ちで負けない限りは形が保てなくなってもまた固めれば問題ないけど、消えるのも一瞬だから気をつけなよ?」
「何となくわかるが、まあ、鹿鳴館で俺たちが鍛錬するのに相手にしていたものたちと似ていることはわかる!」
「まあ、そっち側になっちゃったからね?」




錆兎に説明されている最中に、仕事終わりの鬼柱と遭遇してしまった、これより先、鹿鳴館の職員として籍を置くことになった炎柱の煉獄杏寿郎。

そのうち誰かが鍛錬に来た時に、付き添い人になってしまうのかもしれない──。



【煉獄さんの新人研修体験】
2020.1.24 
※現在、お礼作品はこの一種類のみ

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