女子
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かぶき町を照らす夕日が眩しい。疲れた身体に滲みる日差しに、何か癒しはないかとアテもなく道を歩く。真っ直ぐ家に変えるのもなんだか寂しく、かと言って急に友人に連絡するのも迷惑かなぁと思ってしまう。
ここに来たのは、雑多な風景を眺めていれば寂しさも少しはマシになるから。もう少しして日が落ちれば賑やかな景色になる。
夕日に負けず劣らず輝き出した提灯の光に誘われるように、出先に出ているオススメメニューに立ち止まる。ちょっとだけ呑もうかな。
「ナマエちゃん?なにしてるアルか?」
「神楽ちゃん!」
後ろから聞き馴染みのある声が聞こえて振り返る。そこには友人の神楽ちゃんがいつもの傘を差して、酢昆布を食べながら立っていた。
ほっと心に柔らかい光が灯った。いつでも元気な神楽ちゃんを見ると、勝手に元気が湧いてくる。
「仕事で疲れたから、ご飯でも食べようかなって思ってたの」
「疲れてるアルか?それなら、もっとイイものがアルネ」
「もっとイイもの……?」
「着いてきてヨ」
白い手に私の手が捕まる。ウキウキとした空気を纏う神楽ちゃんが言うイイものが気になって、二人並んで夜の喧騒に向かう道を歩くことにした。
「これ、銀ちゃんにはナイショヨ」
目の前にどデカいプリン。それと空の皿にスプーンが二本。いたずらっ子の笑みが隣に座った。
「銀ちゃんに内緒……?まさか、それ……」
坂田さんのだったりするのだろうか。プリンの蓋を躊躇なく剥がす神楽ちゃんに聞いてみる。
「銀ちゃんのネ」
「やっぱり」
皿の上にプリンがひっくり返って、カラメル色の底が見える。端の方にあるトンガリがひどく魅力的に見えた。
「いいの?怒らない?それに、そろそろ帰ってくるんじゃ……」
人のものを食べるということと、その人がもう少しで帰ってくるんじゃないか。ワクワクした心にブレーキがかかる。
「名前書いてないし、前に私のプリン食べられたからおあいこネ。それに男どもは今日帰り遅いって言ってたヨ。……知ったからには、ナマエちゃんも共犯アル」
ニヤッと笑った神楽ちゃんにお皿ごと渡され、思わず受け取る。蓋を剥がし、始めたのが神楽ちゃんなら、プッチンして後戻り出来なくするのは私の役目ってことか。
帰りが遅くなるなら、食べた終わった後、散歩がてら神楽ちゃんと買いに行こう。目の前のプリンの誘惑に勝てる人なんてそうそういない。
坂田さん、ごめんなさい、いただきます。心の中で手を合わせて、トンガリに指を添え、一思いに倒す。小さな穴が空いて、綺麗に皿に落ちた。この瞬間は何回やってもワクワクする。
容器を外して、甘い香りを漂わせる黄色と茶色の山に向き合う。
「美味しい!」
口に入れた瞬間、ミルクと練乳の優しい甘さが広がり、卵の濃厚さが舌の上で幸せな味が広がる。疲れも無くなっていくようだ。
「幸せアル。ヒトの金で食べるご飯が一番美味しいって言うネ」
「……良い言葉知ってるね」
顔を見合わせてニッと笑い合う。
ふたりで食べ進めていると、ガラガラっと扉が開く音と、こちらに向かってくる足音が聞こえてきた。坂田さんと新八くんが帰ってきたんだ。遅くなるはずでは。
思わず神楽ちゃんを見るけど、ケロッとした顔でプリンを食べている。口に含んでいた甘いプリンが喉を通った。
「ただいま、神楽ちゃん。あ、ナマエさんも、こんにちは」
「おかえりヨー」
「おかえりなさい、お邪魔してます」
「よォ、ナマエ来てたのか。ってオイィィィィ!それ、俺のプリンじゃねーか!?何食ってんの!?」
入って一歩で気づいた坂田さんに、円陣を組むように神楽ちゃんと私の肩をそれぞれ掴まれる。そして、前後に揺らされた。
「銀さん、プリン一個で大人気ないですよ」
どうどう、と止めてくれた新八くんに感謝だ。ぐらぐらと揺れる頭の中を落ち着かせている間に、早くも復活した神楽ちゃんは坂田さんから顔を背けた。
「銀ちゃんも前に私のプリン食べたからおあいこネ」
「その後ちゃんと新しく買ってやっただろ!糖分摂取して疲れた体を癒そうと思ったのによォ」
正面のソファに座った坂田さんは、ため息と共にそんな事をもらす。同じ目的だったために良心がズキズキと傷んできた。
「ごめんなさい、すぐに同じプリン買ってきます!あ、でもちょっと残ってますから、買ってくるまではこれで勘弁してください!」
神楽ちゃんと二人分け合った皿を銀さんに差し出す。
「ちょっとって、スプーン一口分もないよね?皿の上かき集めても、スプーンの先っちょに残りカスみたいな量しかないよね!?
