読書記録
黄泥街/残雪
2025/11/08 19:19海外文学

黄泥街/残雪/白水社
黄泥街は狭く長い一本の通りだ。空から真っ黒な灰が降り、人々が捨てたごみが溢れる街で、物は腐り、動物はやたらに気が狂う――中国のカフカと呼ばれる残雪の処女作。なんだかとんでもないものを読んでしまった気がする。
溢れる汚物、堆積するごみ、あちらこちらにある死体、無数の蝿やゴキブリ、夥しい蝙蝠、気が狂う猫や犬達、噛み合わない会話と姦しい人々の描写は生きながら腐っていくよう。
この物語の主人公は黄泥街であり、話の筋らしいものが明確にはない。混沌とした世界は一読では理解できないが、しかし私達が生きる世界は本作のように「分からなさ」から出来ており、一見するとクリーン見えても見えないところで汚物やごみ、死に塗れているはずで、それをそのまま論理的かつ整合性を求められる文章にしてしまうのは凄いと思う。
「分かりやすい」ことが良しとされる世の中で残雪の「分からなさ」は異質であるものの、だからこそ強烈に惹き付けられる。凄い作品だった。
