五年生対六年生
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「「今日という今日は許せませーん!!」」
『うん? 今何か聞こえた気がする。』
側を通りかかり、そこを見ると乱太郎、きり丸、しんべえの三人とニ年生の池田三郎次、川西左近が話している姿を見つける。
『あれ、二人帰って行くけど何かあったのかな?』
思わず気になりそばに寄っていく。
「「あーーー悔しいい!!!、二年生だからって威張っちゃって!!」」
『どうしたの?三人とも何があったの?』
「あ、名前先輩!実はあの二人が…」
話しを聞くとどうやら二人がこの三人に悪さをしたらしい。特にきり丸に。でも三郎次。きりちゃんにはタチの悪いような意地悪をしちゃって。
『なるほどね。だから二年生に怒ってるのね。』
「「そうなんです。二年生の先輩ってばいつも私達をからかうんだから!」」
『あらら、でも三郎次の意地悪さは元々だけど私からもほどほどに伝えとくね。あの子達も後輩が出来て嬉しそうな所はあるし今回の事は許してやって。』
「「名前先輩〜。あの人らに是非よろしくお願いします泣。」」
「わかるわかる。」
そう一年生を宥めていると後ろから五年生の竹谷八左ヱ門が姿を現した。
っていうか気配がすると思ったらそこにいたのね。
『そこにいたの八。びっくりした。』
「名前先輩こんにちは。いや〜先輩をお見かけして思わず来ちゃいました。ハハ。」
声掛けると爽やかな笑顔で返事をくれる八左ヱ門。
「「先輩のそのわかるわかるってどういうことですか?」」
一年生の三人が八左ヱ門に聞く。
「わかるよ。俺達も六年生の先輩達にひどいめに合っているから。」
「先輩の一個上の先輩といえば六年生でしたね。」
「そう、あれは久々知兵助と委員会の予算を増やしてもらおうと潮江先輩のお部屋に行った時……」
八の話が始まり思わず話しを聞くと我ながらあちゃーと思う所がある。
八が話し終えると久々知平助や不破雷蔵、鉢屋三郎の三人まで集まりそれぞれ六年生の不満を漏らす。
六年い組の二人は話し始めると視野が狭まり、周りが見えてないときがある。
小平太に至ってはあの元気さで暴れられると物が破壊され、図書委員長である中在家長次の怒りに触れ図書室が滅茶苦茶になったとのこと。
あと最後に小平太が三郎の変装を無理やり解くのは思わず黙ってしまう。それは気の毒にしか思えない。
「はーい!俺も話していいかな!」
尾浜勘右衛門が来て、は組の二人の不運に巻き込まれたとのこと。
『ねー君たち私も一応六年生なんだけど大丈夫なの?』
五年生が思いのほか不満が溜まっているため思わず声をかける。
「名前先輩はいいんです!先輩は俺達の味方で優しいので!」
「先輩にはよくしてもらってばかりなので不満なんてありません!!」
五年生にそう言われ嬉しくもあるが六年生の気配が近くなっている。
この子達気づかないかな。けどどういう風になるかちょっと楽しみだから思わず黙っこう。
「だいたい六年生は俺たちの話しを全然聞かない!」
「一個下の学年はみんな言いなりになると思っているんだ!」
「いつまでたっても子供扱いして。」
「尻にぐいはいつも僕たち。」
「他にはあんなことこんなこと、、もう我慢できなーい!!」
「「六年生がなんだーー!!」」
「あ、先輩達…後ろ。」
一年生の三人が気づいて思わず声が出る。
「俺たち六年生が何だって。」
実習帰りの六年生が帰ってきて文次郎がいかつい顔で笑みを漏らす。
『あらら、間に合わなかったか。』
「せ、先輩達なんでこちらに?」
冷や汗を伝いながらきり丸が問いかける。
「今実習から戻ったんだけど。」
「それよりお前達おもしろい話しをしてたようだな。」
「どういうことだ。」
伊作、小平太、長次から聞かれ思わず雷蔵、三郎が滝のような冷や汗を流している。
「いや、その……」
「どうもこうも……」
「六年生にはもう我慢できないなんとかこうにか。」
「そう言ってたかしんべえ。」
「え……言ってましたー。」
仙蔵、留三郎に聞かれたしんべえは思わず本当の事を言ってしまう。
嘘がつけないしんべえに思わず笑ってしまう。
「ふふ、おもしろい。」
「俺達と勝負したいみたいだな」
「いっちょやってやるか」
「その勝負、私ものった!」
文次郎、留三郎、小平太が勝負の提案し勝負をする流れになってしまった。
「「えぇ〜〜!!」」
その提案に五年生は驚愕する。
『勝負になったら学園中がどえらいことになるけどこの人達それ分かってるのかしら。』
