第9話:偽りの楽園、堕天使の罠
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◎三日目の夜:境界線の溶解
三度目の夜の儀式。
もはや、裸でこの男と同じベッドに入ることに、私の羞恥心は麻痺し始めていた。
だが、その夜、彼が私に課したルールは、これまでの二晩とは全く違っていた。
「―――今夜は、俺に背を向けて眠って」
静かで、しかし、拒絶を許さない命令。
私は、言われるがままに横になり、彼に完全に無防備な背中を向けた。
シーツの冷たい感触。
すぐ背後で、彼がベッドに身を沈める気配がする。
そして、その熱い胸板が、私の背中に、ぴったりと密着した。
「ひぅっ…!」
思わず、声が漏れる。
「……怖がらなくていい」
耳元で、彼の低い声が囁く。
そして、彼の長い腕が、私の身体の前へと回り込み、その大きな手が、私の腹部を優しく包み込んだ。
背後から、完全に抱きしめられる形。
私の後頭部に、彼の顎がそっと乗せられる。
彼の心臓の音が、私の背中を通して、直接響いてくるようだった。
「……やめ…」
「……しー」
彼のもう一方の手が、私の髪を優しくかき分け、その剥き出しになったうなじに、彼の冷たい唇が触れた。
昨夜の儀式の再来。
しかし、その密度も熱も、全く違っていた。
首筋に舌を這わされる。
耳朶を甘く噛まれる。
「…ん、ぁ…っ」
その度に、私の身体から力が抜けていく。
ダメだ。
抵抗しなきゃ。
(……杉浦くん……)
脳裏に、あの不器用な笑顔が浮かぶ。
しかし、彼の顔は、すぐに目の前の男によって、私の内側に刻み込まれていく圧倒的な快感によって、掻き消されていく。
彼の唇が、私の唇を求めてくる。
私は、顔を背けようとする。
だが、彼は、私の顎を固定すると無理やりその唇を奪った。
彼の瞳には、これまでとは明らかに違う剥き出しの「欲望」の色が、宿っていた。
もう、挨拶代わりの優しいキスではない。
ベッドに横たわった、私の後頭部を、その大きな手で、優しく、しかし有無を言わさず固定すると、彼は初めてその舌を、私の口の中へとねじ込んできた。
「んむぐっ……!」
抵抗する暇もない。
彼の熱くて柔らかい舌が、私の口内を蹂躙し、全ての隅々までを味わい尽くすかのように貪っていく。
それは、もう、ただのキスではなかった。
私の理性を完全に麻痺させ、思考を奪い去るための、濃密な魂の上書き。
長い長いキスが、終わり、解放された時。
私たちの口の間には、一本の銀色の糸が引いていた。
「……は、ぁっ……はぁっ……」
息も絶え絶えな、私の耳元で、彼は悪魔のように囁いた。
「…………どうやら、身体はもう準備万端みたいだね」
その言葉と同時に、彼の冷たい指が、昨夜までは決して触れなかった聖域へと侵入してきた。
薄いシーツの布ごしに、私の熱く濡れた秘部を、彼は指の腹で、ぐり、と強く押し付けた。
「―――ひッ!」
声にならない、悲鳴。
びくん、と私の腰が勝手に跳ね上がる。
彼の指は容赦しない。
その布の上から、私の一番敏感な花芯を、まるで場所を確かめるかのように、何度も何度もこすり上げた。
「……ん、ぁっ……! や、やめ……っ!」
私のか細い抵抗の言葉。
そして同時に。
彼の唇もまた、昨夜とは違う場所を求めていた。
その唇は、ついに、私の胸の一番敏感な頂上を捉え、ちゅ、と優しく吸い上げたのだ。
「―――あああああんっ!」
強烈な快感の挟み撃ちに、私の理性は、完全に限界だった。
「……イきそうだね、未華子さん」
