五年生対六年生
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『なんでこんな目に。』
「楽しみだな。」
「もそ。」
「さあ、始めようか。」
「腕がギンギンなるぜ。」
「足を引っ張るなよ。」
「お前こそな。」
「二人共勝負の前に喧嘩しないでくれよ〜。」
六年生は和気藹々と準備体操を始める。
その横で私はストレッチで事前準備するが正直自信がない。
『頼むから程々にお願いね。六人とも。』
「そう言うな。お前が宝なんだ。何がなんでも勝たんとな。」
『留三郎、期待するような事なんてないよ。私にそんな価値ありません。』
「お前には五年生と何を話していたか洗いざらい吐いてもらうぞ。」
『仙蔵に言うとあの子達に何かするでしょ。絶対言わない。』
「ほう、なら手始めに私と色々とやってみるか?」
『意味深なこと言わないで。』
「取り敢えずあの五年生からお前を見つけたらいい事だ。私が一番最初に見つけたら鍛錬に付き合ってもらうぞ!」
小平太までそんな事言ってくる始末。
好き勝手言う六年生に呆れて疲れてくる。
決着つく前になんとかしなくちゃ。
「お前達のいつもの成果を見せるいい機会だ!自信を持っていけ!」
「はい!!木下先生!」
「日頃の恨みを晴らす!」
「違うよ勘右衛門。とにかく頑張ろう。」
「普段と違う俺達を見せてやる!」
五年生が意気込む中、いよいよ学園長先生のスタートが始まる。
「そしたらこれより六年生対五年生の宝探しゲームを始める!みな用意につけ!」
五年生と六年生が対峙がする。お互いに鋭い眼光を交わし思わず生唾を飲み込んでしまう。
中々見ない光景だから改めて見るとこれでも最上級生だから迫力がある。この人達にいまから追われると思うとゾッとする。
「名前はそこにいないで、さっさとどこかに隠れなさい。」
「あいつらに見つかると厄介だから何処か遠くか見つけにくい所に行くんだぞ。」
『ちなみにくのたま長屋はだめですよね?』
「「それ以外だ。」」
『はーい。』
だめ元で聞いてみたらやっぱりだめか。ですよね。
「それでははじめ!!」
学園長先生のスタートで一気に五、六年生が飛び交う。
『どこに隠れよう。』
猛烈な勢いで木々を移動し取り敢えず地上より姿を消す。匂いでヘムヘムに位置を特定されないように学園内に私物をあっちこっちに隠す。これでまずヘムヘムの鼻の混乱は出来るはず。少ない時間稼ぎにはなると思うけど。
「どこだー。」
「いけいけどんどーん!いけいけどんどーん!」
「そんな所には居ないよ小平太。」
六年生の声が聞こえてくる。気配にして三人は近くにいる。けど固まりすぎじゃない?と思わず首を傾げる。この後ろに仙蔵とかい組が居たら驚くけど気配はしないから大丈夫そうだ。
小平太の塹壕堀中に見つかったのか四年生の悲鳴が聞こえてくる。巻き添えになった後輩に思わず手を合わす。ごめんね。四年生。
「ヘムヘム。ヘム!ヘムヘムヘムーーー!」
五年生達はヘムヘムの案内により草むら近くに歩みを急ぐ。
「ここだな。」
「でも草むらだよ。こんな所に名前先輩がいそうな気はしないと思うけど。」
「待て雷蔵。ヘムヘムは違う所を嗅いでいるぞ。」
「ヘムヘム。ヘムーー。ヘム!ヘムヘムヘムー!」
「上を指している?……まさか名前先輩は木々を移動しているっていうことか。」
思わず三郎が声を上げる。
「ヘム!」
それに誇らしそうな返事をし、ヘムヘムが勝ち誇るような顔をする。ちょっとヘムヘムの鼻を舐めてたかも。
「でも学園内には沢山の木々があるけど何処にいるんだろう。」
「取り敢えず手分けしてそれぞれ探すしかないだろう!」
「お前達遅いじゃないか。」
「「先輩方!」」
一足早く来ていた仙蔵、文次郎、留三郎の三人が揃っている。さすが六年生と言うべきか此処まで近くに来るとは。実践経験が伊達じゃない。
「どうしてここが?」
「言うな?三郎。名前の普段の行動を考えれば予測がつく。」
「ヘムヘムに頼らなくてもな。」
三人の言葉に思わず詰まる五年生。
「それにしては先輩達も名前先輩を捕まえてないようですけど。」
