雨宿りDIARY Ⅱ
嫌いな食べ物エッセイアンソロジー「それは口にできない」を編んで
2026/09/21 21:16エッセイ
今年の5月にふと思い立って嫌いな食べ物をテーマにしたエッセイアンソロジーを作ってみたくてXで原稿を募ってみたら、ありがたいことに五名の方から寄稿していただけた。私も原稿を書いて編集してネップリ配信したのだが、改めて読み返してみて、その人の「好きなもの」より「嫌いなもの」を知る方が、その人のことを深く知れる気がして興味深く思った。特に「嫌いなもの」が同じだった場合、がっつりスクラムを組む勢いで親近感が増すというものだ。
詳しくは現在ネップリ配信中の本文を読んでいただくとして、せっかくなので寄稿していただいた原稿を読んで思ったことをここに記していこうと思う。



いじ猫|いじわる魔女の猫さん(@ijineko55)はそうめんが嫌いだと言う。そうめんが嫌いな人は結構珍しいと思うのだが、読んでみてなるほどと思った。確かにお腹が冷えに弱いと冷たいそうめんは大敵である。暑い夏はそれでなくても冷たいものを取りがちで、食事まで冷たいとなると躰が冷えすぎるきらいがある。それでも夏のお昼ご飯はそうめんと昔からそうであることが正しいように、私も今年の夏はそうめんばかりを食べていたように思う。
昔、私が母親代わりをして下の兄弟たちの面倒を見ていたことがあったのだが、兄弟たちが夏休みの間は昼食にはそうめんを茹でて出していた。毎日そうめんだったから「さすがに飽きた」と文句を言われた。だってそうめん簡単なんだもん。三食夏休みが終わるまでしっかり作るなんて無理。世の中のお母さんたちの苦労と給食の偉大さを思い知った瞬間だった(そして夏休み早く終われと思った)。
またいじ猫さんは「そうめんが好きな人もそういない」と書く。確かに。私も「好きな食べ物はそうめんです」という人とは今までの人生で出会ったことがない。同じ麺類でも「ラーメンが好きです」「うどんが好物です」「好きな食べ物はそばです」「冷やし中華好きです」という人はそこそこいるだろうが、そうめんは違う。夏の間、頻繁に食べる機会はあれど、皆好きだから食べるというよりは「手軽だから」という理由で選んでいるに過ぎないのだろう。私のように。
だからいじ猫さんが言うように「そうめんは中途半端な存在」というのはとても良く判る。無くても多分、そう困らないけれど、あったら夏の間は結構助かる、そんな食べ物なのではないだろうか。
茅沼静馬さん(@Rohan_books)は過去にXに投稿した嫌いな食べ物を振り返りながら、今でも嫌いなものと平気になった食べ物を詳しく書いている。茅沼さんの場合、触感がポイントのようで、触感によって好きか嫌いかが分かれるらしい。またのどに詰まらせたのがトラウマで食べられないものも。嫌な記憶と結びついているものは避けがちになるのは判る。
私も子供の頃に鰻重を食べて(多分、スーパーとかで安く売ってたものだと思う)骨がのどに引っかかってから苦手なものとして口にしてなかったのだか、近年になってうなぎ屋さんの鰻重を食べてみて「鰻の骨って全然気にならないものなんだ!」と感動した。まあ値段も良かったので、それなりの処理がされてたり、質の良い鰻だったのだろうが。こうして鰻は克服したものの、年齢的に今度は脂がきつくてあまり食べたいものではなくなったけれど……。
また茅沼さんは食べ過ぎてかえって嫌いになってしまった食べ物があると書いていた。これも判る。
私もダイエット目的でシリアルの「オールブラン」を毎朝食べていた時期があるのだが、食べ過ぎたせいで今では箱を見るのもちょっと嫌だったりする。ちなみにオールブランは特別美味しいものではなく、ネットでは「鳥の餌」と揶揄されるような代物。見た目も確かに鳥の餌っぽく、たっぷりの食物繊維が売りなので本当にそのままでは美味しくないのだ。私は無糖のヨーグルトをかけて食べていたけれど、もし美味しく食べるならベリー系のフルーツやバナナを添えると良いのかもしれない……と今書きながら思った。
茅沼さんが嫌いなものにあげている「レバーやモツなどよく分からない部分」などは私は好奇心でかえって食べてみたくなるタイプだったりします。