冷たい、観察者のような言葉。
「……まだ早いよ。…今夜は、まだ『お預け』」
残酷な宣告と同時に、彼は全ての接触をぴたりと止めた。
そして、昨夜と同じように。
「…………おやすみ」
と囁くと、悪魔のように私に背を向けて、穏やかな寝息を立て始める。
残されたのは、絶頂の寸前で突き放された、私の、熱く、疼き続ける身体だけ。
屈辱と快感の、洪水の中で。
私はただ、自分の身体を抱きしめ、声を殺して震えることしかできなかった。
この男の前で、自分が完全にただの「雌」になり果てるまで、あとどれぐらいの耐えられるのかわからなかった。
◎四日目の夜:理性の焼失
四日目の夜。
もう、私の中に「抵抗」という文字はなかった。
これまでの三日間で、私の身体は、完全に彼の調教の虜になっていたからだ。
夕食の高級ワインを、一口飲むだけで身体が熱くなる。
彼が隣を通り過ぎるだけで、肌が粟立つ。
シャワーを浴びている時ですら、背徳的な夜の儀式を思い出してしまい、自分の指が無意識に、熱く疼く中心へと伸びてしまっていた。
その浴室の鏡に映った、自分の淫らな姿に、ハッとしたその瞬間。
「…………ダメだよ、未華子さん」
曇りガラスのドアの向こうから、彼の楽しむような声がした。
心臓が凍りついた。
「俺が『いい』って、言うまで。…自分で触っちゃ」
静かで絶対的な命令に、私はただ震えながら従うことしかできなかった。
その夜。
ベッドの上で向かい合った彼の手には、一本の黒いシルクのスカーフが握られていた。
「……お風呂で、ひとりで弄って遊ぼうとした罰ね」
彼は、そう言うと、私の両手首を、優しく、しかし有無を言わさぬ力で、頭上のベッドボードに結びつけた。
緩やかな拘束。
でも、それは、私から最後のささやかな「抵抗」の術を、完全に奪い去った。
その夜の彼の愛撫は、これまでとは比較にならないほど執拗で、そして残酷だった。
彼は、これまでの三日間で完全にインプットした、私の身体の快感の地図。
その全てのポイントを、一つ一つ確かめるように、舌と指で正確に、容赦なく攻撃してくる。
胸の頂上を指先で、コリコリと弄びながら。
もう一方の手の指は、私の濡れた花園をゆっくりとかき分けていく。
そしてその手が、ついに、これまで布の上からしか触れることのなかった聖域の扉を直接こじ開けた。
「―――ひっ!」
彼の冷たい指が、私の熱く濡れた花弁を、直接割り、その柔らかな粘膜に触れる。
直接的な感覚に、私の腰が、びくん、と大きく跳ねた。
「……すごいな。…もう、こんなに濡れてる」
彼の指は容赦しない。
ゆっくりと円を描くように、その場所を撫でる。
時折、指の腹で、私の一番敏感な花芯を、ぐり、と強く押し付ける。
「あ、んっ…! あ、そこ…っ!」
もう、声は止められない。
私の身体は、完全に彼のものだ。
彼の指が、一本、また一本と、私の狭い入り口を押し広げ、奥へと侵入してくる。
それは、痛みではなかった。
ただ、ひたすらに満たされていく、圧倒的な快感。
彼の指が中でくねり、私の今まで知らなかった敏感な場所を、抉るように刺激する。
「いや、あ、そこ、だめ…っ! じん、じんする……っ!」
私の懇願。
「……じん、じん、する?」
彼は、楽しそうに、その言葉を繰り返した。
「―――じゃあ、もっとしてあげる」
悪魔の囁きと共に、彼は指の動きを、さらに激しくする。
もう、ダメだ。
イく。イってしまう。
「あ、あ、あああっ! も、だめ……! いかせて、おねがい…っ!」
