読書記録

ガーデン/千早茜

2025/06/20 17:53
日本文学
design
ガーデン/千早茜/文藝春秋

植物を偏愛する雑誌編集者の羽野は生身の女性と上手く関係が築けない。好意を寄せられるのに皆、最後は彼の元を去っていく。彼の考えや生き方全てに共感はできないものの、自己完結していることはそんなに悪いことなのだろうか?と私は思ってしまう。
寧ろここに登場する女性達の結婚願望や誰かに依存して寄りかかっていたい気持ちの方が不可解だ。確かに時として孤独感や寂しさを抱えきれずに、誰かに傍にいて欲しい時もあるだろうが、私個人としてはべたべたとした柵が苦手な方なので羽野の在り方は何となく判るし、面倒に感じて避けてしまう気持ちも理解できる。
ただ羽野の植物を愛する気持ちは突き詰めて考えていくと、自己完結という枠を飛び越えて、相手の意志を尊重しない、気持ちを汲むことをしない、という傍若無人な支配欲があるように思う。
物語の終盤、緋奈に指弾される場面は読んでいてどきりとさせられる。
人は誰しも自分の中に庭を持っているんだと思う。その庭に誰を入れるか、何をどこまで見せるのか、意識的または無意識的に選択しているのだと思う。羽野は誰一人入れなかった庭を理沙子が去ったことでようやく解放する気になったのだ。
密林のように鬱蒼と茂る庭。そこに何があるのか、実は本人にすら判らないのかもしれない。

コメント

[ ログインして送信 ]

名前
コメント内容
削除用パスワード ※空欄可