第1章 オニの妹。(全18話)
夢小説設定
この章の夢小説設定男女主人公にて展開しますが、
別に男の子でも女の子でも好きにお読みください。
両者ともに来日した異国人です。
炭治郎たちと肩を並べて戦えるスタイルではない、
予定(それはほかのサイト様に任せたいな)
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【幕間 炭治郎の嫁騒動】
「──どういうことなんだい‼︎」
まるで包丁でも突きつけられているような鋭い視線に、炭治郎はひいっと息を飲んだ。
馴染みの猟師の奥方である千代が、般若の形相でやってきたのは、鱗滝が隣の集落まで用事で出て行った直後だ。
薪割りを頼まれていたのでそれに精を出していたところで、捕まった。
「うちの、娘を、たぶらかしておいて! ほかの女を連れ込むなんて!」
こんな調子でぐいぐいとなじられ続けて、もうどれくらい経ったのだろうか。
一体なんの話か見当もつかない。
千代のところの娘とは、別に夫婦になる約束はしていないし、あちらもそのつもりはないはずだ。彼女には気になる相手がいて、匂いで炭治郎も把握していたし。
放っておいても二人はくっつくだろうから心配する必要はない。けれど、千代はそこまで鼻が効かないからわからないのだ。
部外者の自分が指摘することでもないし、これはどう切り抜ければいいのだろう。鱗滝が戻ってきてくれれば良いのだろうが──。
「どうしたんですか? 炭治郎くん?」
そこへ、山菜採りに行っていた元凶であるティアが戻ってきてしまった。
内心、炭治郎は悲鳴をあげる。最悪のタイミングだ。
千代の血走った目が、ティアに向けられた。
「炭治郎の嫁か!!」
「え──えええっ」
目を丸くしたティアが、驚いた声を上げて炭治郎を見た。ずんずん近づいてくる千代にむしろ自分から駆け寄って、それは失礼しました、と叫ぶ。
「炭治郎くん、結婚していたんですか? わたしったらご祝儀も用意せず、申し訳ないことをっ!」
ぴたり、と止まった千代に、ティアはぺこぺこ頭を下げる。お祝いは後日きちんとさせていただきますので、なんて本気の目で言っていた。
「おや、こりゃ早とちりだったみたいだ。いやあ、すまなかったねぇ〜お嬢ちゃん。わたしの勘違いだわ」
いや、そうじゃなくて──と炭治郎が言いかけるが、千代はティアの反応ですっかり敵意を失ったようで、あっけらかんと非を認めた。
対して話の流れを理解していないティアは、小首を傾げるばかり。
満足な表情でるんるんと帰っていく千代の後ろ姿を見送れば、どっと疲労が押し寄せてきて炭治郎はその場に膝をついてしまう。
今日も錆兎や真菰に稽古をつけてもらうのに。やれる気がしない。
「今日はこれから雨になります。少々激しくなりますから、山には入っては行けませんよ」
ふと、頭上から降ってくる助言に、炭治郎は疑問符を浮かべた。
雨の匂いなどしないのに。
けれど、ティアはふふふ、と笑って。
「わたしの友達がそう決めたそうなので、本日は瞑想して過ごして下さいね」
そうだった、ティアにはそういう力があったのだった。
何にしても困っていたところでの助け舟に、炭治郎は救われた気分になる。
「あんまり炭治郎を甘やかすな」
「私じゃないですよー。お友達がそうするってきかないんだから、仕方ありませんー」
いつの間にか帰ってきていた鱗滝に叱られた少女が、むう、と頬を膨らませて反論する。
そのやり取りに、炭治郎は冷や汗をかいた──もしかして、鱗滝さん、ずっと見ていたんじゃあ……。
「炭治郎、雨が降る前に薪割りを終わらせるように」
「はっ! そうでした、お任せください!」
出て行った時と同じ格好の鱗滝に改めて指示をされ、炭治郎は疑念も忘れ、慌てて斧を手に持った──。
めでたしめでたし(?)