私が、絶頂の寸前まで追い詰められた、その、瞬間。
「…………ダメだよ」
ぴたり。
全ての、動きが止まった。
そして彼は、私の身体からその指をゆっくりと引き抜くと。
私の蜜でぐしょぐしょに濡れた指を、見せつけるように、ぺろり、と舐めとった。
そして、昨夜と、同じように。
「…………おやすみ、未華子さん」
その夜、私は、絶頂を寸止めされた、そのどうしようもない熱と疼きを自分で慰めることも許されない、手首を頭上で拘束された状態で声を殺して泣いた。
自分の身体が、完全に、この美しい悪魔のおもちゃになり果ててしまったことを悟りながら。
◎五日目の夜:楽園の陥落
焦らされ、焦らされ、焦らされ続けた、五日目の夜。
もう、私の中に、正常な思考は残っていなかった。
昨夜、絶頂を寸止めされたどうしようもない熱と疼きは、一日中、私の身体の芯に燻り続けていた。
その、渇ききった私の瞳を見て。
エイトは、初めて、心からの満足そうな笑みを浮かべた。
そして、その夜の、最後のルールを告げた。
「……今夜は、一日目と同じね」
「……え?」
「二人とも、生まれたままの姿で向き合ってベッドに入る。…そこから始めよう」
「…………」
「そして、俺のものがあなたの中に入ったら。……そこから30分。…一切、動いてはいけない」
「…………っ!」
「あなたと俺の全てが、完全に一つになった、その感覚だけを味わうんだ。…もし、俺より先に動いてしまったら。……また、明日の夜までお預けだよ」
「―――いいね?」
残酷で甘美な最後のゲームのルールに、こくりと頷き、私は全てを受け入れた。
冷たい、シーツの中。
向かい合う、二つの裸体。
彼の、美しく鍛え上げられた黒豹のような身体。
そして、その中心で、すでに禍々しいまでの熱を持って、その存在を主張する、彼の楔。
私はもう、目を逸らすことができなかった。
逸る気持ちを抑えるように、彼の唇が私のものにそっと重なる。
最初は、優しいキス。
だが、その熱は、瞬く間に、互いの理性を焼き尽くしていく。
深く舌を絡ませ合う。
昨晩と同様に、シルクのスカーフで、緩く手首をベッドボードに結びつけられる。
抵抗はしなかった。
むしろ、快感を増幅させるための儀式。
彼の熱い舌が、これまでの四日間で完全に知り尽くした、私の快感の地図を正確に、そして、容赦なく蹂躙していく。
耳朶、うなじ、そして、焦らされ続けた乳首。
「あ、んっ……!」
舌先で、ちろりと舐め上げられただけで、私の背中は弓なりにしなった。
理性の箍 は、とうに外れ、もはや懇願に近い喘ぎ声しか喉から出てこない。
彼の指は、もう迷わない。
私の蜜でぐしょぐしょに濡れた花園を、優しくこじ開け、私の疼きの中心である花芯を、く、と強く押す。
「ひぅっ……!」
下腹部の奥で、熱い痺れが弾けた。
「……エイト……お願い……欲しい……っ」
恥もプライドも、杉浦くんへの想いさえも、この燃え盛る欲望の前には、塵芥 のようだった。
私の涙ながらの懇願に、彼はようやくその美しい顔を上げた。
そして、その熱く硬くなった自身を、ゆっくりと、私の焦らされ続けた入り口へと導く。
先端が、私の熱い粘膜に触れた、その瞬間。
ぞくり、と、全身が、歓喜に打ち震えた。
「―――あぁッ!」
息が止まる。
四日間、何も受け入れていなかった私の内壁が、彼の大きさと熱に、無理やり押し広げられていく。
痛みと、それ以上の、満たされるという圧倒的な快感。
彼の全てが、私の奥深くまで埋め尽くされ、子宮の入り口を、ぐり、と抉った、その一番奥で、彼はぴたりとその動きを止めた。
