雨宿りdiary
打ちのめされるような凄い本
2025/01/21 21:13雑記
これまで読んできた本で「なんか凄いものを読んでしまった」と思った作品を紹介。
①沈黙/遠藤周作
丁度映画化する時に気になって読んだ本。キリシタンの弾圧を描いた作品なんだけど、この本を読んだ時に神とは果たして何か?を初めてまともに考えた気がする。神はいるものではなく、常に己の内側にあるものであることも、この本を読んで気付いた。
そんなに長い話じゃないし、複雑なストーリー展開があるわけじゃないんだけど、とにかく凄い。神は悲劇を前にして何故沈黙しているのか?それを問うた遠藤周作は凄い。
ちなみに遠藤周作の名作、「海と毒薬」は私が実家から家出した時に読んでた本で、この本を手にしながら電車に乗って「親が追いかけてきて連れ戻されるんじゃないか」ってずっと不安だった思い出があります。不安をどうにかしたくて縋るように「海と毒薬」を読んでました。家出は無事に成功。3日後に親から電話きて出るの怖くて親友に電話出て貰った思い出よ……。
②姑獲鳥の夏/京極夏彦
ここでも書いてたかもしれないけど、私はこの本を読んで読書の面白さと、いかに自分が物を知らないかを思い知りました@15歳の頃。
喘息の発作が酷くて暫く学校休んでた時に当時の友人がお見舞いにきてくれて、その時に貸してくれた本でした。読み切るのに1ヶ月くらいかかったけど、とにかく面白かったし、作中で展開される蘊蓄に圧倒されました。この本との出会いで読書沼にズブズブと沈んでいったのでした。その後、お年玉握りしめて京極夏彦の本を大人買いしました。
京極夏彦の本はとにかく分厚いし、その厚さで手に取るのを避けちゃう人もいるけど、めちゃくちゃ面白いので、未読な人はぜひ。百鬼夜行シリーズでは「絡新婦の理」が好きです。キャラクターでは木場さんが好き。
③人間失格/太宰治
奇しくも私と同じ誕生日の作家ということで勝手に親近感を覚えているのですが「人間失格」を読んだ時に「これは私のことが書いてある!」と思うくらい衝撃を受けました。今読み返すと葉蔵の自意識過剰さが痛々しくてちょっとしんどいだけど、でも間違いなく若い頃はこの本を読んで救われました。
世間が狂ってるのか自分がおかしいのか、寧ろ狂わずに生きるなんて無理じゃない?とか、変なこと考えたりしたけど、でも正気で生きるには世間は(現実は)厳しすぎるな、と今でも思ってます。葉蔵はある意味、あまりにも正気だったために傷付きすぎて廃人になっちゃったんだと思います。だから強かに生きようとするなら、正気を捨ててある程度狂ってないと無理だなあと思うわけです。正論や理屈が通らない現実において、正気のままじゃそりゃおかしくなりますわ。
④カラマーゾフの兄弟/ドストエフスキー
新潮文庫版で読破しました。いやもう、凄いの一言です(語彙力消失)。父親殺しの犯人は誰か?っていうのが主題ではあるんだけど、そこに人間の持つあらゆる感情が描かれていて、人間ってこんなにも矛盾が多い生き物なのかって改めて認識しました。なのでドストエフスキーを読んでから自作の小説でもキャラが矛盾した言動を取っていても、落とし所さえあれば全然OKというスタンスで書くようになりました。
ドストエフスキーの作品は他にも「罪と罰」「白痴」「賭博者」「虐げられた人々」「地下室の手記」「白夜」なんかも読んでるけどどれか一つ選ぶならやっぱり「カラマーゾフの兄弟」かな。ドストエフスキーの長編は長いし、登場人物の名前を覚えるのが大変だけど、読み切った時の達成感は凄いし、暫く他の本が読めなくなります。読んでも物足りなく感じてしまう。
「悪霊」「未成年」も長年積んでるからそろそろ読まねば……。
⑤杳子/古井由吉
