長編
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友好
『留三郎。』
「んっ?なんだ名前か!」
『鍛錬に励んでいるのね。お疲れ様。』
校庭の隅で得意の鉄双節棍で鍛錬に励んでいる留三郎を見つける。
辺りには誰も近くに居ない為、側に行く事にした。
『はい、差し入れ。』
「うぉ!悪いな!」
丁度水を汲んできた竹筒を持っていた為、留三郎に投げ渡す。
「なんだ?お前も鍛錬しに来たのか?」
『いーえ、汗水垂らして鍛錬に励むかっこいい同級生を見つけたから応援しに来たわ。』
「そっ、そうか……その言い方は照れるな。」
投げ渡した竹筒の中身を飲む留三郎。水を飲む度に動く喉仏に余計男らしさがそそる。
普段は真面目で用具委員長を務める留三郎だが文次郎と一緒になるとたちまち喧嘩になるし、この間の実習でも喧嘩してたな。
『そうか。お互い武闘派でもあるし似たもの同士だからか。』
「さっきから何を言っているんだお前は。」
『えっ、ふふっ。独り言。』
「名前、暇なら組み手に付き合ってくれ。」
『いいわよ。』
飲み干した所で留三郎から組み手に誘われる。
組み手などで身体を動かすのは大好きだ。何よりこの間の実習では物足りないのもある。素直に留三郎の誘いにのる。
上衣を脱ぎ、黒の肩衣になる。此方の方が断然動きやすく好みだがこの格好はウケが悪い。
その証拠に留三郎が慌て始める。
「馬鹿!いきなり脱ぐな!」
『あぁ、これが動きやすいのよ。』
「少しは恥じらいを持て!」
『この姿は見飽きたでしょ。』
そのまま腕や足を伸ばしたり柔軟を始める名前。
同じ学舎で育ってきた為、昔から肩衣になる姿は見たことあるが成長するとそんなに見れる物ではない。
名前の身体付きは程良く筋肉はついているが、しなやかさがあり、手足はすらっとしている。
俺達忍たまよりも線は細いが時折物凄い力を発揮する時もある。また胸元も成長しているのか大きすぎず小さすぎず丁度良い膨らみがある為、意識してしまう。俺は変態か。
安易に鍛錬に誘ってしまったのを少し後悔している。落ち着け留三郎。あんな格好をしているがくのたまの上級生であり、俺らとの実力は測り知れない。
くのたまと言って油断してはならない。
柔軟を終えると互いに距離を取る。
息を整えると足を肩幅まで広げ、名前が構える。隙のない体制を心得ている。
『いつでもいいわ、留三郎。』
「此方もだ。行くぞ!」
『来い!』
互いの目付きが変わる。この空気、雰囲気が好き。対峙に心が踊る。
留三郎の言葉を合図に二人共地面を蹴る。
名前が構えた状態から踏み込みながら右手で打ち込んできた。
そのまま打ちを右手で薙ぎ払い、横に躱す。
打ってきた時に身体を前傾させ間合いをいきなり伸ばしてきやがった。最初からえぐいのを出してくるな。
躱すのを読んでいたのかそのまま懐に入り込まれ、再び目の前まで攻められる。
留三郎の懐に入り込むと打ってくる拳が視界に入り込む。拳の位置的に腹を狙っている様子だ。
咄嗟に避け距離を取ると行動を読まれており、そのまま向かってくる留三郎。
殴打が降りかかってくる。防御のため腕を前で交差すると勢いの乗った拳が降りかかる。その勢いに軽く身体が後ろに下がる。
さすが留三郎。武道派でもありこの体格差といい力とこの速さ。
防御した腕をはらい確認するとまだ痛みはなく手の動きを確認する。
うん。問題はない。
組み手は避けてばかりではつまらないからこの攻撃を受けた感じ。いいわ。口元が弧を描いてしまう。
今のはかなり入った筈だが名前の体力は削れていない様子。結構力を込めて打ったがこれでも倒れないのか。何より名前の口元が笑っている様子に少し物怖じする。
俺は武道派だが、名前は唯一のくのたま上級生であり、俺以上に戦うのが好きかもしれない。
