読書記録
緑茶/J・S・レ・ファニュ
2025/09/20 22:57海外文学

緑茶/J・S・レ・ファニュ/BOOKS桜鈴堂
『カーミラ』と並ぶレ・ファニュの代表作。
敬虔なジェニングス牧師には、誰にも言えない一つの悩みがあった。彼はとあるパーティーで出会った”形而上医師”マルティン・ヘッセリウス博士にその悩みを打ち明ける。ジェニングス牧師が頭を悩ましているのは穢らわしく、邪悪な黒い猿の幻覚だった。黒い猿は赤く目を光らせて牧師に纏わりつき、時には死ねと命じる。現代で考えれば、牧師の症状は統合失調症などによる幻覚・幻聴だろうが、本作でははっきりと病名は明示されていない。
結局ヘッセリウス博士は彼を救うことはできず、病の原因は牧師が愛飲していた緑茶に含まれる刺激物が躁状態を引き起こし……と説明しているが、少し疑問に思わなくもない。
それはともかくも、幻覚を体験している身としては牧師が感じていた恐怖は何となく判る部分もあり、ぞっとしない。