「……………っ、は、ぁ……」
「……ここからだよ、未華子さん」
耳元で、彼の低い声が囁く。
「―――30分、だ」
私の中で、彼の楔が、どくん、どくん、と脈打っているのが、生々しく伝わってくる。
私の内壁もまた、意思とは関係なく、きゅう、きゅう、と彼を締め付けてしまう。
動きたい。
動いてほしい。
本能的な欲望が、私の全身を支配する。
肌と肌が触れ合う熱。
互いの、荒い呼吸音。
彼の香水の匂い。
全ての感覚が、極限まで研ぎ澄まされていく。
そして、どれくらい時間が経っただろうか。
彼の、静かな囁き声が沈黙を破った。
「……………もう、いいよ。―――好きにして」
その許しの言葉が引き金だった。
「―――ッ!」
私が、自分の腰を動かしたのか。
彼が、突き上げてきたのか。
もう、わからなかった。
ただ、一心不乱に、求め合った。
これまでの、四日間の渇望の全てをぶつけ合うかのように。
「んぁ……っ! そこ、だめ……いく、いっちゃう……!」
「……まだだめ」
彼は、私の身体を反転させ、背後から再び、深く貫いた。
「……こっちの方が、奥まで、届くだろ……?」
空いている彼の手が、私の胸を鷲掴みにし、花芯を強くこねるように弄ぶ。
上下からの容赦ない刺激に、何度も何度も、絶頂の波が押し寄せた。
その度に、意識が白く染め上げられる。
思考は溶けて、なくなり、ただ目の前の男が与えてくれる、底なしの快楽の波に溺れていくだけ。
―――ああ、このまま、この人の腕の中で溶けてしまいたい。
そんな、背徳的な想いが、私の心を完全に支配していた。
そして、最後の、深い深い結合の中。
彼の熱い奔流が、私の奥深くで迸るのを感じながら。
私の意識は、完全に白い光の中に消えていった。
楽園は陥落した。
そして、私の心もまた、完全にこの美しい悪魔の虜となっていた。
三度目の夜の儀式。
もはや、裸でこの男と同じベッドに入ることに、私の羞恥心は麻痺し始めていた。
だが、その夜、彼が私に課したルールは、これまでの二晩とは全く違っていた。
「―――今夜は、俺に背を向けて眠って」
静かで、しかし、拒絶を許さない命令。
私は、言われるがままに横になり、彼に完全に無防備な背中を向けた。
シーツの冷たい感触。
すぐ背後で、彼がベッドに身を沈める気配がする。
そして、その熱い胸板が、私の背中に、ぴったりと密着した。
「ひぅっ…!」
思わず、声が漏れる。
「……怖がらなくていい」
耳元で、彼の低い声が囁く。
そして、彼の長い腕が、私の身体の前へと回り込み、その大きな手が、私の腹部を優しく包み込んだ。
背後から、完全に抱きしめられる形。
私の後頭部に、彼の顎がそっと乗せられる。
彼の心臓の音が、私の背中を通して、直接響いてくるようだった。
「……やめ…」
「……しー」
彼のもう一方の手が、私の髪を優しくかき分け、その剥き出しになったうなじに、彼の冷たい唇が触れた。
昨夜の儀式の再来。
しかし、その密度も熱も、全く違っていた。
首筋に舌を這わされる。
耳朶を甘く噛まれる。
「…ん、ぁ…っ」
その度に、私の身体から力が抜けていく。
ダメだ。
抵抗しなきゃ。
(……杉浦くん……)
脳裏に、あの不器用な笑顔が浮かぶ。
しかし、彼の顔は、すぐに目の前の男によって、私の内側に刻み込まれていく圧倒的な快感によって、掻き消されていく。
彼の唇が、私の唇を求めてくる。
私は、顔を背けようとする。
だが、彼は、私の顎を固定すると無理やりその唇を奪った。
