異国人設定ですが、外見は日本人と大差ないので和名でも問題ないです。
第一章:彼らの育手。
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「花柱の妹が、蟲柱になった」
びくん、と反応するラシードに、それだけだと告げて、天元と“まきを”が姿を消す。
鬼殺隊の幹部である柱──そのうちの一人、花柱が殉職したのは、そう昔の事ではない。
音柱として今も健在である天元は、ラシードと花柱が懇意にしていることを覚えていたのだろう。
もしかすると、藤襲山へ向かった某人物から、自分が狭霧山にいたことを聞いていたのかもしれない。けれど、禰豆子のことに触れてこなかったということは、鱗滝が烏を飛ばして不在であることを早々に知らせていた可能性がある。
鱗滝は、ラシードが雲取山へ行くことを知っていたはずだから。
「姉妹で柱、かあ」
義勇は知っていただろうな。水柱なのだから。
言わないでいてくれたのか、言う必要はないと思ってくれたのか、どちらだろうか。
*** ***
「──お前なんか嫌いだ」
頭上からの声に、ラシードはふう、とため息をついた。
あんまりにも騒がしかったから縛り上げて吊るしていたのだが、口数が減って行ったと思ったらこんな調子。
被り物を取り上げてから、特に敵意を向けられるようになった。
大切なんだろうなぁと思ったから、大切にお預かり中である。
「人のものを捕ったりするからだ。剣術出来ないのに刀持っててもしょうがないだろ──ほれ、返しなさい!」
「あれは勝負した上で俺様が手に入れたんだ! もう俺のもんだ!」
亡き花柱の後を、その妹である蟲柱が継ぐことになったと聞いてから、悄然としながら山中をうろついていたのだが。
その途中で刀を持っていない鬼殺隊員を発見。話を聞いてみたところ猪頭の人間に勝負を挑まれて負け、刀を奪われたという。
鱗滝には文句を言ってしまったが、もしかして鬼殺隊員の力量水準が本当に落ち過ぎているのかもしれない。
炭治郎の今後のことを考えると、あれくらい厳しく鍛えられている方が彼のためなのかも。
自らの情けなさに気落ちする隊員を一先ず街へ追い払い、こうしてラシードが様子を見にきたわけだ。
「勝負の結果なら、負けたこっちが悪いわな」
というより、刀はもう刃こぼれだらけ。返してもらってもあの隊員だって困るだろうし、刀鍛冶が卒倒しそう。
ラシードの反応に気を良くした野生児が、パアッと笑顔を見せる。