沖田総悟
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
先日、真選組の方達に助けてもらったお礼をと、店長と氷菓を配達にやってきた。
お礼もそこそこに次の配達があるからと言う店長の車を見送って、私は氷菓用の配達クーラーボックスが返ってくるまで、休憩がてら真選組内で待たせて貰うことにした。
中身が無くなれば歩いて持って帰れるくらいの重さになるからだ。
冷房が利いた室内で待っていたらいいと言われたけど、すぐに返ってくるだろうと断ったのが運の尽き。
誰がどの味を食べるか争っているらしく、返却される気配が全く無い。
せめて溶けないように仕込んでいた、大きい保冷剤は取り出しておくべきだった。断った手前、室内に戻るのもなんだか気が引ける。
蝉が鳴き、風も雲も、ひとつない青空の下。私の口から出るのはこの言葉しか無い。
「暑い、暑すぎる」
日陰を求め、真選組屯所内に生えている木の下に座り込む。低木の間から見える縁側は、座っているとさんさんとした日が当たり、溶けそうになったので諦めた。
もう少し気温が下がって、風が吹けば縁側、気持ちいいのにな。
少し前に沖田くんと並んでスイカをいただいたのを思い出した。そんな彼は隣で木にもたれかかって、棒付きの氷菓を食べている。
「言葉にされるともっと暑くなるんで、やめてもらえませんかねェ」
「暑すぎてそれ以外、口から出なくなりました」
「なら、さっさと部屋に戻るなりなんなりすりゃいいのに。馬鹿どもの争いに巻き込まれても知らねェけど」
「一回断ってるんで気が引けるんですよ。……沖田くんこそ、無理せず中に戻ってもいいんですよ?」
気がついた時には氷菓を片手に隣にいたけど、沖田くんが外にいる必要は本来なら無い。
さっきから首筋に流れる汗や額に滲む汗が見え隠れして、彼も暑いのだと察する。
「無理なんてしてねェ。あんな中、戻ったら更に暑くなるだけなんで、アンタと日陰にいた方がよっぽどいい」
「無理してないならいいんです。……私、ちょっと期待してました」
「何を?」
「配達に行ったら、沖田くんと会えるかなって」
「はっ、なんでェ、それ」
シャリッと氷が砕ける音が聞こえた。上を見上げると、そっぽを向いて、氷菓をくわえる沖田くんの耳が赤くなっているような気がする。
夏真っ盛りの今はお店が忙しく、なかなか沖田くんと会える時間が取れなかった。
ふらっと、巡回中と沖田くんが顔を見せてくれることもあったけど、それでも多く話したりすることは出来なかった。
店長が配達に行くと言った時、ちょっとでも会えるならと、真っ先に立候補した。
「ふたりっきりでいられるなんて、更にラッキーです」
「……あの馬鹿どもでも役に立つことがあるんで」
沖田くんが目の前の部屋を指した瞬間、喧騒とともに襖が吹き飛んだ。数人の隊士たちが廊下になだれ込み、更に何人かが縁側から落ちていった。
「ま、余計暑くなっちまってますが」
「ですね……」
続けて土方さんの怒声が聞こえたあたりで、体感温度が更に上がった気がする。決して土方さんが悪いという訳ではないけど、喧騒の熱気がここまで届くみたいだ。
ふと沖田くんを見上げる。手元の赤い氷菓は半分程になっていた。ぼんやり食べ進める姿を眺めていると、丸い、赤い瞳と目が合った。
「なんでェ、ナマエ。その欲しがってる目は」
「え!?どどどういう意味で!?」
咄嗟に視線を逸らした私の影と隣の沖田くんの影とくっつく。
「どういう意味って……ほら、これを欲しがってたんじゃねェんですか」
しゃがんで同じ目線になった沖田くんは、食べかけの氷菓を私に向けた。
「違います!それに、それ沖田くんが食べてたやつで」
「せっかく分けてやるって言ってんのに……。あ、もしかして、間接キスだ、とか考えてます?」
「そんなこと……!」
間接キスは初めてって訳じゃない。でも沖田くん相手だとどうしても意識してしまって、体温が上がる。
「ンなこと気にしてないで、さっさと食ってくれねェと、溶けちまいますぜ。勿体ねェ」
ポタポタと溶けた氷が土に吸い込まれていくのは確かに勿体ない。
沖田くんの善意を無駄にしちゃダメだ。そう言い聞かせて、ひとくち齧る。
氷菓が当たった唇は冷たくて、口の中の冷たい氷も温度を急激に下げてくれる気がする。喉を通る感覚も気持ちいい。
「美味しいですかい」
「美味しい、です」
「分けてやったお礼、ちゃーんと、もらわねーとな」
なに、と言う暇なく、唇を塞がれる。冷たいと感じた程の唇は、ほんのり熱い沖田くんの体温が移ったようだ。
「冷えてンな、ナマエ」
「……もう冷たくないよ」
