第1章 オニの妹。(全18話)
夢小説設定
この章の夢小説設定男女主人公にて展開しますが、
別に男の子でも女の子でも好きにお読みください。
両者ともに来日した異国人です。
炭治郎たちと肩を並べて戦えるスタイルではない、
予定(それはほかのサイト様に任せたいな)
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第2話 埋葬。
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「──何やってんだか」
血の匂いを目印に探し人にたどり着いたラシードは、現状を見て小さくぼやいた。
天狗面の老人──鱗滝左近次には聞こえていたはずなのだが、彼は意に介した様子もなくお堂の中から亡骸を一つ抱え上げる。
表で鬼を前に固まっている少年を一瞥してから、お堂の中で食い散らかされた骸を運び出すのを手伝った。臓腑から食べる鬼もいるが、それに比べれば遺体の形が綺麗なのは救いだろう。
「もう一人を運んでくる。それまでに整えておけ」
「ったく、人使い荒いな。このオヤジは」
久々の会話の最初がこれか。
変わらない相手の態度を前に、ラシードは破顔しつつ刀に手をかける。
技を繰り出してしまった方が手っ取り早いからだ。
テキパキと二人を埋葬し、鱗滝は空いた場所に最後の一人を横たえる。
こんもりと土を高く盛っておけば、誰かの墓と察する者は多い。血肉が土へ還る程度の期間であれば、荒らされることはないはずだ。
二人で並んで手を合わせる頃には、朝日の気配。
──それと、鬼が消える断末魔と、驚愕の匂い。
「オヤジがトドメを刺さなかったのは、あいつを育てる為か」
「義勇が推してきた子だ」
手を合わせたまま尋ねると、短い返答が。
あの気難しい人物が推薦とは。ただただ驚きでしかない。
「鬼殺の戦士としての望みは薄いが、あの子には力が必要だ。できる限りはしてやろうと思っている」
「──ふうん?」
身を守る為の力を授けると言っても、鱗滝のそれを授けるというのはまた結構な宝の持ち腐れになるような。
まあ、柱にもなれない自分がいうことではないか。
そうこうしているうちに、弟子仲間に推された少年が寄ってきた。
彼はラシードの姿に首を傾げたが、鱗滝に話しかけられてそれに応じている。
──食欲の気配がする。
気配の方へ足を踏み出しかけたところで、「竈門炭治郎と言います。妹は禰豆子で──」と少年が向かおうとした先を指差す。「妹が人を喰った時、お前はどうする」
思わず、え、と声を漏らしてしまったが、鱗滝のその問いかけに掻き消された。続けられた会話は、今現在の状況を理解するに足るもの。
妹が人を喰った時──妹を殺し、お前は腹を切って死ぬ。
幼い少年の必死の覚悟はまだちっぽけな視野のまま。それを取りこぼさず、石から刀を鍛えるよう容赦なく老人が叩き上げる。
それは鱗滝の考え方を押し付けるものではなく、強く細く、心からの願いだった。
元来、鬼へと形を変えてしまった人間は人を食う。それが普通だから。
だから、鬼殺の剣士は刀を振るい、鬼を殺すのだ。
「荷物はそれだけなのか」
お堂の中で、太陽の光が届かない場所でごそごそやっている小さな後ろ姿に語りかける。
着の身着のまま飛び出してきたような炭治郎とその妹。籠の中からこちらを伺う女の子のそれは、間違いなく鬼だった──食欲の気配は間違いなくコレだな。
「大荷物だったら手伝おうと思ったけど、必要なさそうだな」
「ありがとうございます!」
元気な声で、炭治郎は改めて名を名乗った。先程は鱗滝との対面で気を張っていたからだろう。ラシードに挨拶が遅れた事を詫びられる。
あの場合は仕方がなかったし、対応に関しての順序は正しい。
「ご丁寧にどうも、俺はラシード。この国に来てまだ数年しか経っていない異国人だけど、よろしくな〜!」
「そうなんですか?異国の方と会うのは初めてだったので、思い至りませんでした!」
異国人っぽいところなんてほとんど無いから仕方ないのだが。
なによりも鬼なんていると身体的特徴や外見などがデタラメだし。
「てわけで、お前もよろしくな〜ネズ〜」
籠の方へ手を差し出すと、小さな手が伸びてきて指先に触れてくる。よしよし、兄に似て妹の方も素直で良い子だ。
ちょっぴり驚いた顔の炭治郎が、不可解そうに首をかしげる。
「鱗滝さんもそうですが、あなたも禰豆子を斬ろうしないんですね」
「俺はともかくオヤジは経験則かなあ。お前だって、まだ人を喰わずに頑張ってるネズが死ぬの嫌だろ?」
問いかけると、炭治郎は一瞬泣きそうになった。けれど、すぐに決意のこもった目をしてうんと頷いてくる。
それからすぐに禰豆子を籠に納めた炭治郎は、鱗滝の後を追って走り出した。そんな二人の後ろを、ラシードものんびりと追走。
途中数回の休憩──炭治郎を気遣った鱗滝の計らい──を経て、一行は目的地へと到着する。