彼の瞳には、これまでとは明らかに違う剥き出しの「欲望」の色が、宿っていた。
もう、挨拶代わりの優しいキスではない。
ベッドに横たわった、私の後頭部を、その大きな手で、優しく、しかし有無を言わさず固定すると、彼は初めてその舌を、私の口の中へとねじ込んできた。
「んむぐっ……!」
抵抗する暇もない。
彼の熱くて柔らかい舌が、私の口内を蹂躙し、全ての隅々までを味わい尽くすかのように貪っていく。
それは、もう、ただのキスではなかった。
私の理性を完全に麻痺させ、思考を奪い去るための、濃密な魂の上書き。
長い長いキスが、終わり、解放された時。
私たちの口の間には、一本の銀色の糸が引いていた。
「……は、ぁっ……はぁっ……」
息も絶え絶えな、私の耳元で、彼は悪魔のように囁いた。
「…………どうやら、身体はもう準備万端みたいだね」
その言葉と同時に、彼の冷たい指が、昨夜までは決して触れなかった聖域へと侵入してきた。
薄いシーツの布ごしに、私の熱く濡れた秘部を、彼は指の腹で、ぐり、と強く押し付けた。
「―――ひッ!」
声にならない、悲鳴。
びくん、と私の腰が勝手に跳ね上がる。
彼の指は容赦しない。
その布の上から、私の一番敏感な花芯を、まるで場所を確かめるかのように、何度も何度もこすり上げた。
「……ん、ぁっ……! や、やめ……っ!」
私のか細い抵抗の言葉。
そして同時に。
彼の唇もまた、昨夜とは違う場所を求めていた。
その唇は、ついに、私の胸の一番敏感な頂上を捉え、ちゅ、と優しく吸い上げたのだ。
「―――あああああんっ!」
強烈な快感の挟み撃ちに、私の理性は、完全に限界だった。
「……イきそうだね、未華子さん」
冷たい、観察者のような言葉。
「……まだ早いよ。…今夜は、まだ『お預け』」
残酷な宣告と同時に、彼は全ての接触をぴたりと止めた。
そして、昨夜と同じように。
「…………おやすみ」
と囁くと、悪魔のように私に背を向けて、穏やかな寝息を立て始める。
残されたのは、絶頂の寸前で突き放された、私の、熱く、疼き続ける身体だけ。
屈辱と快感の、洪水の中で。
私はただ、自分の身体を抱きしめ、声を殺して震えることしかできなかった。
この男の前で、自分が完全にただの「雌」になり果てるまで、あとどれぐらいの耐えられるのかわからなかった。
◎四日目の夜:理性の焼失
四日目の夜。
もう、私の中に「抵抗」という文字はなかった。
これまでの三日間で、私の身体は、完全に彼の調教の虜になっていたからだ。
夕食の高級ワインを、一口飲むだけで身体が熱くなる。
彼が隣を通り過ぎるだけで、肌が粟立つ。
シャワーを浴びている時ですら、背徳的な夜の儀式を思い出してしまい、自分の指が無意識に、熱く疼く中心へと伸びてしまっていた。
その浴室の鏡に映った、自分の淫らな姿に、ハッとしたその瞬間。
「…………ダメだよ、未華子さん」
曇りガラスのドアの向こうから、彼の楽しむような声がした。
心臓が凍りついた。
「俺が『いい』って、言うまで。…自分で触っちゃ」
静かで絶対的な命令に、私はただ震えながら従うことしかできなかった。
その夜。
ベッドの上で向かい合った彼の手には、一本の黒いシルクのスカーフが握られていた。
「……お風呂で、ひとりで弄って遊ぼうとした罰ね」
彼は、そう言うと、私の両手首を、優しく、しかし有無を言わさぬ力で、頭上のベッドボードに結びつけた。
緩やかな拘束。
でも、それは、私から最後のささやかな「抵抗」の術を、完全に奪い去った。