岡村直さん(@Nao0000Okamura)が嫌いなものはずばりバーベキュー。岡村さんいわく「バーベキューは陽キャの食べ物だから」だそうで。
バーベキューといえばパリピな音楽を流しながら皆でわいわいがやがややる感じがあるし、実際そういうものだと思う。なので「バーベキューは陽キャの食べ物」というのはとても良く判る。
私も自他ともに認める陰キャ、根暗、コミュ障の三重苦の人間だが、そういう人間がバーベキューに参加するとどうなるか。食べ物を焼く係になるか、ひっそりとマイペースに食べているかのどちらかになる。基本的に私の場合、焼く係になることが多くて、食べるより焼いている時間の方が長い。でも焼く係になると「バーベキューに参加してます」感があるし、なにより独りでポツンと孤立してる感じがなくなるので、おすすめ。あとずっと焼き係をやっていると「ちゃんと食べてる?」「もっと食べなよ!」と気まで遣ってもらえるので役得である(と考えている私は多分、腹黒い)。
バーベキューや焼き肉、鍋など、皆で一緒に食べる食べ物はその人の性格が出るので、人間観察をするのも楽しい場である。たまに遭遇するのが、他の人の分を考えずに自分が食べたいだけ食べまくる人。こういう人を見ると「他者に気を遣えない自己中な人」と思ってちょっと距離を置いてしまう。本当はそんなことないのかもしれないが、食べ方は無意識の癖が出るので、あながち間違いでもないのかな、と思っている。
幻ノ月音さん(@moon61226676)が苦手なものはドーナツらしい。ドーナツは脂肪と糖の塊なので、なかなかの甘味の暴力である。月音さんは胃があまり強くないらしく、ドーナツはヘヴィすぎて受け付けないそう。日常的に食卓に並ぶような食べ物ではないけれど、「差し入れ」として選ばれる率が高いのがドーナツ。ドーナツは色んな種類があるし、ケーキほど畏まった感じがないので手軽さから選ばれやすいのも頷ける。自分ひとりだったら避けられても「差し入れ」として受け取ってしまったら、結構困ってしまう……というのが月音さんの悩みだそうで、原稿を読みながら私も昔似たようなことがあったなあと思い出した。
こう見えて(どう見えて?)10代の頃は甘いものが苦手で、殆ど食べなかったのだが、ある時レストランに外食した時、私が注文したものと違ったものを出されてしまって、そのお詫びに甘いデザートをサービスしてくれたことがあったのだ。そんな理由だったから残すわけにもいかず、頑張って食べた記憶がある。
そして私があの頃、甘いものが苦手だったのは味がどうとか胃の調子が悪くなるからとか、そういう理由ではなく、「女の子っぽいから」だった。これは書くと長くなるのでまた別の記事として書くけれど、とにかく「女の子」であることを嫌悪していた私は「女の子は甘いものが好き」というステレオタイプなイメージから逃れたくて必死だったのだ。今は甘いものは好きだし。普通に食べる。ドーナツではフレンチクルーラーが大好きです。
遺愛さん(@SZ3qra)の嫌いなものはイチゴ。遺愛さんの文章を読んでいると、確かにイチゴって結構見た目がグロテスクかも……と思った。イチゴの表面にある粒々、細かい謎の毛。見れば見るほどちょっと「うっ」てなる。見た目で損している食べ物って結構あるように思う。
私が一番に思い浮かべるのは栃木の郷土料理の「しもつかれ」。鮭や酒粕、にんじんなどの和え物なのだが、見た目がちょっとアレなのである(気になる方は画像検索してみてね)。
末っ子が小学校にあがった時に、保護者も一緒に給食を食べる機会があったのだが、その時初めて「しもつかれ」なるものを食べた。「しもつかれ」は各家庭の味があるらしく、その地域の人にはお馴染みの食べ物のようだが、私はあんまり美味しいとは思わなかった。見た目もちょっとアレだし(しもつかれ好きな人、ごめんなさい)。
逆に見た目が良くても食べてみたらいまいちだった、ということもある。
これは私の妹のエピソードだが、彼女が小学生の頃、給食にオクラが出たらしい。オクラを輪切りにすると断面が星型になるが、その星形のオクラを見て「すごい!星の形してる!きっとすごく美味しいに違いない!」と思った妹が期待に胸を膨らませてオクラを一口。しかし思ったような味ではなかったので、一気にオクラが嫌いになったそうな。何だか微笑ましい話である。
