400字小説
秒読み(コラロ)
天性のドジっ子であるコラさんはいつもみたいに何も無いところで躓いてすっ転んだ。おれを巻き込んで。普段なら「悪ィ、ロー! 大丈夫か!?」慌てて身を起こして土下座でもするんじゃないかっていう勢いで謝るのに今日は違った。
おれを押し倒す形で転んだコラさんがいつになく真剣な面持ちでじっとこちらを見詰めてくるものだから、おれは動けなくなってしまった。
大きな手が頬に触れ、頤を掴む。この人の手はこんなに熱かっただろうか。濡れた柘榴色の瞳が近付いてきて息が触れ合う。途端に心臓が大きく跳ねた。ルージュの引かれていない唇に釘付けになる。
これって、もしかして。
「……コラさん、」
期待と緊張に心臓が引き攣れて声まで慄えてしまった。すると目の前の大好きな人はあやすように淡く微笑して、もう片方の手で半端に脱げかけたおれの帽子の鍔を押し上げる。
まだちゃんとコラさんに好きだと打ち明けてないのに。でもまあ、良いか。キスが先でも。
天性のドジっ子であるコラさんはいつもみたいに何も無いところで躓いてすっ転んだ。おれを巻き込んで。普段なら「悪ィ、ロー! 大丈夫か!?」慌てて身を起こして土下座でもするんじゃないかっていう勢いで謝るのに今日は違った。
おれを押し倒す形で転んだコラさんがいつになく真剣な面持ちでじっとこちらを見詰めてくるものだから、おれは動けなくなってしまった。
大きな手が頬に触れ、頤を掴む。この人の手はこんなに熱かっただろうか。濡れた柘榴色の瞳が近付いてきて息が触れ合う。途端に心臓が大きく跳ねた。ルージュの引かれていない唇に釘付けになる。
これって、もしかして。
「……コラさん、」
期待と緊張に心臓が引き攣れて声まで慄えてしまった。すると目の前の大好きな人はあやすように淡く微笑して、もう片方の手で半端に脱げかけたおれの帽子の鍔を押し上げる。
まだちゃんとコラさんに好きだと打ち明けてないのに。でもまあ、良いか。キスが先でも。