長編
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集合
朝食を終え、爽やかな朝の風が吹き抜ける外へと向かう。
今日の野外実習は、同級生である忍たま六年生たちとの合同実習だ。
学園内の校庭へ向かうと、すでに数人の忍たまが集まっているのが見えた。その中に見覚えのある背中を見つけ、歩調を少し早めて近づいていく。
『伊作、早かったのね。』
声をかけると、保健委員長らしく温和な苦笑いを浮かべた六年は組の善法寺伊作が振り返った。
「あ、名前! おはよう。」
「名前、ようやく来たか! 今日の合同実習、俺は楽しみにしてたんだぞ!」
『ふふ、留三郎は相変わらず朝から熱いわね。』
隣で拳を握りしめる食満留三郎の言葉に思わず笑みをこぼすと、後ろからすっと涼やかな気配が近づいてきた。
「名前。おはよう、早い到着だな。」
『仙蔵、おはよう。……文次郎は一緒じゃないの?』
「あいつなら「鍛錬が足りん!」とか何とか言って、自主トレをしてから後から来ると言っていた。」
言葉通り少し遅れて遠くから息を荒らせた潮江文次郎がこちらへ駆け寄ってくるのが見えた。これで六年生の面々が揃いつつある。
「おい文次郎、来るのが遅いんじゃないか!?」
「うるせぇ! 子供じゃあるまいし、そんなに急ぐお前の方がよっぽど子供だ!」
「なんだと! 今日の実習の重要性を分かって言ってんのか!」
「あぁ!? やるってのか留三郎!」
顔を合わせた途端、案の定バチバチと火花を散らして朝から喧嘩を始める留三郎と文次郎。実習前だというのに、よくそれだけ無駄な体力が余っているものだと感心してしまう。
すると突然、足元から地響きのような嫌な振動が伝わってきた。
地面を揺らす不穏な音とともに、遠くの校庭の土煙が猛烈な勢いでもこもこと隆起し、こちらへ一直線に接近してくる。
「いけいけどんどーん!!!」
ガバッと一気に地面が爆発するように隆起したかと思うと、泥と土を撒き散らしながら六年生一番の暴れん坊・七松小平太が豪快に顔を飛び出させた。
迫り来る土塊と飛散する泥を避けるため、私や仙蔵たちは瞬時に跳躍して間一髪でその場を飛び退く。
「……ぶぇっ!?」
けれど、その中で唯一避けきれなかった伊作の顔面に、無情にも勢いよく跳ねた泥塊が直撃した。相変わらずの不運の発動ぶりに、着地しながら心の中でそっと合掌する。
「いやー! 朝からいい汗かいたぞ! ……んっ? みんな集合が早いな!」
爽やかな笑顔で土煙の中から這い上がってきた小平太に私は手ぬぐいを差し出しながら声をかけた。
『小平太、おはよう。豪快なのはいいけれど、伊作が思いっきり土を被ったわよ。』
「んっ? あははは! すまんすまん伊作!」
「うぇぇ……実習が始まる前に泥まみれになっちゃったよ……。」
落ち込む伊作の手元を手伝っていると、静かな足音とともに中在家長次が遅れてやってきた。
相変わらず一見すると無表情で恐い顔つきだが、その目元は穏やかで決して不機嫌というわけではなさそうだった。
『長次、久しぶりね。』
「……もそ。……元気だったか。」
『ええ、おかげさまで。今日の合同実習楽しみね』
長次が小さく頷いたその時、校庭の奥から実技担当の先生が歩いてくるのが見えた。
さっきまで喧嘩をしていた留三郎と文次郎も、泥を払っていた伊作たちも瞬時に気配を変え、全員が整列して先生の前へと向かう。
いよいよ、今日の合同野外実習についての説明が始まろうとしていた。
「今日の実習は、それぞれ組ごとに分かれて合戦の情報分析を行う! い組とは組、そしてろ組とくのたまのチームに分かれろ!」
担当の先生から実習内容が伝達され、指示に従ってそれぞれがチームごとにまとまっていく。
い組の仙蔵・文次郎、は組の伊作・留三郎の四人が同じ組になるということは……朝からの犬猿の喧嘩に伊作の不運まで重なって、それはもう凄まじい大騒ぎになりそうだ。心の中で合掌しつつ、自分のチームへと向かう。
『小平太、長次。二人はよろしくね。』
「おぉっ! 名前と一緒か! いけいけどんどーんで分析だな!」
「……もそ。……よろしく頼む。」
七松小平太と、中在家長次。
学園内ではそれぞれ『暴君』『沈黙の生き字引』などと称されている二人だ。
小平太がどれだけ暴走しそうになっても、頼れる長次がしっかり手綱を握って抑えてくれるはずなので、こちらのチームは特に心配いらなさそうだ。
(よし……あっちの嵐のような四人は放っておいて、私たちはさっさと分析を終わらせましょうか)
豪快に笑う小平太と静かに頷く長次の姿に頼もしさを感じながら気を引き締める。
「分かれたな! 合戦場までは全班合同で同行するが、現地へ到着した後は各自で情報を収集し、得た情報を元に分析が終わり次第報告だ! 分かったな!」
「「『はい!!』」」
先生の凛とした声に、全員の鋭い返事が校庭へ響き渡る。
いよいよ、六年生の合同野外実習が開始された。
さっきまで喧嘩をしていた留三郎と文次郎も、泥まみれだった伊作も、すでに一人の忍びとして引き締まった顔つきに変わっている。
(まずは合戦場までの移動ね……)
隣を並走する小平太と長次に視線を送ると、二人も静かに気配を消し、無駄のない足取りで樹海へと飛び込んでいく。
