読書記録
空気の名前/アルベルト・ルイ=サンチェス
2026/10/03 17:33海外文学

空気の名前/アルベルト・ルイ=サンチェス
モロッコの海辺の架空の町が舞台。
窓から水平線ばかりを眺めて暮らす若い娘ファトマ。彼女の謎めいた眼差しを町の人々が解釈し、意味を与え、欲望や感情を投影し、噂が噂を呼んで様々な思いが交錯する。ただファトマの周りの空気だけが揺らがずに静かだ。
そんなファトマを変えたのはハンマーム(公衆浴場)で出会ったカディヤだった。ファトマはもう一度会いたいと彼女を探すが、遂に再会せずに終わる。
話の筋らしい筋はなく、ファトマの内側やその周辺を散文詩のように繊細な言葉で描いてみせた本作は捉えがたい透明な空気を捕まえて描いた緻密なモザイク画のようだ。