国太SS

まだ、知らない

姿が見えなければあちらこちらと探し回り、川に流れていれば掬い上げ、碌に飯を食っていなければ作って食わせる。財布を入水で失くしたからと飯や酒を奢ることも屡々だ。
時々何故そこまでして太宰の面倒を見ているのか自分でも解らなくなる。いい大人なのだから放っておけば良いものを。だか妙に気になるのだ。
彼奴が同僚だから?
相棒だから?
大切な仲間であることには変わりはないが、それにしては些か情が勝ち過ぎているように思う。これは一体、どう云う感情なのだろう?
俺はまだ、その名前を知らずにいる。

(了)
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