読書記録
無のまなざし/ジョゼ・ルイス・ペイショット
2026/05/07 18:16海外文学

無のまなざし/ジョゼ・ルイス・ペイショット
ポルトガル文学の鬼才、ジョゼ・ルイス・ペイショットの初長編。
一切の会話文を省いた本作は同じ言葉・文章を意図的に繰り返すことで螺旋階段をのぼるように進んでいく。タイトルの「無のまなざし」とは対照的に登場人物達の心の裡や風景を眺める眼差しは執拗かつ過剰に描かれており、その眼差しは実存を突き抜けて逆説的に死や沈黙すらも浮き彫りにし、描写されていく。
村人達を掻き乱し、結婚式を取り仕切る「悪魔」とは一体何者なのか、考えながら読んだけれど個人的な解釈としては言葉通りの悪の存在、人々の秘密を見通し婚姻の儀式を行う性質から神のような超然とした存在(ある意味で村や町の人間ではないアウトサイダー)なのではないかと考えたけれど、どうだろうか。
この作品もストーリーを味わうというより、複雑な構造を持つ文章を楽しむ本と捉えた方が良さそう。個人的に文章がとても好みだったので他の作品も読みたい。
