国太SS

病める心臓

彼に微笑みかける度に、私の心臓は激しく痛む。何時か潰れて破れてしまいそうな程に。この痛みはどうしたら已むのだろう。彼を想うことを捨てたら良いのだろうか。でも私はきっと彼を愛することを止められやしない。恋情を捨て去ることは、私の裡にある彼を喪うことだから。私に厳しくも優しくしてくれた彼を、笑いかけてくれた彼を、私のために彼がしてくれたささやかな親切さえ。
望みのない恋。
どんなに胸が痛くても、この心臓が潰れても、私はそれでも彼を愛するだろう。これからも国木田君を想って深夜に独り、泣くのだ。

(了)
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