400字小説
カメラ・オブスキュラ(一次創作)
カメラの前に立つ。フラッシュが閃いて視界が白く弾け飛ぶ。眩しい。けれど表情を変えてはいけない。私はなんでもないように優美に微笑んでみせる。皆が求め、欲しがる笑顔、表情。判りやすい媚態。反吐が出る。
連続してシャッターが切られて瞬くフラッシュはストロボと化す。私は次々にポージングを変え、様々な笑みを浮かべ、静止する時間の中へ閉じ込められていく。瞬間瞬間、私は切り取られ、切り刻まれて、複製されていく。増殖していく。
写真を撮られる度に私の中から私が抜け落ちて空っぽになっていく。虚ろになっていく。
皆が好きなのは生身の私ではなく、印画紙に写った私。化粧と豪奢な衣装で完璧に整えられた私。体温もなく匂いもない、何が嬉しくて笑っているのか判らない私。まるで白痴。
シャッターを切る音が私の躰を傷付ける。手足を捥がれて躰がばらばらになる。それでも微笑するブラッディ・クイーン。なんて残酷。
ほら、笑って。
最期まで。
カメラの前に立つ。フラッシュが閃いて視界が白く弾け飛ぶ。眩しい。けれど表情を変えてはいけない。私はなんでもないように優美に微笑んでみせる。皆が求め、欲しがる笑顔、表情。判りやすい媚態。反吐が出る。
連続してシャッターが切られて瞬くフラッシュはストロボと化す。私は次々にポージングを変え、様々な笑みを浮かべ、静止する時間の中へ閉じ込められていく。瞬間瞬間、私は切り取られ、切り刻まれて、複製されていく。増殖していく。
写真を撮られる度に私の中から私が抜け落ちて空っぽになっていく。虚ろになっていく。
皆が好きなのは生身の私ではなく、印画紙に写った私。化粧と豪奢な衣装で完璧に整えられた私。体温もなく匂いもない、何が嬉しくて笑っているのか判らない私。まるで白痴。
シャッターを切る音が私の躰を傷付ける。手足を捥がれて躰がばらばらになる。それでも微笑するブラッディ・クイーン。なんて残酷。
ほら、笑って。
最期まで。