昔上級生に上がった際、山本シナ先生に言われた事がある。
今年残ったくのたまは一味違う、くノ一より戦忍に向いているくのたまが居ると。その正体が名前だと気づいた時は既に実習で俺らよりも優秀な成績を残していた。
名前が全力で戦っている姿は見た事はないがその相手が俺であって欲しいとも少なからず思ってしまう。
『留三郎、さっきのは効いたわ。』
「はっ、それは嘘だろう。まだ余裕だろ?」
『あら、バレた?』
風でなびく髪を耳にかける。さっき俺に打ち込まれた片腕を舐め、妖艶な姿でたたづむ名前。その姿はくノ一であり色香を漂っている。背筋がゾクゾクする。
『なら次は私からいくわ。』
「あぁ、来てみろ。」
『言ったわね。』
妖艶な笑みを見せると思うと素早く目の前まで迫ってきた。いきなりのトップスピードに追いつけず名前と向き合う形になる。
名前が俺の胸元に突きをしてくる。咄嗟に腕を曲げ防御するがその間を潜って胸元を突かれる。
「ぐっ!」
『まだまだ。』
目の前に居る名前に打ち込むが姿が消える。
気配は背中からし、後ろに振り向くと腕を振り下ろしてくる名前が居たがなんなく腕を受け止める。
「甘いな。」
『それはどうかしら?』
掴まえられた腕をなんなにせず、掴まれた状態で頭上に回転し飛び交う。器用な奴だ。すかさず腕を離すが地面に降り立つと同時に胸元に両手で掌底を打ち込まれる。
ドカッ!
「かはっ!」
予期せぬ一撃に身体が後退する。
『ようやく打ち込めた。』
打ち込んだ体制のまま名前が笑っている。決して油断をしてた訳ではないのに。本気だったら肋が数本いかれていた筈。
「名前、やるな。」
『留三郎もね。』
互いに一歩も譲らない攻防が繰り広げられる。
『ところで留三郎。』
「何だ?」
『人が集まっているわ。』
名前の言葉で周囲を見渡すと、あっという間に他の忍たま、くのたま達に囲まれている。
周囲は賑やかで声援が飛び交っている。
『………このままだと集中できないわね。』
「……そうだな。」
『終わりにしましょうか。』
名前が組み手を終わらせようと体勢を治そうとするがその言葉にピクッと反応する。
こんな楽しい組み手をそう逃してたまるかと。
「いいや、このまま組み手は続ける。」
『…………へぇ。』
「お前だって、身体が熱くなってきただろう。」
『……そうね。』
確かに身体に熱が帯びているのは事実。しかし長引くと色々面倒事になるのもいやな為、早々に決着をつけたい。
『けど早めに決着はつけましょう。』
「望むところだ。」
再びお互いに構え打ち込み始める。
だが次で終わらせる。
先程脱いだ上衣をたぐり寄せ、留三郎に投げ視界を覆う。衣が払われるが一瞬の視界を奪うには充分だった。
そのまま首筋に腕を入れ込み、勢いを利用し留三郎の足を逆に払うと砂埃を立てながら地面に倒れ込む。
「っ!…………くっそ!」
『はい、終わり。』
周囲から歓声が上がる。見世物ではないので反応に困る。くのたまの後輩達に至っては黄色い歓声を上げている。
二人共土まみれになり、衣についている砂を払いのけるがこれはちょっとやそっとじゃ落ちなさそう。
『留三郎、大丈夫?』
「あぁ、でも悔しいな。」
留三郎は足を広げ地面に座り込んだ様子であーあとぼやいている。後輩達が散り散りに解散する中、そんな留三郎の側に寄りしゃがみ込む。
『疲れたわね。』
「俺は悔しいがな。」
『あら、でも力で負けそうだった。』
「それでも負けたのは俺だ。今度は絶対勝つ!」
「なら私も負けないように鍛錬をしとくわ。」
拗ねている留三郎が可愛く見える。
そう言い留三郎の頬に軽く口付けると留三郎の頬が紅潮する。
「なっ、なっ!」
『じゃあね、留三郎。』
