坂田銀時
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家を出る前には無かった戸の前に、黄色に染まった細い葉が何枚も落ちている。
出かけている間に吹いた風で葉が落ちたのかな。上を見ると穏やかな陽が、丸みを帯びた赤い葉を照らしていた。
それとも、いつも突然やってくる来客だろうか。戸に手をかけると、すんなりと開いた。
脱ぎ散らかされた黒いブーツが来客があることを教えてくれる。畳張りの居間を覗くと、予想通りの男が頬杖をつきテレビを見ていた。
「銀時、いらっしゃい」
「邪魔してるぜ」
机の上のいちご牛乳の傍らには、以前渡した合鍵が置いてある。気軽に使ってくれるのは嬉しい。
団子を包んだ風呂敷を机の上に置いて気がついた。ふわふわとした銀時の髪に、見覚えのある黄色い葉が落ち着いている。当の本人は気がついていないようで、私の座るスペースをつくるように横に寄った。
「葉っぱ、ついてるよ」
白髪の天然パーマへ手を伸ばす。銀時は文句を言いたげな目を向けてきたけど、大人しく私の手を受け入れた。毛を引っ張らないように気をつけながら葉を取る。
「はい、取れたよ」
茎とつながる部分を指先で持って、くるくると回して見せた。
「銀時って昔から葉っぱくっつけてたよね。この時期はよく葉っぱといたから、覚えてるんだ」
今よりもっと幼い頃、何度も頭に大量の葉っぱをつけて私の前に現れたことを思い出す。彼のことだから、最初は偶然で途中から計画的につけてきてた可能性が高い。
「実はわざと付けてきてたりして」
「ンなガキみてぇな真似しねーよ」
「へぇ? ……ガキの頃ならしてた?」
「……すっ、するわけねェだろ。つか何? ガキの頃の話して、忘れたいイヤーな記憶掘り起こすプチ同窓会でもしましょうってか?」
目どころか顔ごと逸らした辺り図星だと見た。やっぱり、幼い頃のもさもさの頭はわざとだったらしい。
「そこまで言ってないよ。ていうか、銀時」
「なんだよ」
今の銀時がバツの悪そうな顔をしているのが少し面白い。記憶の中にある小生意気な顔は、ひとつも悪びれていないというのに。なんなら、葉っぱを取った後は嬉しそうに笑っていた。……いや、それは記憶の誇張かもしれない。
「忘れたいイヤーな記憶だったの?」
「……あァ、今すぐにでも消し去りたいね。その時の行動理由もなにもかも」
「ふうん」
にやにやと口角が上がる。成人済みの男性に言うことではないかもしれないけど、可愛いところもあるもんだ。つまりは、構って欲しかったのか、自分を見て欲しかったのか、その辺の理由でやってたんだろう。本人がそこまでは口にしないので、勝手な予想だけど。
銀時は忘れてるかもしれないけど、私の似たような行動をした覚えがあるのでお互い様だ。
「ったく、ヅラといいナマエといい、付き合いが無駄に長ぇとやりづらいな」
頭をガシガシと掻き、いちご牛乳を飲む横顔は、言葉ほど不機嫌な感じはしない。
「でも、おかげで銀時の好みは把握してるよ? 家に来るタイミングもなんとなくね」
風呂敷を開くと、中からツヤツヤしたタレのかかった団子と、カラフルな団子のお目見えだ。
「ま、悪くねーな」
「そうでしょ」
「じゃ、俺もナマエがおやつを買ってくることも、なんとなく予想できるってわけだ」
トンっと机の上に出てきたのは、無くなりかけてたほうじ茶の新品の缶。無くなりかけてる話は確かにしたけど、おやつの時のお供にしているのを話したのは結構前だったはず。
「いいね」
「だろ?」
団子の準備頼むな、と台所に向かう背中を目で追う。準備も何も、パックを開くくらいだ。お茶の準備をしに行ってくれたんだ。客人にさせることじゃない。後できちんとお礼を言わないといけない。でも、銀時の入れてくれるお茶って自分で入れるより美味しい気がして好き。