寄稿された原稿を読み返しながらつらつらと書いてみたが、いかがだっただろうか。人によって嫌いな食べ物は様々で、それに付随するエピソードはどれも興味深い。
もしよかったらコメントなどであなたの「嫌いな食べ物」も聞かせてください。
詳しくは現在ネップリ配信中の本文を読んでいただくとして、せっかくなので寄稿していただいた原稿を読んで思ったことをここに記していこうと思う。



いじ猫|いじわる魔女の猫さん(@ijineko55)はそうめんが嫌いだと言う。そうめんが嫌いな人は結構珍しいと思うのだが、読んでみてなるほどと思った。確かにお腹が冷えに弱いと冷たいそうめんは大敵である。暑い夏はそれでなくても冷たいものを取りがちで、食事まで冷たいとなると躰が冷えすぎるきらいがある。それでも夏のお昼ご飯はそうめんと昔からそうであることが正しいように、私も今年の夏はそうめんばかりを食べていたように思う。
昔、私が母親代わりをして下の兄弟たちの面倒を見ていたことがあったのだが、兄弟たちが夏休みの間は昼食にはそうめんを茹でて出していた。毎日そうめんだったから「さすがに飽きた」と文句を言われた。だってそうめん簡単なんだもん。三食夏休みが終わるまでしっかり作るなんて無理。世の中のお母さんたちの苦労と給食の偉大さを思い知った瞬間だった(そして夏休み早く終われと思った)。
またいじ猫さんは「そうめんが好きな人もそういない」と書く。確かに。私も「好きな食べ物はそうめんです」という人とは今までの人生で出会ったことがない。同じ麺類でも「ラーメンが好きです」「うどんが好物です」「好きな食べ物はそばです」「冷やし中華好きです」という人はそこそこいるだろうが、そうめんは違う。夏の間、頻繁に食べる機会はあれど、皆好きだから食べるというよりは「手軽だから」という理由で選んでいるに過ぎないのだろう。私のように。
だからいじ猫さんが言うように「そうめんは中途半端な存在」というのはとても良く判る。無くても多分、そう困らないけれど、あったら夏の間は結構助かる、そんな食べ物なのではないだろうか。
茅沼静馬さん(@Rohan_books)は過去にXに投稿した嫌いな食べ物を振り返りながら、今でも嫌いなものと平気になった食べ物を詳しく書いている。茅沼さんの場合、触感がポイントのようで、触感によって好きか嫌いかが分かれるらしい。またのどに詰まらせたのがトラウマで食べられないものも。嫌な記憶と結びついているものは避けがちになるのは判る。
私も子供の頃に鰻重を食べて(多分、スーパーとかで安く売ってたものだと思う)骨がのどに引っかかってから苦手なものとして口にしてなかったのだか、近年になってうなぎ屋さんの鰻重を食べてみて「鰻の骨って全然気にならないものなんだ!」と感動した。まあ値段も良かったので、それなりの処理がされてたり、質の良い鰻だったのだろうが。こうして鰻は克服したものの、年齢的に今度は脂がきつくてあまり食べたいものではなくなったけれど……。
また茅沼さんは食べ過ぎてかえって嫌いになってしまった食べ物があると書いていた。これも判る。
私もダイエット目的でシリアルの「オールブラン」を毎朝食べていた時期があるのだが、食べ過ぎたせいで今では箱を見るのもちょっと嫌だったりする。ちなみにオールブランは特別美味しいものではなく、ネットでは「鳥の餌」と揶揄されるような代物。見た目も確かに鳥の餌っぽく、たっぷりの食物繊維が売りなので本当にそのままでは美味しくないのだ。私は無糖のヨーグルトをかけて食べていたけれど、もし美味しく食べるならベリー系のフルーツやバナナを添えると良いのかもしれない……と今書きながら思った。
茅沼さんが嫌いなものにあげている「レバーやモツなどよく分からない部分」などは私は好奇心でかえって食べてみたくなるタイプだったりします。
岡村直さん(@Nao0000Okamura)が嫌いなものはずばりバーベキュー。岡村さんいわく「バーベキューは陽キャの食べ物だから」だそうで。
バーベキューといえばパリピな音楽を流しながら皆でわいわいがやがややる感じがあるし、実際そういうものだと思う。なので「バーベキューは陽キャの食べ物」というのはとても良く判る。