八左ヱ門が言い返す。
「ヘムヘムがいるのに遅れをとったお前達に説教をする事が先だからな。」
「それに始まってすぐに勝負がついてしまってもいいのかな。」
「それはお前達が可哀想だろう。」
五年生を挑発するようにいう三人。多分これでやる気を更に出させようをしているんだろう。我ながらいい役割をしていると感心を持つ。こんな事を言われた五年生達はそうでもない。
「可哀想?僕たちがですが?」
「とにかく待ったんだ。面白くしてくれよ。」
「気配はこの上の木々だ。行くぞ!」
『ちょっと待ってよ。普段の行動を考えれば分かるってどういう事?』
今に食って掛かろうととする六年生の姿をみて思わず地上に姿を現す。
「名前先輩!」
「やっぱりここにいたな。何、普段お前はここで昼寝とかしているだろう。だから此処だと思ってな。」
「俺達の考えに狂いは無かったっと言うことだ。」
『それはそれで理解されても何だか悔しいんだけど。でもこの感じだと流石に捕まりそうだからひとまず逃げるねっ!!!』
そう言うと全力疾走し足速に逃げる。
「追え!急げ!!!」
仙蔵、文次郎、留三郎の三人が追ってくる。
取り敢えず範囲の広い裏山まで逃げるしかない。
あそこなら死角が沢山あるし最悪罠も仕掛ける事ができる。追われながらも冷静に考えられる事に自分に驚かされる。
「俺達も追うぞー!」
「うん?何か聞こえる?」
「どうしたの小平太?」
「もそ。」
あ、伊作、小平太、長次にも見つかってしまった。めんどくさいことになりそう。
「あ、来た来た。」
「名前、いらっしゃい!」
『小平太、伊作、長次!そこ逃がしてくれたら今度良い物あげる。』
「そういう訳には行かないぞ!いけどーん!」
『今苦無で勝負しているばやいではないでしょ!』
思わず懐から苦無を出し、小平太に応戦する。
そうすると後ろから般若の顔をした三人が来て追いつかれる。本当にそろそろやばいかも。
「そろそろ決まりかな。」
「よくやった三人とも。名前観念しろ。」
『本当に観念しないといけない?』
仙蔵、文次郎、留三郎に追いつかれ、六年生全員に囲まれどうしようか悩んでいると五年生達も追いついてきた。視界の端に平助が何か持っているのを見かける。あれにかけるしかないか。
「まだだ!」
「なに!」
八の制止の声に全員振り返る。
「特製!煙玉!!!」
平助が煙玉を投げつけると玉が破裂し辺り一面に白い煙が立ち込める。逃げるなら今しかない。あらかた準備していた変わり身で巻こうとする。途中長次に気づかれた気がするが上手く変わり身が役目を果たしてくれた。
「…… 名前がいない!どこだ!!」
「ピピーーーーッツ!!」
その直後土井先生の終了の笛が鳴り響く。
「どうだ半助。結果は。」
「えーっと、名前はいません。上手くかわしました。」
「逃げ追うせたか。」
「お前達、面白い事をする。」
「それはあれだけ挑発されれば。」
宝がいないことにメンバーからは舌打ちも聞こえるが不敵な笑みを五年生に向ける六年生。
「これはまた振り出しに戻ったの〜。」
「名前先輩は何処に行ったんだろう。」
そこにはいない先輩に心配を寄せる一年生の後輩。
『はぁ、はぁっ…』
息が乱れながらも裏山方面に向かって足速に向かう。取り敢えず裏山の方へ行こう。ここから学園内も見えるっていうことはあっちからも見えるって云うことだから条件は相手も一緒か。
「見えた!山の方に向かってるぞ!」
「よぅし、名前を追うぞ!」
「俺たちも追うぞ!」
そんな彼らに例の彼が立ち塞がる。
「皆さん!待ってください!外出届けを出さないとが外にでちゃいけません!」
「「うわぁ、小松田さん!」」
そう門番にはあのへっぽこマニュアル通りしか動かない小松田さんがいる。あそこでだいぶ時間が取られる事を想像してなかっただろう。
そんなこんなで時間がかかっている事に対しイライラしている留三郎と文次郎の喧嘩が始まる。
貴重な時間稼ぎをありがとう二人共。因みは私は外出届けを先に提出済み。小松田さんに励ましのエールももらったから頑張れる。
油断は大敵。次なる戦法を考え裏山に足を早める。