短編

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仲が宜しい事で







『また落ちてるの伊作。』

「やぁ、名前。えへへ。また落ちちゃった。」







近くの外堀の落とし穴に落ちている伊作を見つける。学園内でよっぽどのことがない限り罠なんか仕掛けられてないのに。いや、一人例外がいた。




『取り敢えず、縄梯子を持ってくるからそこで待ってて。』

「すまない、名前。」






どこかで聞いたことがあるフレーズ。まぁそれはさておき縄梯子なら用具委員会委員長の留三郎が持っていた筈。その事を思い出し足速に留三郎の元に向かう。用具の作業点検をしていた彼は快く縄梯子を貸してくれた。というより貸してと言ったらまた伊作かと言われた。さすが留三郎。理解が早い。












『取り敢えず持ってきたけど、登れそう?』

「うーん、足を挫いちゃってるけど何とか動けそう。」






よく見ると片方の足首が赤く腫れている。
これが文次郎だと鍛錬が足りんとかって言われるだろうな。そう思いつつ縄梯子を穴の中に下ろす。





『助け呼んで来ようか?』

「大丈夫だよ。こうやって……登れ、ば、うわぁ!!!」







登っている際縄梯子が千切れたのか、ドシーンっと落ちる音が聞こえ砂埃が舞い上がる。穴の中を確認するといたたっと声が聞こえてくる。







『伊作大丈夫!?』

「てへへ、また落ちちゃった。」







受け身が取れなかったのかうずくまっている。足を更に捻ったようだ。足首を押さえている姿が確認できる。こんな狭い所だと処置もうまく出来ない。






『伊作、そこで待ってて。』





声を掛けるのと同時に穴の中に入り込む。





「え!名前も降りてきたら駄目だよ!」

『そんなこと言ってる場合?足見せて。』







足首が赤く腫れている。短時間でこんなに腫れてるとは。自身の手拭いで軽く固定する。






『取り敢えず簡単な固定はしたけど。早く出よう。』

「なんとか……でもどう出ようか?」

『取り敢えずこの縄梯子をどうにかしよう。』

「でも直せる道具とかないよ?」

『私、鍛錬で縄とか使うから日頃から持ち歩いてるの。直すの手伝って。』

「……君なんかすごいね。」

『褒め言葉どうもありがとう。』








梯子は幸いにも下部分のみが切れている様子だった。取り敢えず縄を使い補修を行う。
二人もいるからか短時間で済み、ようやく穴から抜け出ることができ早急に医務室に向かう。









「いや〜まさか穴に落ちただけでなく梯子まで切れるとはね。」

『ふふっ、中々ない事ではあるよね。』

「はは!、でも名前が通りかかってくれてよかったよ。ありがとう。」

『これに懲りたら自分でも何か助けになるような物持っときなさいよ。』

「そうだね。いつまでも誰か助けてくれると思っちゃいけないね。」







言葉の最後に覇気がなく、多少落ち込んでいる姿が見える。
そんな顏をされたらいたたまれなくなる。







『い、いやでも学園内だったら誰かしら気づくからそこまで落ち込まなくても。』

「でも不運な僕にはこんな事が多々ある事だから。」






このネガティブさ留三郎のえぇい!っていう意味がよく分かる。




『でも人よりそういう時の対処法とか身につきやすいからいい事でもあるわよね。人より機会がある事はいいことよ。ある意味ね。』

「上手いこと言っちゃって。」

『てへっ、取り敢えず私は戻るわね。後は安静よ。留三郎には梯子返すついでに説明しとくわ。』

「ありがとう、よろしく頼むね。」





そう返事をし医務室を出る。























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(留三郎実はこんなこんなで……)

(ぬゎんだって!伊作ぅーーー!)

(あらら、仲が宜しい事で。)




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