俺に口付けた後、軽やかにくのたまの後輩達に駆け寄っていく名前の後ろ姿に目をやる事しかできなかった。
『留三郎。』
「んっ?なんだ名前か!」
『鍛錬に励んでいるのね。お疲れ様。』
校庭の隅で得意の鉄双節棍で鍛錬に励んでいる留三郎を見つける。
辺りには誰も近くに居ない為、側に行く事にした。
『はい、差し入れ。』
「うぉ!悪いな!」
丁度水を汲んできた竹筒を持っていた為、留三郎に投げ渡す。
「なんだ?お前も鍛錬しに来たのか?」
『いーえ、汗水垂らして鍛錬に励むかっこいい同級生を見つけたから応援しに来たわ。』
「そっ、そうか……その言い方は照れるな。」
投げ渡した竹筒の中身を飲む留三郎。水を飲む度に動く喉仏に余計男らしさがそそる。
普段は真面目で用具委員長を務める留三郎だが文次郎と一緒になるとたちまち喧嘩になるし、この間の実習でも喧嘩してたな。
『そうか。お互い武闘派でもあるし似たもの同士だからか。』
「さっきから何を言っているんだお前は。」
『えっ、ふふっ。独り言。』
「名前、暇なら組み手に付き合ってくれ。」
『いいわよ。』
飲み干した所で留三郎から組み手に誘われる。
組み手などで身体を動かすのは大好きだ。何よりこの間の実習では物足りないのもある。素直に留三郎の誘いにのる。
上衣を脱ぎ、黒の肩衣になる。此方の方が断然動きやすく好みだがこの格好はウケが悪い。
その証拠に留三郎が慌て始める。
「馬鹿!いきなり脱ぐな!」
『あぁ、これが動きやすいのよ。』
「少しは恥じらいを持て!」
『この姿は見飽きたでしょ。』
そのまま腕や足を伸ばしたり柔軟を始める名前。
同じ学舎で育ってきた為、昔から肩衣になる姿は見たことあるが成長するとそんなに見れる物ではない。
名前の身体付きは程良く筋肉はついているが、しなやかさがあり、手足はすらっとしている。
俺達忍たまよりも線は細いが時折物凄い力を発揮する時もある。また胸元も成長しているのか大きすぎず小さすぎず丁度良い膨らみがある為、意識してしまう。俺は変態か。
安易に鍛錬に誘ってしまったのを少し後悔している。落ち着け留三郎。あんな格好をしているがくのたまの上級生であり、俺らとの実力は測り知れない。
くのたまと言って油断してはならない。
柔軟を終えると互いに距離を取る。
息を整えると足を肩幅まで広げ、名前が構える。隙のない体制を心得ている。
『いつでもいいわ、留三郎。』
「此方もだ。行くぞ!」
『来い!』
互いの目付きが変わる。この空気、雰囲気が好き。対峙に心が踊る。
留三郎の言葉を合図に二人共地面を蹴る。
名前が構えた状態から踏み込みながら右手で打ち込んできた。
そのまま打ちを右手で薙ぎ払い、横に躱す。
打ってきた時に身体を前傾させ間合いをいきなり伸ばしてきやがった。最初からえぐいのを出してくるな。
躱すのを読んでいたのかそのまま懐に入り込まれ、再び目の前まで攻められる。
留三郎の懐に入り込むと打ってくる拳が視界に入り込む。拳の位置的に腹を狙っている様子だ。
咄嗟に避け距離を取ると行動を読まれており、そのまま向かってくる留三郎。
殴打が降りかかってくる。防御のため腕を前で交差すると勢いの乗った拳が降りかかる。その勢いに軽く身体が後ろに下がる。
さすが留三郎。武道派でもありこの体格差といい力とこの速さ。
防御した腕をはらい確認するとまだ痛みはなく手の動きを確認する。
うん。問題はない。
組み手は避けてばかりではつまらないからこの攻撃を受けた感じ。いいわ。口元が弧を描いてしまう。
今のはかなり入った筈だが名前の体力は削れていない様子。結構力を込めて打ったがこれでも倒れないのか。何より名前の口元が笑っている様子に少し物怖じする。
俺は武道派だが、名前は唯一のくのたま上級生であり、俺以上に戦うのが好きかもしれない。