お湯を沸かし始めた音を聞きながら、葉っぱをくるくると回した。
2025.12.18
出かけている間に吹いた風で葉が落ちたのかな。上を見ると穏やかな陽が、丸みを帯びた赤い葉を照らしていた。
それとも、いつも突然やってくる来客だろうか。戸に手をかけると、すんなりと開いた。
脱ぎ散らかされた黒いブーツが来客があることを教えてくれる。畳張りの居間を覗くと、予想通りの男が頬杖をつきテレビを見ていた。
「銀時、いらっしゃい」
「邪魔してるぜ」
机の上のいちご牛乳の傍らには、以前渡した合鍵が置いてある。気軽に使ってくれるのは嬉しい。
団子を包んだ風呂敷を机の上に置いて気がついた。ふわふわとした銀時の髪に、見覚えのある黄色い葉が落ち着いている。当の本人は気がついていないようで、私の座るスペースをつくるように横に寄った。
「葉っぱ、ついてるよ」
白髪の天然パーマへ手を伸ばす。銀時は文句を言いたげな目を向けてきたけど、大人しく私の手を受け入れた。毛を引っ張らないように気をつけながら葉を取る。
「はい、取れたよ」
茎とつながる部分を指先で持って、くるくると回して見せた。
「銀時って昔から葉っぱくっつけてたよね。この時期はよく葉っぱといたから、覚えてるんだ」
今よりもっと幼い頃、何度も頭に大量の葉っぱをつけて私の前に現れたことを思い出す。彼のことだから、最初は偶然で途中から計画的につけてきてた可能性が高い。
「実はわざと付けてきてたりして」
「ンなガキみてぇな真似しねーよ」
「へぇ? ……ガキの頃ならしてた?」
「……すっ、するわけねェだろ。つか何? ガキの頃の話して、忘れたいイヤーな記憶掘り起こすプチ同窓会でもしましょうってか?」
目どころか顔ごと逸らした辺り図星だと見た。やっぱり、幼い頃のもさもさの頭はわざとだったらしい。
「そこまで言ってないよ。ていうか、銀時」
「なんだよ」
今の銀時がバツの悪そうな顔をしているのが少し面白い。記憶の中にある小生意気な顔は、ひとつも悪びれていないというのに。なんなら、葉っぱを取った後は嬉しそうに笑っていた。……いや、それは記憶の誇張かもしれない。
「忘れたいイヤーな記憶だったの?」
「……あァ、今すぐにでも消し去りたいね。その時の行動理由もなにもかも」
「ふうん」
にやにやと口角が上がる。成人済みの男性に言うことではないかもしれないけど、可愛いところもあるもんだ。つまりは、構って欲しかったのか、自分を見て欲しかったのか、その辺の理由でやってたんだろう。本人がそこまでは口にしないので、勝手な予想だけど。
銀時は忘れてるかもしれないけど、私の似たような行動をした覚えがあるのでお互い様だ。
「ったく、ヅラといいナマエといい、付き合いが無駄に長ぇとやりづらいな」
頭をガシガシと掻き、いちご牛乳を飲む横顔は、言葉ほど不機嫌な感じはしない。
「でも、おかげで銀時の好みは把握してるよ? 家に来るタイミングもなんとなくね」
風呂敷を開くと、中からツヤツヤしたタレのかかった団子と、カラフルな団子のお目見えだ。
「ま、悪くねーな」
「そうでしょ」
「じゃ、俺もナマエがおやつを買ってくることも、なんとなく予想できるってわけだ」
トンっと机の上に出てきたのは、無くなりかけてたほうじ茶の新品の缶。無くなりかけてる話は確かにしたけど、おやつの時のお供にしているのを話したのは結構前だったはず。
「いいね」
「だろ?」
団子の準備頼むな、と台所に向かう背中を目で追う。準備も何も、パックを開くくらいだ。お茶の準備をしに行ってくれたんだ。客人にさせることじゃない。後できちんとお礼を言わないといけない。でも、銀時の入れてくれるお茶って自分で入れるより美味しい気がして好き。
お湯を沸かし始めた音を聞きながら、葉っぱをくるくると回した。
2025.12.18