呟き
千鳥足と帰る/銀時
2025/08/28 10:04坂田銀時
「ちょっと銀さん、しっかり歩いてくださいよ」
「なんだよ、歩いてるだろォ」
重たくて、ふらふらと真っ直ぐ歩かない身体を支えながら歩を進める。千鳥足の酔っ払いを介抱するのがこんなに大変だなんて思わなかった。
たまたま通りかかった居.酒屋の前で、かなり酔っている銀さんに出くわし、絡まれ、気つけば万事屋まで彼を送ることになっていた。
「ほら、帰ってきましたよ」
明かりの消えた万事屋に入る。和室って布団敷かれてるのかな。もう、ソファに転がしておけばいいか。
「銀さん、水持ってくるのでそこ座っててください」
「あー、はいはい」
「え、わっ……!!」
朧気な返事をする彼をソファに座らせようと、彼の身体から離れようとした瞬間、ちゃんと立ててなかったらしい、銀さんと一緒に床に倒れ込むことになった。
「……重」
打ち付けた背中に、じんわりと痛みが広がる。頭を打たなかったのは運が良かった。私に伸し掛る銀髪が重すぎることの方が問題だ。丁度、彼の肩から顔が出せるのも運が良かった。押し潰されていたら抜け出すのも難しいだろう。
「銀さーん、起きて」
声をかけると彼は、私の顔の横に手を置き上半身を起こした。少し息がしやすくなる。
「あ?なんで、オメーがここに……」
「なんでって、酔っ払いが送れ送れってうるさいから」
「……フーン」
暗い室内でも、私を見下ろす銀さんの顔は不思議と良く見えた。
さっきまでふらふらの酔っ払いだったのに、目が変わった、気がする。
「分かったら、早くどけてください」
ぐっと胸板を押してみるけど微動だにしない。なんで退けてくれないんだ。下半身はに未だ彼の体重が乗っているせいで自力での脱出は無理なのに。
「……会いてェって思ってた」
「え?」
彼の手の甲が私の頬を撫でる。アルコールのせいか熱くて、でも気持ちいい。
銀の顔が近づく。気がつけば、胸板を押していた私の手は力が抜けていた。
肩口に彼の頭が落ちる。首に銀髪が当たってくすぐったい。
「夢じゃねーよな、オメーがここにいるの」
「うん、いますよ。夢じゃないです」
縋るような声色に銀髪を撫でて応える。
ここ数日会えない日が続いていた。存外、寂しがり屋なんだ、この人は。きっと、私以上に。
ドサッと上半身が横に倒れる。
「銀さん…?」
返ってくるのは元気ないびきだけ。どうやら眠気が限界に来ていたらしい。
今更だけど、こういうのって立場逆なんじゃないか。酔っ払ったヒロインに迫られて、なんやかんやヒロインは寸前のところで寝落ちする。
そのヒロインポジの男は気持ちよさそうに眠っている。上は自由になったし、鎖骨ラインに乗った腕だって、地味に絡んでいる足だってどけられる。少し考えて、銀さんの胸元に顔を埋める。一緒に寝てしまおう。
敷布団は床、掛け布団は無し。最悪ともいえる就寝環境に今日だけ特別なものに感じた。
「なんだよ、歩いてるだろォ」
重たくて、ふらふらと真っ直ぐ歩かない身体を支えながら歩を進める。千鳥足の酔っ払いを介抱するのがこんなに大変だなんて思わなかった。
たまたま通りかかった居.酒屋の前で、かなり酔っている銀さんに出くわし、絡まれ、気つけば万事屋まで彼を送ることになっていた。
「ほら、帰ってきましたよ」
明かりの消えた万事屋に入る。和室って布団敷かれてるのかな。もう、ソファに転がしておけばいいか。
「銀さん、水持ってくるのでそこ座っててください」
「あー、はいはい」
「え、わっ……!!」
朧気な返事をする彼をソファに座らせようと、彼の身体から離れようとした瞬間、ちゃんと立ててなかったらしい、銀さんと一緒に床に倒れ込むことになった。
「……重」
打ち付けた背中に、じんわりと痛みが広がる。頭を打たなかったのは運が良かった。私に伸し掛る銀髪が重すぎることの方が問題だ。丁度、彼の肩から顔が出せるのも運が良かった。押し潰されていたら抜け出すのも難しいだろう。
「銀さーん、起きて」
声をかけると彼は、私の顔の横に手を置き上半身を起こした。少し息がしやすくなる。
「あ?なんで、オメーがここに……」
「なんでって、酔っ払いが送れ送れってうるさいから」
「……フーン」
暗い室内でも、私を見下ろす銀さんの顔は不思議と良く見えた。
さっきまでふらふらの酔っ払いだったのに、目が変わった、気がする。
「分かったら、早くどけてください」
ぐっと胸板を押してみるけど微動だにしない。なんで退けてくれないんだ。下半身はに未だ彼の体重が乗っているせいで自力での脱出は無理なのに。
「……会いてェって思ってた」
「え?」
彼の手の甲が私の頬を撫でる。アルコールのせいか熱くて、でも気持ちいい。
銀の顔が近づく。気がつけば、胸板を押していた私の手は力が抜けていた。
肩口に彼の頭が落ちる。首に銀髪が当たってくすぐったい。
「夢じゃねーよな、オメーがここにいるの」
「うん、いますよ。夢じゃないです」
縋るような声色に銀髪を撫でて応える。
ここ数日会えない日が続いていた。存外、寂しがり屋なんだ、この人は。きっと、私以上に。
ドサッと上半身が横に倒れる。
「銀さん…?」
返ってくるのは元気ないびきだけ。どうやら眠気が限界に来ていたらしい。
今更だけど、こういうのって立場逆なんじゃないか。酔っ払ったヒロインに迫られて、なんやかんやヒロインは寸前のところで寝落ちする。
そのヒロインポジの男は気持ちよさそうに眠っている。上は自由になったし、鎖骨ラインに乗った腕だって、地味に絡んでいる足だってどけられる。少し考えて、銀さんの胸元に顔を埋める。一緒に寝てしまおう。
敷布団は床、掛け布団は無し。最悪ともいえる就寝環境に今日だけ特別なものに感じた。