その夜の彼の愛撫は、これまでとは比較にならないほど執拗で、そして残酷だった。
彼は、これまでの三日間で完全にインプットした、私の身体の快感の地図。
その全てのポイントを、一つ一つ確かめるように、舌と指で正確に、容赦なく攻撃してくる。
胸の頂上を指先で、コリコリと弄びながら。
もう一方の手の指は、私の濡れた花園をゆっくりとかき分けていく。
そしてその手が、ついに、これまで布の上からしか触れることのなかった聖域の扉を直接こじ開けた。
「―――ひっ!」
彼の冷たい指が、私の熱く濡れた花弁を、直接割り、その柔らかな粘膜に触れる。
直接的な感覚に、私の腰が、びくん、と大きく跳ねた。
「……すごいな。…もう、こんなに濡れてる」
彼の指は容赦しない。
ゆっくりと円を描くように、その場所を撫でる。
時折、指の腹で、私の一番敏感な花芯を、ぐり、と強く押し付ける。
「あ、んっ…! あ、そこ…っ!」
もう、声は止められない。
私の身体は、完全に彼のものだ。
彼の指が、一本、また一本と、私の狭い入り口を押し広げ、奥へと侵入してくる。
それは、痛みではなかった。
ただ、ひたすらに満たされていく、圧倒的な快感。
彼の指が中でくねり、私の今まで知らなかった敏感な場所を、抉るように刺激する。
「いや、あ、そこ、だめ…っ! じん、じんする……っ!」
私の懇願。
「……じん、じん、する?」
彼は、楽しそうに、その言葉を繰り返した。
「―――じゃあ、もっとしてあげる」
悪魔の囁きと共に、彼は指の動きを、さらに激しくする。
もう、ダメだ。
イく。イってしまう。
「あ、あ、あああっ! も、だめ……! いかせて、おねがい…っ!」
私が、絶頂の寸前まで追い詰められた、その、瞬間。
「…………ダメだよ」
ぴたり。
全ての、動きが止まった。
そして彼は、私の身体からその指をゆっくりと引き抜くと。
私の蜜でぐしょぐしょに濡れた指を、見せつけるように、ぺろり、と舐めとった。
そして、昨夜と、同じように。
「…………おやすみ、未華子さん」
その夜、私は、絶頂を寸止めされた、そのどうしようもない熱と疼きを自分で慰めることも許されない、手首を頭上で拘束された状態で声を殺して泣いた。
自分の身体が、完全に、この美しい悪魔のおもちゃになり果ててしまったことを悟りながら。
◎五日目の夜:楽園の陥落
焦らされ、焦らされ、焦らされ続けた、五日目の夜。
もう、私の中に、正常な思考は残っていなかった。
昨夜、絶頂を寸止めされたどうしようもない熱と疼きは、一日中、私の身体の芯に燻り続けていた。
その、渇ききった私の瞳を見て。
エイトは、初めて、心からの満足そうな笑みを浮かべた。
そして、その夜の、最後のルールを告げた。
「……今夜は、一日目と同じね」
「……え?」
「二人とも、生まれたままの姿で向き合ってベッドに入る。…そこから始めよう」
「…………」
「そして、俺のものがあなたの中に入ったら。……そこから30分。…一切、動いてはいけない」
「…………っ!」
「あなたと俺の全てが、完全に一つになった、その感覚だけを味わうんだ。…もし、俺より先に動いてしまったら。……また、明日の夜までお預けだよ」
「―――いいね?」
残酷で甘美な最後のゲームのルールに、こくりと頷き、私は全てを受け入れた。
冷たい、シーツの中。
向かい合う、二つの裸体。
彼の、美しく鍛え上げられた黒豹のような身体。
そして、その中心で、すでに禍々しいまでの熱を持って、その存在を主張する、彼の楔。
