読書記録

私たちはなぜ狂わずにいるのか/春日武彦

2025/03/13 14:50
日本文学
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私たちはなぜ狂わずにいるのか/春日武彦/新潮OH!文庫

精神科医である著者が「人は果たして本当に狂うことはできるのか?」を命題に実際の症例を引き合いに出しながら綴ったエッセイ。
結論から言うと本当の意味で(文学や映画にみられるようなステレオタイプの狂人)狂うのは不可能だということだ。一時的に言動がおかしくなることはあるにしろ、それは本人の状況や環境に対する反応でしかなく、周囲の状況が変わればあっさり正常に戻る。
個人差はあるが人の精神とはそう簡単に壊れたりしないし、想像以上にフレシキブルだそう。
「狂気は我々から隔たりゆえに関心を引きつけるのではない、むしろ誇張・生々しさ・露骨さ・独善性・キッチュといった形で我々の心に通底したものを感知させるからこそ、目を逸らし難い存在なのである。」
「狂人にとって狂気を患っているとはどのようなことなのか――その臨場感へ想像を巡らせたとき、患者が自らの精神内界の変容を納得するためのシナリオである「狂気の物語」は、荒唐無稽な内容よりもむしろ苦悩の表徴として存在理由を持ってくるだろう。そこにこそ、「狂気の物語」の価値はある。」
「狂気」とは、常人が持つイメージよりずっと切実で、それなくしては生きられない杖なのだ。

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