読書記録

女の子の背骨/市川沙央

2025/11/05 18:38
日本文学
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女の子の背骨/市川沙央/文藝春秋

表題作他中編の「オフィーリア23号」収録。
「オフィーリア23号」は性差別主義者の哲学者オットー・ヴァインニンガーの生まれ変わりだと信じる女性が主人公。恋人が主催する劇団で三島由紀夫の「憂国」のポルノを撮影して配信しようとする話。色々なメタファーが散りばめられているので、一筋縄ではいかない物語だが、面白く読んだ。主人公がミソジニー、保守的な思想を持っているのは、もしかしたら「差別はいけない」「弱者には優しく」という綺麗事や偽善を目の当たりにし続けた著者の反動なのかもしれない。主人公の思想が分かる部分もあるが、読みながら反発も覚えてしまい大分消耗した。オットーの「性と性格」は一度きちんと読んでみたいなと思った(読みながら怒り狂いそうだが)。
表題作の「女の子の背骨」は難病の姉を持つ妹の話。彼女も側弯症という病気を抱えており、この設定は著者自身を反映だろう。内容的には「子供から見た大人の世界」とでも言おうか。躰を自由に動かせない姉と躰の自由が利く妹の対比は読んでいて居心地が悪くなってしまう。その自意識は無意識的に私自身が難病者をそうとは知らず、差別しているからに他ならない。もう少し言葉を変えると彼女を哀れんでいるわけだけど、この傲慢さと不躾な感情に自分で腹が立ってしまう。
どちらの物語も「差別」ということを考えさせられる。個人的には「オフィーリア23号」が好き。

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