読書記録
誘拐/ガブリエル・ガルシア=マルケス
2025/11/02 22:59海外文学

誘拐/ガブリエル・ガルシア=マルケス/角川春樹事務所
1990年代初頭、麻薬王パブロ・エスコバルが外国への麻薬犯罪者らの引き渡しをしないという条件を認めさせるために多数のジャーナリストを誘拐した事件をベースにしたルポルタージュ作品。エスコバルの指図で有名ジャーナリストが誘拐され人質の肉親が大統領に協力を求め、必死の救出が行われる。内容が内容なだけに冒頭から終盤までの緊迫感が凄まじい。
複雑に絡んだコロンビアの政治情勢を理解するのがやや大変だったけれど、どこまでも明晰な筆致は流石はマルケス。元々ジャーナリストなだけはある。
常に死の恐怖に怯えながらの数ヶ月から半年にも及ぶ過酷な人質の生活は想像を絶する。人質の家族達の苦悩や人質解放に向けて動く政局の有様は読んでいて苦しくなる。
エスコバルを最終的に説得できたのが神父というのが意外だし、犯人側の人間達の苦しい出自も垣間見えてやはり貧困や恵まれない境遇が犯罪の入口になってしまうのだなと悲しくも感じた。
