こころ
『こころ』
つらいことがあった
だから泣いてみようと思ったのだけれど
はたして泣くにはどうすればよかったのか思い出せない
しばらく考えてみるが、考えれば考えるほど泣き方がわからず、無理に泣こうとする自分が滑稽に思えてしまう
泣く、とは無理矢理行うことではないだろうに、と
しかしとてもつらいことがあったので泣くべきなのだろうに
つらくて泣きたい、だが泣けず、無理に泣こうとする様は滑稽で
ということは
私の胸がすり潰されるほどのこのつらい苦しみが滑稽であるということなのだろうか
ああ、どうりで
誰にも理解されない苦しみだとは薄々感じていたのだ
理解されないとは苦しいものなのか
他者と違うということは滑稽なことなのか
他者との違いを嘲笑われて
こうして心は死んでいくのだ
死んでしまっているものに、泣き方もくそもあるものか
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