運命編のネタバレ3点
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※名前変換が小説全体と章ごとで設定あったの忘れてたので後で直しまーす。
何度目かの避難を促す官僚の言葉に対し、カガリは否と淡々と応じる。
宇宙からいつ放たれるとも知れない巨大なビーム砲。それを回避する術はなく、果たして避難しようとしているシェルターは耐え切れるのかも怪しい。
「どれどれ、キラたちも映ってるか?」
走り回る官僚たちを巧みに避けながら、ラシードがモニターを覗き込んで来た。カガリはいまだに不思議な感覚を抱く。
先の大戦ではヤキン・ドゥーエで戦争を終えるべく前線にいたのに、どうして彼は今ここにいるんだろう。
いくら色々やらかしているからって、拘束されるかも知れないから行きません──とか、今更では。
「あー、なんか失礼なこと考えてるな」
「てっきり、お前はキラについて行くかと」
自分たちの母親に縁深い事は教えてもらった。アスランやラクスのことも大事にしているのはわかるが、自分とキラに対しては、もっとこう──表現が難しいのだが、可愛がってくれていると思う。
「人型はダメなんだって何度も言ってるだろ。あーあ、ほんと、議長に足止めされてなければなあ」
機体を動かすくらいは問題ないのに、いざ戦闘になるとしたい動きができなくなる。カガリだってラシードにならそこそこ勝てるくらいだ。
けど、戦闘機やガイアのような、四つ足などになれば全く勝てなくなるあたり、彼の頭の作りはよくわからない。
「なら、ムラサメを使えばいいじゃないか」
「入り乱れてる場所に、敵味方関係なく邪魔しに行くのが目的ならな」
今回の目的は、あのやっかいな巨大砲撃機能を破壊する事だから、ラシードでは役不足だということらしい。
本当に、こういうところは潔い。
「なんで、俺が残ってちゃいけないわけ?」
不意に問いかけられて、カガリは困った。
別に邪魔だなとか不満に思ったわけではない。ただ、どうして今回は自分のところだったんだろう。
しばし固まるラシードの顔は、何言ってんだこいつ──と言いたげだ。馬鹿にされたようでイラっとする。いつもキラにべったりのは事実なのに。
「待て待て。いつの話してんの」
「つい最近までのこと──?」
言いながら、カガリは首を傾げた。ラシードとカガリが一緒にいた時間を考えてみる。
ラクスとアスランがオーブに潜伏した後。アイリーン・カナーバ元議長ら臨時議会が戦時処理に追われている頃は、場所は違えど頻繁に連絡をとっていた。
ユニウス・セブンの件を含め、シーゲル・クライン、パトリック・ザラの施政時から動いており、戦後はある意味負の遺産となる引継ぎをギルバート・デュランダルに掛け合いに行って。そこから一年音沙汰なし。
共に地球に降りてきた直後に、アスランと共にプラントに戻ってしまっていた。おかしい、そう考えるとラシードはキラと一緒にいない時間の方が長いのでは。
「一年も棒に振ると思ってなかったからさ。すぐにオレを殺しにくると思ってたし」
死んだと思わせて地球に降りてくるつもりだったのに、割と施政に感して有能だと思われたのかラシードは手放してもらえなくなってしまっていた。
とはいっても、長時間の休眠に関して議長に気づかれないよう、ラクスの幼馴染たちが手を貸していたようだけど。
「ほんと最悪だわ。ヴィアから頼まれてたのに助けに行ってやれないとかなんの嫌がらせだよ」
仏頂面を見上げながら、カガリは変な声を漏らす。
もし一年前に、ユニウス・セブンが落とされることがないように問題を片付けられていたら。
ラシードがオーブにいたら。
施政問題に対してカガリの助けになる仲間は少なかったけど、大西洋連邦とスカンジナビアに所縁のあるこの人物が口を挟んできたら──セイラン家たちを、抑えることができていた。
「まあ、今更なんだけどな。ほんと、よく頑張ったよ」
よしよしと頭を撫でられて、カガリの目から思わず涙が溢れた。勝手に溢れてくるからどうしようもない。涙腺だけ壊れたみたいになっている。
「──っそれは、もういいじゃないか! それより、ティアが上がったことに驚いてる。あいつ、戦争には一切関与・協力しない──って」
ハンカチを取り出して慌てて目元に当てる。俯きながら苦し紛れに尋ねると、声が震えてしまった。
ラシードはそれに触れないでくれる。
「戦争兵器じゃなくて殺戮装置だからだろ」
「頓知で解決を図れるのはお前とティアくらいだな」
しれっとした様子が異様に面白く思えて、カガリは腹を抱えて笑い出した。
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