400字小説
待ち望む
雨の中、光忠と大倶利伽羅は傘をさして並んで歩く。買い出しの帰りである。天候のせいか往来に人影は殆どない。
せっかく二人きりだというのに傘と抱えた荷物で両手が塞がっているため手を繋ぐことすら叶わない。それを残念に思っていると「明日俺は非番だ」ぼそりと呟く声がした。光忠は少し傘を持ち上げて隣を見遣るが大倶利伽羅の表情は傘に隠れて窺い知れない。しかし彼の言葉の意味は判った。
伽羅ちゃんこっち向いて――声をかけるとひょいと傘下から愛しい人の顔が覗いた。何かを言いかける唇へ光忠は口付ける。
「おい光忠」
こんな場所で何するんだと金色の双眸が非難する。が、光忠は介さず「伽羅ちゃんの方から誘ってくれたのが嬉しくてつい」微笑みかけると大倶利伽羅はふんと鼻を鳴らした。
「夕飯の片付けは早く終わらせるよ」
「遅かったら先に寝るからな」
そう言っていつも待ってるくせに――光忠は小さく笑う。伽羅ちゃんは本当に可愛い。
「早く夜にならないかなあ」
光忠の独白に大倶利伽羅は傘の下で密かに頷くのだった。
雨の中、光忠と大倶利伽羅は傘をさして並んで歩く。買い出しの帰りである。天候のせいか往来に人影は殆どない。
せっかく二人きりだというのに傘と抱えた荷物で両手が塞がっているため手を繋ぐことすら叶わない。それを残念に思っていると「明日俺は非番だ」ぼそりと呟く声がした。光忠は少し傘を持ち上げて隣を見遣るが大倶利伽羅の表情は傘に隠れて窺い知れない。しかし彼の言葉の意味は判った。
伽羅ちゃんこっち向いて――声をかけるとひょいと傘下から愛しい人の顔が覗いた。何かを言いかける唇へ光忠は口付ける。
「おい光忠」
こんな場所で何するんだと金色の双眸が非難する。が、光忠は介さず「伽羅ちゃんの方から誘ってくれたのが嬉しくてつい」微笑みかけると大倶利伽羅はふんと鼻を鳴らした。
「夕飯の片付けは早く終わらせるよ」
「遅かったら先に寝るからな」
そう言っていつも待ってるくせに――光忠は小さく笑う。伽羅ちゃんは本当に可愛い。
「早く夜にならないかなあ」
光忠の独白に大倶利伽羅は傘の下で密かに頷くのだった。