この作品は言葉にするのが難しいんだけど、読んだ時に自分の内側が外へ滲み出してどんどん現実とズレていく、そして最後また外にはみ出したものが自分の中へ収斂していく……そんな感想というか、感覚を覚えました。こう書くと全然感想になってないけど。いやでもほんとに凄いんですよ。これはぜひ読んで体験して欲しい。全く新しい世界が見えてきます。古井由吉の本はそんなに読めてないからこれから色々読んでいきたい。
⑥灯台へ/ヴァージニア・ウルフ
最近新潮文庫版で新訳が出ましたね。私は岩波文庫で読了したんですけど、ヴァージニア・ウルフすげー!と思いました。所謂「意識の流れ」を書いた作品(というか、そういう様式)なんだけど、登場人物それぞれの心理描写が複雑に絡み合ってるんだけど、でも読むと全然混乱することなく読めてしまう。翻訳が良いのもあるんだろうけど、ウルフの文章自体がきちんと整理されてるんだと思う。ある一点から外へ拡散し、そしてまたある一点に収斂していく。そんな文章なんだけど、こういう文章自分でも書いてみたいなあって思いました。なかなか難しいけど。
⑦誘惑者/高橋たか子
ここでも度々取り上げてる作品ですが、とにかく好きの一言に尽きます。実際の事件を元にした作品で、自殺志願者と自殺幇助者の話です。実際の事件については「完全自殺マニュアル」にも載ってます。
この作品の何が凄いかって言うと、作品全体の異様な緊迫感。文章も凄く鋭くて鋭利なナイフみたい。読み終わるまで気が抜けません。本書を読むと人の行動って本当に些細なことで決まるんだなって思うし、自殺という行為は何か人を変に酔わせるものがあるなと思ったりします。久々に読み返そうかな。
とりあえず今回は7冊紹介しました。
まだ他にもあるので、そのうちパート2を書きます。
①沈黙/遠藤周作
丁度映画化する時に気になって読んだ本。キリシタンの弾圧を描いた作品なんだけど、この本を読んだ時に神とは果たして何か?を初めてまともに考えた気がする。神はいるものではなく、常に己の内側にあるものであることも、この本を読んで気付いた。
そんなに長い話じゃないし、複雑なストーリー展開があるわけじゃないんだけど、とにかく凄い。神は悲劇を前にして何故沈黙しているのか?それを問うた遠藤周作は凄い。
ちなみに遠藤周作の名作、「海と毒薬」は私が実家から家出した時に読んでた本で、この本を手にしながら電車に乗って「親が追いかけてきて連れ戻されるんじゃないか」ってずっと不安だった思い出があります。不安をどうにかしたくて縋るように「海と毒薬」を読んでました。家出は無事に成功。3日後に親から電話きて出るの怖くて親友に電話出て貰った思い出よ……。
②姑獲鳥の夏/京極夏彦
ここでも書いてたかもしれないけど、私はこの本を読んで読書の面白さと、いかに自分が物を知らないかを思い知りました@15歳の頃。
喘息の発作が酷くて暫く学校休んでた時に当時の友人がお見舞いにきてくれて、その時に貸してくれた本でした。読み切るのに1ヶ月くらいかかったけど、とにかく面白かったし、作中で展開される蘊蓄に圧倒されました。この本との出会いで読書沼にズブズブと沈んでいったのでした。その後、お年玉握りしめて京極夏彦の本を大人買いしました。
京極夏彦の本はとにかく分厚いし、その厚さで手に取るのを避けちゃう人もいるけど、めちゃくちゃ面白いので、未読な人はぜひ。百鬼夜行シリーズでは「絡新婦の理」が好きです。キャラクターでは木場さんが好き。
③人間失格/太宰治
奇しくも私と同じ誕生日の作家ということで勝手に親近感を覚えているのですが「人間失格」を読んだ時に「これは私のことが書いてある!」と思うくらい衝撃を受けました。今読み返すと葉蔵の自意識過剰さが痛々しくてちょっとしんどいだけど、でも間違いなく若い頃はこの本を読んで救われました。