「まあまあ、買ってきてくれるって言ってくれてますし、今はいちご牛乳で我慢してくださいよ」
「食い物の恨みが一番怖ぇんだぞ……今度、新八のがなくなってても知らねぇからな」
「僕関係ないですよね!?」
「グダグダうるさい大人アル。このプリンの容器くらいデッカイ器持てよ」
「その容器でも結構小さくない?」
「誰の器が小さいって?」
ドタバタな空間に思わず笑ってしまう。笑うと疲労感なんて無くなる。ひとしきり笑ったあと、隣からじっと見られていたことに気づいた。
「神楽ちゃん?」
「やっぱりナマエちゃんは笑ってる顔が一番ネ」
「……ありがとう」
さっき出会った時には上手く笑えてなかったみたいだ。今度は良い顔だと思って貰えてるかな。晴れ晴れとした笑みの彼女に、不要な心配はもう掛けたくない。
「それじゃあ、プリン買ってきますね」
「おーおー買ってこい。ついでに定春のえさも頼んだ」
「アンタ、なにお客さんにうちの買い物頼んでんですか」
「良いだろ。ついでだ、ついで。神楽、着いていってやれよ」
「言われなくても着いていくネ」
「それじゃあ、行こ、神楽ちゃん」
坂田さん、わざわざ神楽ちゃんと行く口実をくれたのかな。私は定春くんの好きなドッグフードは知らないし、大きな体だから食べる量も相当多いだろうから、ひとりで運ぶのは難しそうだ。プリンだけだとお礼には足りないだろう。しばらくは困らないくらいの甘味は必要だろうか。
万事屋を出て、今度は神楽ちゃんの手を私が捕まえる。彼女といれば、どんな場所でも楽しくて幸せな気持ちになることは間違いないから。
2025.11.6
ここに来たのは、雑多な風景を眺めていれば寂しさも少しはマシになるから。もう少しして日が落ちれば賑やかな景色になる。
夕日に負けず劣らず輝き出した提灯の光に誘われるように、出先に出ているオススメメニューに立ち止まる。ちょっとだけ呑もうかな。
「ナマエちゃん?なにしてるアルか?」
「神楽ちゃん!」
後ろから聞き馴染みのある声が聞こえて振り返る。そこには友人の神楽ちゃんがいつもの傘を差して、酢昆布を食べながら立っていた。
ほっと心に柔らかい光が灯った。いつでも元気な神楽ちゃんを見ると、勝手に元気が湧いてくる。
「仕事で疲れたから、ご飯でも食べようかなって思ってたの」
「疲れてるアルか?それなら、もっとイイものがアルネ」
「もっとイイもの……?」
「着いてきてヨ」
白い手に私の手が捕まる。ウキウキとした空気を纏う神楽ちゃんが言うイイものが気になって、二人並んで夜の喧騒に向かう道を歩くことにした。
「これ、銀ちゃんにはナイショヨ」
目の前にどデカいプリン。それと空の皿にスプーンが二本。いたずらっ子の笑みが隣に座った。
「銀ちゃんに内緒……?まさか、それ……」
坂田さんのだったりするのだろうか。プリンの蓋を躊躇なく剥がす神楽ちゃんに聞いてみる。
「銀ちゃんのネ」
「やっぱり」
皿の上にプリンがひっくり返って、カラメル色の底が見える。端の方にあるトンガリがひどく魅力的に見えた。
「いいの?怒らない?それに、そろそろ帰ってくるんじゃ……」
人のものを食べるということと、その人がもう少しで帰ってくるんじゃないか。ワクワクした心にブレーキがかかる。
「名前書いてないし、前に私のプリン食べられたからおあいこネ。それに男どもは今日帰り遅いって言ってたヨ。……知ったからには、ナマエちゃんも共犯アル」
ニヤッと笑った神楽ちゃんにお皿ごと渡され、思わず受け取る。蓋を剥がし、始めたのが神楽ちゃんなら、プッチンして後戻り出来なくするのは私の役目ってことか。
帰りが遅くなるなら、食べた終わった後、散歩がてら神楽ちゃんと買いに行こう。目の前のプリンの誘惑に勝てる人なんてそうそういない。