「ヘェ。なら、確かめねェといけやせんな」
シャリっと最後の一口が彼の口に消えた。
2025/7/16
お礼もそこそこに次の配達があるからと言う店長の車を見送って、私は氷菓用の配達クーラーボックスが返ってくるまで、休憩がてら真選組内で待たせて貰うことにした。
中身が無くなれば歩いて持って帰れるくらいの重さになるからだ。
冷房が利いた室内で待っていたらいいと言われたけど、すぐに返ってくるだろうと断ったのが運の尽き。
誰がどの味を食べるか争っているらしく、返却される気配が全く無い。
せめて溶けないように仕込んでいた、大きい保冷剤は取り出しておくべきだった。断った手前、室内に戻るのもなんだか気が引ける。
蝉が鳴き、風も雲も、ひとつない青空の下。私の口から出るのはこの言葉しか無い。
「暑い、暑すぎる」
日陰を求め、真選組屯所内に生えている木の下に座り込む。低木の間から見える縁側は、座っているとさんさんとした日が当たり、溶けそうになったので諦めた。
もう少し気温が下がって、風が吹けば縁側、気持ちいいのにな。
少し前に沖田くんと並んでスイカをいただいたのを思い出した。そんな彼は隣で木にもたれかかって、棒付きの氷菓を食べている。
「言葉にされるともっと暑くなるんで、やめてもらえませんかねェ」
「暑すぎてそれ以外、口から出なくなりました」
「なら、さっさと部屋に戻るなりなんなりすりゃいいのに。馬鹿どもの争いに巻き込まれても知らねェけど」
「一回断ってるんで気が引けるんですよ。……沖田くんこそ、無理せず中に戻ってもいいんですよ?」
気がついた時には氷菓を片手に隣にいたけど、沖田くんが外にいる必要は本来なら無い。
さっきから首筋に流れる汗や額に滲む汗が見え隠れして、彼も暑いのだと察する。
「無理なんてしてねェ。あんな中、戻ったら更に暑くなるだけなんで、アンタと日陰にいた方がよっぽどいい」
「無理してないならいいんです。……私、ちょっと期待してました」
「何を?」
「配達に行ったら、沖田くんと会えるかなって」
「はっ、なんでェ、それ」
シャリッと氷が砕ける音が聞こえた。上を見上げると、そっぽを向いて、氷菓をくわえる沖田くんの耳が赤くなっているような気がする。
夏真っ盛りの今はお店が忙しく、なかなか沖田くんと会える時間が取れなかった。
ふらっと、巡回中と沖田くんが顔を見せてくれることもあったけど、それでも多く話したりすることは出来なかった。
店長が配達に行くと言った時、ちょっとでも会えるならと、真っ先に立候補した。
「ふたりっきりでいられるなんて、更にラッキーです」
「……あの馬鹿どもでも役に立つことがあるんで」
沖田くんが目の前の部屋を指した瞬間、喧騒とともに襖が吹き飛んだ。数人の隊士たちが廊下になだれ込み、更に何人かが縁側から落ちていった。
「ま、余計暑くなっちまってますが」
「ですね……」
続けて土方さんの怒声が聞こえたあたりで、体感温度が更に上がった気がする。決して土方さんが悪いという訳ではないけど、喧騒の熱気がここまで届くみたいだ。
ふと沖田くんを見上げる。手元の赤い氷菓は半分程になっていた。ぼんやり食べ進める姿を眺めていると、丸い、赤い瞳と目が合った。
「なんでェ、ナマエ。その欲しがってる目は」
「え!?どどどういう意味で!?」
咄嗟に視線を逸らした私の影と隣の沖田くんの影とくっつく。
「どういう意味って……ほら、これを欲しがってたんじゃねェんですか」
しゃがんで同じ目線になった沖田くんは、食べかけの氷菓を私に向けた。
「違います!それに、それ沖田くんが食べてたやつで」
「せっかく分けてやるって言ってんのに……。あ、もしかして、間接キスだ、とか考えてます?」
「そんなこと……!」
間接キスは初めてって訳じゃない。でも沖田くん相手だとどうしても意識してしまって、体温が上がる。
「ンなこと気にしてないで、さっさと食ってくれねェと、溶けちまいますぜ。勿体ねェ」
ポタポタと溶けた氷が土に吸い込まれていくのは確かに勿体ない。
沖田くんの善意を無駄にしちゃダメだ。そう言い聞かせて、ひとくち齧る。
氷菓が当たった唇は冷たくて、口の中の冷たい氷も温度を急激に下げてくれる気がする。喉を通る感覚も気持ちいい。
「美味しいですかい」
「美味しい、です」
「分けてやったお礼、ちゃーんと、もらわねーとな」
なに、と言う暇なく、唇を塞がれる。冷たいと感じた程の唇は、ほんのり熱い沖田くんの体温が移ったようだ。
「冷えてンな、ナマエ」
「……もう冷たくないよ」
「ヘェ。なら、確かめねェといけやせんな」
シャリっと最後の一口が彼の口に消えた。
2025/7/16