私も自他ともに認める陰キャ、根暗、コミュ障の三重苦の人間だが、そういう人間がバーベキューに参加するとどうなるか。食べ物を焼く係になるか、ひっそりとマイペースに食べているかのどちらかになる。基本的に私の場合、焼く係になることが多くて、食べるより焼いている時間の方が長い。でも焼く係になると「バーベキューに参加してます」感があるし、なにより独りでポツンと孤立してる感じがなくなるので、おすすめ。あとずっと焼き係をやっていると「ちゃんと食べてる?」「もっと食べなよ!」と気まで遣ってもらえるので役得である(と考えている私は多分、腹黒い)。
バーベキューや焼き肉、鍋など、皆で一緒に食べる食べ物はその人の性格が出るので、人間観察をするのも楽しい場である。たまに遭遇するのが、他の人の分を考えずに自分が食べたいだけ食べまくる人。こういう人を見ると「他者に気を遣えない自己中な人」と思ってちょっと距離を置いてしまう。本当はそんなことないのかもしれないが、食べ方は無意識の癖が出るので、あながち間違いでもないのかな、と思っている。
幻ノ月音さん(@moon61226676)が苦手なものはドーナツらしい。ドーナツは脂肪と糖の塊なので、なかなかの甘味の暴力である。月音さんは胃があまり強くないらしく、ドーナツはヘヴィすぎて受け付けないそう。日常的に食卓に並ぶような食べ物ではないけれど、「差し入れ」として選ばれる率が高いのがドーナツ。ドーナツは色んな種類があるし、ケーキほど畏まった感じがないので手軽さから選ばれやすいのも頷ける。自分ひとりだったら避けられても「差し入れ」として受け取ってしまったら、結構困ってしまう……というのが月音さんの悩みだそうで、原稿を読みながら私も昔似たようなことがあったなあと思い出した。
こう見えて(どう見えて?)10代の頃は甘いものが苦手で、殆ど食べなかったのだが、ある時レストランに外食した時、私が注文したものと違ったものを出されてしまって、そのお詫びに甘いデザートをサービスしてくれたことがあったのだ。そんな理由だったから残すわけにもいかず、頑張って食べた記憶がある。
そして私があの頃、甘いものが苦手だったのは味がどうとか胃の調子が悪くなるからとか、そういう理由ではなく、「女の子っぽいから」だった。これは書くと長くなるのでまた別の記事として書くけれど、とにかく「女の子」であることを嫌悪していた私は「女の子は甘いものが好き」というステレオタイプなイメージから逃れたくて必死だったのだ。今は甘いものは好きだし。普通に食べる。ドーナツではフレンチクルーラーが大好きです。
遺愛さん(@SZ3qra)の嫌いなものはイチゴ。遺愛さんの文章を読んでいると、確かにイチゴって結構見た目がグロテスクかも……と思った。イチゴの表面にある粒々、細かい謎の毛。見れば見るほどちょっと「うっ」てなる。見た目で損している食べ物って結構あるように思う。
私が一番に思い浮かべるのは栃木の郷土料理の「しもつかれ」。鮭や酒粕、にんじんなどの和え物なのだが、見た目がちょっとアレなのである(気になる方は画像検索してみてね)。
末っ子が小学校にあがった時に、保護者も一緒に給食を食べる機会があったのだが、その時初めて「しもつかれ」なるものを食べた。「しもつかれ」は各家庭の味があるらしく、その地域の人にはお馴染みの食べ物のようだが、私はあんまり美味しいとは思わなかった。見た目もちょっとアレだし(しもつかれ好きな人、ごめんなさい)。
逆に見た目が良くても食べてみたらいまいちだった、ということもある。
これは私の妹のエピソードだが、彼女が小学生の頃、給食にオクラが出たらしい。オクラを輪切りにすると断面が星型になるが、その星形のオクラを見て「すごい!星の形してる!きっとすごく美味しいに違いない!」と思った妹が期待に胸を膨らませてオクラを一口。しかし思ったような味ではなかったので、一気にオクラが嫌いになったそうな。何だか微笑ましい話である。
寄稿された原稿を読み返しながらつらつらと書いてみたが、いかがだっただろうか。人によって嫌いな食べ物は様々で、それに付随するエピソードはどれも興味深い。
もしよかったらコメントなどであなたの「嫌いな食べ物」も聞かせてください。