昔上級生に上がった際、山本シナ先生に言われた事がある。
今年残ったくのたまは一味違う、くノ一より戦忍に向いているくのたまが居ると。その正体が名前だと気づいた時は既に実習で俺らよりも優秀な成績を残していた。
名前が全力で戦っている姿は見た事はないがその相手が俺であって欲しいとも少なからず思ってしまう。
『留三郎、さっきのは効いたわ。』
「はっ、それは嘘だろう。まだ余裕だろ?」
『あら、バレた?』
風でなびく髪を耳にかける。さっき俺に打ち込まれた片腕を舐め、妖艶な姿でたたづむ名前。その姿はくノ一であり色香を漂っている。背筋がゾクゾクする。
『なら次は私からいくわ。』
「あぁ、来てみろ。」
『言ったわね。』
妖艶な笑みを見せると思うと素早く目の前まで迫ってきた。いきなりのトップスピードに追いつけず名前と向き合う形になる。
名前が俺の胸元に突きをしてくる。咄嗟に腕を曲げ防御するがその間を潜って胸元を突かれる。
「ぐっ!」
『まだまだ。』
目の前に居る名前に打ち込むが姿が消える。
気配は背中からし、後ろに振り向くと腕を振り下ろしてくる名前が居たがなんなく腕を受け止める。
「甘いな。」
『それはどうかしら?』
掴まえられた腕をなんなにせず、掴まれた状態で頭上に回転し飛び交う。器用な奴だ。すかさず腕を離すが地面に降り立つと同時に胸元に両手で掌底を打ち込まれる。
ドカッ!
「かはっ!」
予期せぬ一撃に身体が後退する。
『ようやく打ち込めた。』
打ち込んだ体制のまま名前が笑っている。決して油断をしてた訳ではないのに。本気だったら肋が数本いかれていた筈。
「名前、やるな。」
『留三郎もね。』
互いに一歩も譲らない攻防が繰り広げられる。
『ところで留三郎。』
「何だ?」
『人が集まっているわ。』
名前の言葉で周囲を見渡すと、あっという間に他の忍たま、くのたま達に囲まれている。
周囲は賑やかで声援が飛び交っている。
『………このままだと集中できないわね。』
「……そうだな。」
『終わりにしましょうか。』
名前が組み手を終わらせようと体勢を治そうとするがその言葉にピクッと反応する。
こんな楽しい組み手をそう逃してたまるかと。
「いいや、このまま組み手は続ける。」
『…………へぇ。』
「お前だって、身体が熱くなってきただろう。」
『……そうね。』
確かに身体に熱が帯びているのは事実。しかし長引くと色々面倒事になるのもいやな為、早々に決着をつけたい。
『けど早めに決着はつけましょう。』
「望むところだ。」
再びお互いに構え打ち込み始める。
だが次で終わらせる。
先程脱いだ上衣をたぐり寄せ、留三郎に投げ視界を覆う。衣が払われるが一瞬の視界を奪うには充分だった。
そのまま首筋に腕を入れ込み、勢いを利用し留三郎の足を逆に払うと砂埃を立てながら地面に倒れ込む。
「っ!…………くっそ!」
『はい、終わり。』
周囲から歓声が上がる。見世物ではないので反応に困る。くのたまの後輩達に至っては黄色い歓声を上げている。
二人共土まみれになり、衣についている砂を払いのけるがこれはちょっとやそっとじゃ落ちなさそう。
『留三郎、大丈夫?』
「あぁ、でも悔しいな。」
留三郎は足を広げ地面に座り込んだ様子であーあとぼやいている。後輩達が散り散りに解散する中、そんな留三郎の側に寄りしゃがみ込む。
『疲れたわね。』
「俺は悔しいがな。」
『あら、でも力で負けそうだった。』
「それでも負けたのは俺だ。今度は絶対勝つ!」
「なら私も負けないように鍛錬をしとくわ。」
拗ねている留三郎が可愛く見える。
そう言い留三郎の頬に軽く口付けると留三郎の頬が紅潮する。
「なっ、なっ!」
『じゃあね、留三郎。』
俺に口付けた後、軽やかにくのたまの後輩達に駆け寄っていく名前の後ろ姿に目をやる事しかできなかった。