坂田さん、ごめんなさい、いただきます。心の中で手を合わせて、トンガリに指を添え、一思いに倒す。小さな穴が空いて、綺麗に皿に落ちた。この瞬間は何回やってもワクワクする。
容器を外して、甘い香りを漂わせる黄色と茶色の山に向き合う。
「美味しい!」
口に入れた瞬間、ミルクと練乳の優しい甘さが広がり、卵の濃厚さが舌の上で幸せな味が広がる。疲れも無くなっていくようだ。
「幸せアル。ヒトの金で食べるご飯が一番美味しいって言うネ」
「……良い言葉知ってるね」
顔を見合わせてニッと笑い合う。
ふたりで食べ進めていると、ガラガラっと扉が開く音と、こちらに向かってくる足音が聞こえてきた。坂田さんと新八くんが帰ってきたんだ。遅くなるはずでは。
思わず神楽ちゃんを見るけど、ケロッとした顔でプリンを食べている。口に含んでいた甘いプリンが喉を通った。
「ただいま、神楽ちゃん。あ、ナマエさんも、こんにちは」
「おかえりヨー」
「おかえりなさい、お邪魔してます」
「よォ、ナマエ来てたのか。ってオイィィィィ!それ、俺のプリンじゃねーか!?何食ってんの!?」
入って一歩で気づいた坂田さんに、円陣を組むように神楽ちゃんと私の肩をそれぞれ掴まれる。そして、前後に揺らされた。
「銀さん、プリン一個で大人気ないですよ」
どうどう、と止めてくれた新八くんに感謝だ。ぐらぐらと揺れる頭の中を落ち着かせている間に、早くも復活した神楽ちゃんは坂田さんから顔を背けた。
「銀ちゃんも前に私のプリン食べたからおあいこネ」
「その後ちゃんと新しく買ってやっただろ!糖分摂取して疲れた体を癒そうと思ったのによォ」
正面のソファに座った坂田さんは、ため息と共にそんな事をもらす。同じ目的だったために良心がズキズキと傷んできた。
「ごめんなさい、すぐに同じプリン買ってきます!あ、でもちょっと残ってますから、買ってくるまではこれで勘弁してください!」
神楽ちゃんと二人分け合った皿を銀さんに差し出す。
「ちょっとって、スプーン一口分もないよね?皿の上かき集めても、スプーンの先っちょに残りカスみたいな量しかないよね!?
「まあまあ、買ってきてくれるって言ってくれてますし、今はいちご牛乳で我慢してくださいよ」
「食い物の恨みが一番怖ぇんだぞ……今度、新八のがなくなってても知らねぇからな」
「僕関係ないですよね!?」
「グダグダうるさい大人アル。このプリンの容器くらいデッカイ器持てよ」
「その容器でも結構小さくない?」
「誰の器が小さいって?」
ドタバタな空間に思わず笑ってしまう。笑うと疲労感なんて無くなる。ひとしきり笑ったあと、隣からじっと見られていたことに気づいた。
「神楽ちゃん?」
「やっぱりナマエちゃんは笑ってる顔が一番ネ」
「……ありがとう」
さっき出会った時には上手く笑えてなかったみたいだ。今度は良い顔だと思って貰えてるかな。晴れ晴れとした笑みの彼女に、不要な心配はもう掛けたくない。
「それじゃあ、プリン買ってきますね」
「おーおー買ってこい。ついでに定春のえさも頼んだ」
「アンタ、なにお客さんにうちの買い物頼んでんですか」
「良いだろ。ついでだ、ついで。神楽、着いていってやれよ」
「言われなくても着いていくネ」
「それじゃあ、行こ、神楽ちゃん」
坂田さん、わざわざ神楽ちゃんと行く口実をくれたのかな。私は定春くんの好きなドッグフードは知らないし、大きな体だから食べる量も相当多いだろうから、ひとりで運ぶのは難しそうだ。プリンだけだとお礼には足りないだろう。しばらくは困らないくらいの甘味は必要だろうか。
万事屋を出て、今度は神楽ちゃんの手を私が捕まえる。彼女といれば、どんな場所でも楽しくて幸せな気持ちになることは間違いないから。
2025.11.6