世間が狂ってるのか自分がおかしいのか、寧ろ狂わずに生きるなんて無理じゃない?とか、変なこと考えたりしたけど、でも正気で生きるには世間は(現実は)厳しすぎるな、と今でも思ってます。葉蔵はある意味、あまりにも正気だったために傷付きすぎて廃人になっちゃったんだと思います。だから強かに生きようとするなら、正気を捨ててある程度狂ってないと無理だなあと思うわけです。正論や理屈が通らない現実において、正気のままじゃそりゃおかしくなりますわ。
④カラマーゾフの兄弟/ドストエフスキー
新潮文庫版で読破しました。いやもう、凄いの一言です(語彙力消失)。父親殺しの犯人は誰か?っていうのが主題ではあるんだけど、そこに人間の持つあらゆる感情が描かれていて、人間ってこんなにも矛盾が多い生き物なのかって改めて認識しました。なのでドストエフスキーを読んでから自作の小説でもキャラが矛盾した言動を取っていても、落とし所さえあれば全然OKというスタンスで書くようになりました。
ドストエフスキーの作品は他にも「罪と罰」「白痴」「賭博者」「虐げられた人々」「地下室の手記」「白夜」なんかも読んでるけどどれか一つ選ぶならやっぱり「カラマーゾフの兄弟」かな。ドストエフスキーの長編は長いし、登場人物の名前を覚えるのが大変だけど、読み切った時の達成感は凄いし、暫く他の本が読めなくなります。読んでも物足りなく感じてしまう。
「悪霊」「未成年」も長年積んでるからそろそろ読まねば……。
⑤杳子/古井由吉
この作品は言葉にするのが難しいんだけど、読んだ時に自分の内側が外へ滲み出してどんどん現実とズレていく、そして最後また外にはみ出したものが自分の中へ収斂していく……そんな感想というか、感覚を覚えました。こう書くと全然感想になってないけど。いやでもほんとに凄いんですよ。これはぜひ読んで体験して欲しい。全く新しい世界が見えてきます。古井由吉の本はそんなに読めてないからこれから色々読んでいきたい。
⑥灯台へ/ヴァージニア・ウルフ
最近新潮文庫版で新訳が出ましたね。私は岩波文庫で読了したんですけど、ヴァージニア・ウルフすげー!と思いました。所謂「意識の流れ」を書いた作品(というか、そういう様式)なんだけど、登場人物それぞれの心理描写が複雑に絡み合ってるんだけど、でも読むと全然混乱することなく読めてしまう。翻訳が良いのもあるんだろうけど、ウルフの文章自体がきちんと整理されてるんだと思う。ある一点から外へ拡散し、そしてまたある一点に収斂していく。そんな文章なんだけど、こういう文章自分でも書いてみたいなあって思いました。なかなか難しいけど。
⑦誘惑者/高橋たか子
ここでも度々取り上げてる作品ですが、とにかく好きの一言に尽きます。実際の事件を元にした作品で、自殺志願者と自殺幇助者の話です。実際の事件については「完全自殺マニュアル」にも載ってます。
この作品の何が凄いかって言うと、作品全体の異様な緊迫感。文章も凄く鋭くて鋭利なナイフみたい。読み終わるまで気が抜けません。本書を読むと人の行動って本当に些細なことで決まるんだなって思うし、自殺という行為は何か人を変に酔わせるものがあるなと思ったりします。久々に読み返そうかな。
とりあえず今回は7冊紹介しました。
まだ他にもあるので、そのうちパート2を書きます。
追記
コラロのネップリ、お手に取ってくださり、ありがとうございます〜!😊🙏✨プリント実績見て、思ったより印刷されてたのでびっくりしました。また感想もありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです🥰💕
全文公開は明日以降に行いますので、少しお待ちくださいませ🙇♀️
全文公開は明日以降に行いますので、少しお待ちくださいませ🙇♀️