私は二人の速度に遅れることなく並び、合戦場へと向かって軽やかに樹々の間を駆け抜けた。
朝食を終え、爽やかな朝の風が吹き抜ける外へと向かう。
今日の野外実習は、同級生である忍たま六年生たちとの合同実習だ。
学園内の校庭へ向かうと、すでに数人の忍たまが集まっているのが見えた。その中に見覚えのある背中を見つけ、歩調を少し早めて近づいていく。
『伊作、早かったのね。』
声をかけると、保健委員長らしく温和な苦笑いを浮かべた六年は組の善法寺伊作が振り返った。
「あ、名前! おはよう。」
「名前、ようやく来たか! 今日の合同実習、俺は楽しみにしてたんだぞ!」
『ふふ、留三郎は相変わらず朝から熱いわね。』
隣で拳を握りしめる食満留三郎の言葉に思わず笑みをこぼすと、後ろからすっと涼やかな気配が近づいてきた。
「名前。おはよう、早い到着だな。」
『仙蔵、おはよう。……文次郎は一緒じゃないの?』
「あいつなら「鍛錬が足りん!」とか何とか言って、自主トレをしてから後から来ると言っていた。」
言葉通り少し遅れて遠くから息を荒らせた潮江文次郎がこちらへ駆け寄ってくるのが見えた。これで六年生の面々が揃いつつある。
「おい文次郎、来るのが遅いんじゃないか!?」
「うるせぇ! 子供じゃあるまいし、そんなに急ぐお前の方がよっぽど子供だ!」
「なんだと! 今日の実習の重要性を分かって言ってんのか!」
「あぁ!? やるってのか留三郎!」
顔を合わせた途端、案の定バチバチと火花を散らして朝から喧嘩を始める留三郎と文次郎。実習前だというのに、よくそれだけ無駄な体力が余っているものだと感心してしまう。
すると突然、足元から地響きのような嫌な振動が伝わってきた。
地面を揺らす不穏な音とともに、遠くの校庭の土煙が猛烈な勢いでもこもこと隆起し、こちらへ一直線に接近してくる。
「いけいけどんどーん!!!」
ガバッと一気に地面が爆発するように隆起したかと思うと、泥と土を撒き散らしながら六年生一番の暴れん坊・七松小平太が豪快に顔を飛び出させた。
迫り来る土塊と飛散する泥を避けるため、私や仙蔵たちは瞬時に跳躍して間一髪でその場を飛び退く。
「……ぶぇっ!?」
けれど、その中で唯一避けきれなかった伊作の顔面に、無情にも勢いよく跳ねた泥塊が直撃した。相変わらずの不運の発動ぶりに、着地しながら心の中でそっと合掌する。
「いやー! 朝からいい汗かいたぞ! ……んっ? みんな集合が早いな!」
爽やかな笑顔で土煙の中から這い上がってきた小平太に私は手ぬぐいを差し出しながら声をかけた。
『小平太、おはよう。豪快なのはいいけれど、伊作が思いっきり土を被ったわよ。』
「んっ? あははは! すまんすまん伊作!」
「うぇぇ……実習が始まる前に泥まみれになっちゃったよ……。」
落ち込む伊作の手元を手伝っていると、静かな足音とともに中在家長次が遅れてやってきた。
相変わらず一見すると無表情で恐い顔つきだが、その目元は穏やかで決して不機嫌というわけではなさそうだった。
『長次、久しぶりね。』
「……もそ。……元気だったか。」
『ええ、おかげさまで。今日の合同実習楽しみね』
長次が小さく頷いたその時、校庭の奥から実技担当の先生が歩いてくるのが見えた。
さっきまで喧嘩をしていた留三郎と文次郎も、泥を払っていた伊作たちも瞬時に気配を変え、全員が整列して先生の前へと向かう。
いよいよ、今日の合同野外実習についての説明が始まろうとしていた。
「今日の実習は、それぞれ組ごとに分かれて合戦の情報分析を行う! い組とは組、そしてろ組とくのたまのチームに分かれろ!」
担当の先生から実習内容が伝達され、指示に従ってそれぞれがチームごとにまとまっていく。
い組の仙蔵・文次郎、は組の伊作・留三郎の四人が同じ組になるということは……朝からの犬猿の喧嘩に伊作の不運まで重なって、それはもう凄まじい大騒ぎになりそうだ。心の中で合掌しつつ、自分のチームへと向かう。
『小平太、長次。二人はよろしくね。』
「おぉっ! 名前と一緒か! いけいけどんどーんで分析だな!」
「……もそ。……よろしく頼む。」
七松小平太と、中在家長次。
学園内ではそれぞれ『暴君』『沈黙の生き字引』などと称されている二人だ。
小平太がどれだけ暴走しそうになっても、頼れる長次がしっかり手綱を握って抑えてくれるはずなので、こちらのチームは特に心配いらなさそうだ。
(よし……あっちの嵐のような四人は放っておいて、私たちはさっさと分析を終わらせましょうか)
豪快に笑う小平太と静かに頷く長次の姿に頼もしさを感じながら気を引き締める。
「分かれたな! 合戦場までは全班合同で同行するが、現地へ到着した後は各自で情報を収集し、得た情報を元に分析が終わり次第報告だ! 分かったな!」
「「『はい!!』」」
先生の凛とした声に、全員の鋭い返事が校庭へ響き渡る。
いよいよ、六年生の合同野外実習が開始された。
さっきまで喧嘩をしていた留三郎と文次郎も、泥まみれだった伊作も、すでに一人の忍びとして引き締まった顔つきに変わっている。
(まずは合戦場までの移動ね……)
隣を並走する小平太と長次に視線を送ると、二人も静かに気配を消し、無駄のない足取りで樹海へと飛び込んでいく。
私は二人の速度に遅れることなく並び、合戦場へと向かって軽やかに樹々の間を駆け抜けた。