私はもう、目を逸らすことができなかった。
逸る気持ちを抑えるように、彼の唇が私のものにそっと重なる。
最初は、優しいキス。
だが、その熱は、瞬く間に、互いの理性を焼き尽くしていく。
深く舌を絡ませ合う。
昨晩と同様に、シルクのスカーフで、緩く手首をベッドボードに結びつけられる。
抵抗はしなかった。
むしろ、快感を増幅させるための儀式。
彼の熱い舌が、これまでの四日間で完全に知り尽くした、私の快感の地図を正確に、そして、容赦なく蹂躙していく。
耳朶、うなじ、そして、焦らされ続けた乳首。
「あ、んっ……!」
舌先で、ちろりと舐め上げられただけで、私の背中は弓なりにしなった。
理性の
彼の指は、もう迷わない。
私の蜜でぐしょぐしょに濡れた花園を、優しくこじ開け、私の疼きの中心である花芯を、く、と強く押す。
「ひぅっ……!」
下腹部の奥で、熱い痺れが弾けた。
「……エイト……お願い……欲しい……っ」
恥もプライドも、杉浦くんへの想いさえも、この燃え盛る欲望の前には、
私の涙ながらの懇願に、彼はようやくその美しい顔を上げた。
そして、その熱く硬くなった自身を、ゆっくりと、私の焦らされ続けた入り口へと導く。
先端が、私の熱い粘膜に触れた、その瞬間。
ぞくり、と、全身が、歓喜に打ち震えた。
「―――あぁッ!」
息が止まる。
四日間、何も受け入れていなかった私の内壁が、彼の大きさと熱に、無理やり押し広げられていく。
痛みと、それ以上の、満たされるという圧倒的な快感。
彼の全てが、私の奥深くまで埋め尽くされ、子宮の入り口を、ぐり、と抉った、その一番奥で、彼はぴたりとその動きを止めた。
「……………っ、は、ぁ……」
「……ここからだよ、未華子さん」
耳元で、彼の低い声が囁く。
「―――30分、だ」
私の中で、彼の楔が、どくん、どくん、と脈打っているのが、生々しく伝わってくる。
私の内壁もまた、意思とは関係なく、きゅう、きゅう、と彼を締め付けてしまう。
動きたい。
動いてほしい。
本能的な欲望が、私の全身を支配する。
肌と肌が触れ合う熱。
互いの、荒い呼吸音。
彼の香水の匂い。
全ての感覚が、極限まで研ぎ澄まされていく。
そして、どれくらい時間が経っただろうか。
彼の、静かな囁き声が沈黙を破った。
「……………もう、いいよ。―――好きにして」
その許しの言葉が引き金だった。
「―――ッ!」
私が、自分の腰を動かしたのか。
彼が、突き上げてきたのか。
もう、わからなかった。
ただ、一心不乱に、求め合った。
これまでの、四日間の渇望の全てをぶつけ合うかのように。
「んぁ……っ! そこ、だめ……いく、いっちゃう……!」
「……まだだめ」
彼は、私の身体を反転させ、背後から再び、深く貫いた。
「……こっちの方が、奥まで、届くだろ……?」
空いている彼の手が、私の胸を鷲掴みにし、花芯を強くこねるように弄ぶ。
上下からの容赦ない刺激に、何度も何度も、絶頂の波が押し寄せた。
その度に、意識が白く染め上げられる。
思考は溶けて、なくなり、ただ目の前の男が与えてくれる、底なしの快楽の波に溺れていくだけ。
―――ああ、このまま、この人の腕の中で溶けてしまいたい。
そんな、背徳的な想いが、私の心を完全に支配していた。
そして、最後の、深い深い結合の中。
彼の熱い奔流が、私の奥深くで迸るのを感じながら。
私の意識は、完全に白い光の中に消えていった。
楽園は陥落した。
そして、私の心もまた、完全にこの美しい悪魔の虜となっていた。
