読書記録
読み手に届く文章技術/石黒圭
2025/06/17 19:41新書

読み手に届く文章技術/石黒圭/ちくまプリマー新書
タイトルが気になったので電子書籍でサクッと読了。
差分(書き手と読み手の知識の差)、構成(整理の行き届いた文章構成)、視点(共感できる視点の設定)、根拠(主張を支える根拠の選定)、定義(前提となるキーワードの定義)、引用(信頼できる典拠の引用)、推薦(AIを用いた適切な推敲)、設計(初対面の相手のための情報設計)、配慮(読み手の印象への配慮)の9に分けてどうすれば読み手に言いたいことが伝わるかを解説。
中でも改めて大事だなと思ったのは「再現性」。説明書でも料理のレシピでも、小説であっても読み手がそれを読んで書いてある通りに再現できるかどうか。説明書はそれを読んで物を操作したり組み立てられるか、レシピはそれを読んでちきんと料理が仕上がるか、小説はそれを読んで頭の中で映像が浮かぶか。私は小説を書いてるので、やはり読み手に「読んでその場面が浮かぶ」というのは良い文章の1つなんだなと。
またAIの活用について実際に著者が使用した例も記載。AIにXにポストした文章を修正や推敲をさせたころ、きちんと修正されているところもあれば、直しすぎてたり、修正されていないところもあって、もしAIに文章の推敲を任せたとしても100%修正はできないんだなと判った。
著者はAIの活用については一から書かせることは良しとせず(そうすると最早自分が書いたものではなくなる、一般論に陥って書き手の個性がなくなる、書くこと考えることなのでAIに全てを任せると思考力が落ちてしまうからなどを理由にあげていた)部分的に、推敲や修正に使う程度が望ましいと結論付けていた。個人的にはそれも使いどころはビジネス文書が限度だと思っていて、創作物にはたとえ推敲程度でも使用しない方が良いのではと思っている。
「配慮」の項目では差別用語が入っている生物学名(メクラネズミなど)について、それをそのまま使用するべきか、それとも改名すべきか、それぞれの立場から論じる文章を掲載。言葉は不特定多数に届くものだからこそ、細心の注意と配慮が必要だけれど、それが「言葉狩り」になってしまうのも問題。
本書は文章技術の本だが、言葉を適切に扱うにはどうしたら良いか?というより根源的な問いも含んでいるように感じた。