思わず勝負になったことに対して後輩達が巻きこれる姿を想像すると少し頭を悩ましてしまう。
『手加減はなしだ。』
文次郎の鋭い眼光が五年生に突き刺さる。
「そういえばなんでお前らが名前と一緒にいるんだ。」
小平太のどうでもいい疑問が飛び交う。
『私は最初からここにいたけど、五年生達が集まってきて貴方達がやって来た所だよ。』
「そうなのか!ならお前は私達の味方だよな!勿論私達につくよな?」
こんなやり取りですら今の五年生には更に恐怖を煽るようだ。また悲鳴が聞こえる。
「そんな!名前先輩は俺達の話しを聞いてくれていたから俺達の味方です!」
「そしてあなた方先輩達みたいに理不尽なことはしない!」
そうだそうだと後ろからも声が聞こえるが聞かなかった事にしよう。
「そうなのか?それなら詳しい事は名前から聞こう。名前来い。」
仙蔵から名を呼ばれるが呼ばれると行きたくないという気持ちが芽生える。というよりあの仙蔵の不敵な笑みが今では怖いんだけど。。
「ちょーーーっと待ったーーー!!」
六年生と五年生が対峙していると意外な人物が入ってきた。
「五年生と六年生のガチンコ勝負とはおもしろそうじゃの。」
「「学園長先生!!」」
ーーその後ーー
「そんな勝負は絶対だめです!」
土井先生の制止の声が掛かる。
「大体他の生徒達の迷惑になります。」
山田先生も同意見であり、五年い組の木下先生も話し合いに参加される。
「迷惑じゃと?」
「そうです!無用な勝負はやるべきではありません!!!」
「かまわーん!この勝負を許しちゃう!」
この決定に思わずみんながずっこける。さすが学園長。後のことなんか何も考えてない。
「木下先生止めてくださいよ!五年い組の実技担当教師じゃないですか!」
「うむ、お前達、絶対負けるな!」
「「え〜〜」」
「「木下先生!」」
まさかの木下先生も勝負に賛成。色々と大丈夫かな。
「先生はすこぶる嬉しいぞ。六年生に全力立ち向かうなんて!」
「木下先生にそんなこと言われちゃうと。」
「やるしかないか。」
そう言うと五年生は諦めの目と心配な目をしている。そうなるときり丸の目が小銭の目に変化しさっそくチケットの準備に取り掛かろうとしている。巻き込まれるとやっかいだから先に逃げちゃおう。
「待った。名前にはやってもらうことがある。」
「え、私にですか?」
学園長から制止の声がかかり思わず立ち止まる。
「そうじゃ。お主はくのたまの最高学年であり忍たまの六年生と同等の身体能力、技術、知識がある。そんなお主の課題としてこれには参加してもらう。」
「それは学園長命令ですか?それともおもいつきですか?」
「どちらでもある!」
学園長の思いつきなら退ける事は出来るが命令となるとどうもいかない。
参加するしかないか。こうなら早く逃げとけば良かった。
「今回の勝負の方法じゃが宝探しにしようと思う!」
「宝探しですか?」
「そこでお宝になるのは名前じゃ!」
「「『はいーー!?』」」
思わず学園長の決定に身を乗り出す。
「隠れた名前を早く見つけて儂の所に連れて来た方を勝ちとする!」
『学園長先生!課題ってまさかそれですか?五年生と六年生を一度に相手にするのは私には荷が重過ぎます!』
思わず抗議してしまう。それはそうだ。五年生はまだいいが六年生となるとあの個性派揃いの相手は正直きつい。絶対ちょっとやそっとじゃ終わらない。
「そうじゃ、これがお主の課題じゃ。くのたまのお主もいい経験になるじゃろ。」
『ですが!…』
「名前先輩が宝!やる気が出てきた!」
「でも先輩可哀想だよ。僕たちの話しを聞いてくれてただけなのに。」
「いや雷蔵、これだと俺達が頑張る理由が出来たの同然。」
「ほう、名前が宝とは。最初に捕まえたら何かしてもらうぞ。」
「名前〜僕も頑張るからね〜。」
『伊作はとにかく怪我しないでね!あと仙蔵!私は何もしないからそんなこと言うの止めて。』
「よし俺もギンギンにやってやるぞ。名前手加減しないからな。」
「お前にやるかよ!名前!全力で頼むぞ!」
人の気も知らずに騒ぐ五六年生達。何が何でも逃げ切ろう。
「学園長先生、五年生の方が一人少ないのですが不利ではないでしょうか?」
「ふむ、そうじゃな。では五年生チームにヘムヘムを入れよう。山田先生と土井先生には審判をしてもらおう。」
「仕方ありませんね。」
「言い出したら聞かないんだから。」
「それでは五年生と六年生の宝探しに決定じゃ!」
そんなこんなで勝負が始まろうとする。
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