雨宿りDIARY Ⅱ
【映画記録】燃え上がる生物/ジャック・スミス監督
2026/10/04 01:36エッセイ
フォローしている方のこちらの記事「月の本、それから、ジャック・スミスのアングラ映画 『燃え上がる生物』|雪雪」で、ジャック・スミス監督の「燃え上がる生物」という映画を知って、気になって見てみた。
「燃え上がる生物」は1963年に制作された実験映画。40分くらいの長さで、モノクロ映画である。予算は300ドルという超低予算だったらしい。しかも性的な描写があるために、当時上映禁止となった逸話がある。
内容としてはストーリーらしい、ストーリーはなく、断片的な映像を繋ぎ合わせた感じだ。
登場人物たちはドラァグ・クイーンやインターセックスという、所謂性的マイノリティに属する人々で、延々と口紅を塗るシーンが続いたり(そのシーンに「ちんぽをしゃぶっても落ちない口紅ってあるのか?」という音声が入っている)、男性器をしごくシーンや、乱交シーンなどが続く。
セクシャルなシーンが多いけれど、猥褻というよりも、暴力的なエネルギーが画面にあふれている感じで、変ないやらしさはあまり感じない。
やがて大地震が起きてうごめいていた人々は倒れる。
それから棺の中から吸血鬼のドラァグ・クイーンが現れ、人々の血を吸い取る。すると人々は再び活発に動きだし、ダンスを始める。
ダンスシーンでも暴力的なエネルギーを感じて、乱交シーンと対になっているのではないかと感じた。
全体の印象としては不穏な雰囲気があり、アングラ映画と言われることだけはあると思った。フルカラーだったらもっと違って見えただろうが、モノクロだからこそ出る不気味さ、見世物小屋的な露悪さ、いかがわしさがこの作品に一種独特の雰囲気を与えているのだろうと思う。
私の好きなモノクロ映画で「アンダルシアの犬」というのがあるが、それに比べると「燃え上がる生物」はもっと混沌としてわけが分からない(「アンダルシアの犬」は美的に整っている)。この「わけの分からなさ」が「燃え上がる生物」の魅力であり、伝説的なアングラ映画になった所以だろうと思う。