読書記録
春の画の館/金井美恵子
2026/01/06 15:02日本文学

春の画の館/金井美恵子
主の名もわからない不思議な館にはこの上なく純潔な少年少女たちが飼われている。彼らはメイドたちの監督下で、日夜みだらで残酷な光景を展開させているーー。
ガラス箱の処刑具、大人を鞭打つ少年少女たち、1年の間11ヶ月は妊娠を強いられる12人のメイドたち、放埓かと思えば館に身をおく者たちは酷く禁欲的だ。館全体を縛る規律は血の鎖である。メイドや少年少女たちが流すその血の。
館で繰り広げられている性の饗宴は残忍であるのに、読んでいると硝子板を一枚隔てたような、どこかお伽噺めいた雰囲気に気付かされる。或いは全てが何かの宗教儀式のようだ。
性と生と死。春の画の館は絶え間なくその3つが循環している。館そのものが「主」となって君臨しているのだ。
