読書記録
Iの物語/ガエターヌ
2025/06/01 18:29海外文学

Iの物語/ガエターヌ/白亜書房
ポーリーヌ・レアージュ「O嬢の物語」と対をなす覆面作家によるサドマゾ文学。
本作の珍しい点は男性が女性に徹底的に虐げられる部分。美青年Iはカフェで非常に美しい女性・ガエターヌに誘われて快楽の館へ連れて行かれる。
そこで繰り広げられるのは通常の性愛からは激しく逸脱した痛苦と汚辱の性の饗宴だった。
美青年Iは体の自由を奪われ女達に鞭打たれ、彼女達の欲望を満たすだけのオブジェと化す。彼の肉体に与えられる痛みは凄まじく、最早拷問とも言えるレベル。しかし快楽の館で女達の奴隷となった男達が最も恐れたのは肉体的な痛みや死ではなく、女達から無視されること。飽きた玩具のように捨てられることを恐れている様は男達の、美青年Iの歪まされた心理が見えるようだ。
終盤の豪奢な晩餐のシーンが本作のハイライトだと思うが、こんなに食欲がそそられない場面もないのでは。
文体は比較的あっさりしているが、その分読み手の想像力を刺激する余白があるので痛いのや汚物系が苦手な人は読まない方が良いかもしれない。
個人的には大変楽しく読みました。
「O嬢の物語」も再読したい。
