読書記録
肉は美し/アグスティナ・バステリカ
2025/11/03 17:27海外文学

肉は美し/アグスティナ・バステリカ/河出書房新社
近未来のアルゼンチンが舞台。世界規模で動物に致死性のウイルスが蔓延し、人間への感染が疑われたためにあらゆる動物が殺戮された。人は動物性タンパク質を求め、ついには共食いが始まり、各国政府はそれを止めるべく、人間の家畜化および人肉食を合法化。人間が人間を家畜として管理し、屠殺し、少しでも「人間味」を消しさろうと専用用語すら使って食す――酷くおぞましく、狂気に満ちた世界は今はまだフィクションとして捉えられるものの、人口増加、地球環境が年々厳しくなっていく昨今を思うといつか本当に人が人を食べる世界がやってきてしまうのではないかと考えずにはいられない。
良く良く考えてみれば、現在流通している精肉も本書で描かれるような屠殺処理をされているわけで、種が違う、食べる必要があるという理由で幾らでも残酷になれる人間の方がおかしいのではないかと思ってしまう。
また人々の政府への不信感も巧みに描かれている点なども現在と酷似している。
人肉処理工場で管理職を務める主人公が最後に取った行動はある意味正しいのかもしれないが、やはり狂気の沙汰だと思う。
本書を読むと人間が人間たらしめている部分がどこにあるのか、条件が揃えば人間はいかようにも残酷になれることを改めて感じた。とても面白かったです。最高。
