読書記録
バビロンの吸血鬼 戦前日本モダンホラー傑作選/会津信吾 編
2025/05/15 14:43日本文学

バビロンの吸血鬼 戦前日本モダンホラー傑作選/会津信吾/創元推理文庫
タイトル通り、戦前の頃に発表されたホラー小説のアンソロジー。当時人気を博していた雑誌「新青年」以外に掲載されていた作品ばかりを集めた本作は現代では忘れ去られた作家が大半を占めている。また経歴が不明な書き手も多い。
現代では知られてはい作家ばかりとはいえ、内容は超一級品。奇想天外なストーリーは幻想怪奇小説が好きな私としては垂涎物。何となくオチが予想できるものもあるが、それでも全て楽しく読んだ。
甲乙つけがたいが、病気を恐れるあまり「病気になる前に無くても生きていけるところは全部取ってしまおう!」と愛娘の体にメスを入れまくって最後は手足はおろか、目も鼻もない状態にしてしまう高田義一郎の「疾病の脅威」、家族が残した暗号を解いて秘密の部屋を知ってしまったが最後、悲劇的な結末を迎える十菱愛彦の「青銅の燭台」がとても良かった。「青銅の燭台」は文体も非常に好みで、十菱愛彦の他の作品も読んでみたい。
「疾病の脅威」はユーモア小説に分類されて全集に収録されているようだが、グロテスク・ホラーも行き過ぎれば笑いになるというところが一番のホラーかも知れない。