志村新八
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ふと、目が覚めた。最初に見たのは陽の光を透かす襖。眩しい。湿気をあまり感じない空気に朝が来たのが分かった。
いつもと違う枕と布団の感覚に、ここ、どこと眩しさに目を細めながら考える。回らない頭が少しずつ動き始める。少し離れたところで、私以外の呼吸が聞こえて思い出す。そういえば、神楽ちゃんと志村家に泊まりに来てたんだった。
喉の乾きを感じて身体を起こす。お妙ちゃんは気持ちよさそうに寝ているし、神楽ちゃんは布団からはみ出してこれまた気持ちよさそうに寝ている。神楽ちゃんに布団をかけて、音を立てないように廊下に出た。
ちゅんちゅんと小鳥の鳴き声が高い空に消える。澄んだ空気は秋の訪れを感じさせた。
こんな早い時間に起きたの久しぶりかも。散歩にでも行きたくなるくらい気持ちいい。この空気を吸えるならたまには早く起きてみるのもありだ。
たどり着いた台所で水を一杯もらって、来た道を戻る。普段より早い時間の起床と、喉が潤ったことで少しだけ眠気がやってきた。早く戻って二度寝しよう。
廊下を曲がる直前に、静かな空気を斬る音が聞こえた。ブン、ブン、と力強く鳴る音に惹かれるように足を進める。眠気はうっすらと消えていた。
音を辿った先には恒道館道場があり、開け放たれた扉から中を見ることが出来た。そっと覗くと、ひとり、素振りをする新八くんがいた。
名前を呼ぼうとして、口を閉じる。真っ直ぐ正面を見て、木刀を力強く振り下ろす真剣な横顔を邪魔をしたくない。でも傍で見ていたくなって、静かに道場の中に入り、扉に寄りかかる。
それにも気付かず、木刀を振り続ける彼に少し心配になった。入ったのにも気づかないなんて、よっぽど集中してるんだ。私が悪い人だったらどうするんだ。
素振りを続けていた新八くんが手を止め、手拭いで汗を拭き始めたタイミングで、寄りかかるのをやめて声をかける。
「新八くーん」
「わ!ナマエさん、いつからそこに!?」
「ちょっと前から。新八くんが真剣な顔してたから声かけるタイミングを見失っちゃったの。驚かせてごめんね」
驚いた顔をしながら、こちらに駆け寄ってくる彼は、さっきとは違ってなんだか可愛らしい。
「イヤイヤイヤ!……でも見られてたなんて、なんか、恥ずかしいな。ナマエさんからしたら、そんなに面白いものでもないんじゃないですか?」
「そんなことないよ。だって、かっこいい新八くんを独り占めできてたんだから」
「はっ、エェェェェ!?」
カランッと木刀が落ちた。真っ赤な顔で口をパクパクとさせて動けない彼に代わって、落ちた木刀を拾い上げる。使い古された、でも、きちんと手入れされ、しっかりと存在感のあるこれは私が持つのには重すぎる。
「強くなりたいって目標に向かって一生懸命走る姿、とってもかっこいいよ」
新八くんの手を取る。私より大きくて、手のひらの皮が厚い、頑張っている男の子の手だ。この手に何度助けて貰ったか。しっかりと私の記憶の中にあって、思い出す度にほんの少しの恐怖を吹き飛ばすくらいの安心感をくれた。彼の手に木刀を握らせる。
「しっかり握っておかないと」
「あ……はい」
やっぱり、しっくりくる。戦い続けて欲しい訳じゃない。怪我をしてボロボロになってほしい訳でもない。だけど、私の知っている新八くんだと安心にも似た気持ちになる。
「ナマエさん」
大きく深呼吸をした彼の真っ直ぐな目が私をとらえる。
「僕、もっと強くなります。神楽ちゃんと約束してますし。それに……貴女を護りたい」
「うん、新八くんありがとう」
顔が熱くなる。早朝の冷たい空気が余計熱を実感させた。胸の奥から、ぶわっと愛おしい気持ちが花みたいに咲いたのが分かった。苦しいけど嬉しい。私だって力になりたい。
「私も新八くんを護りたい。一緒に戦ったりは出来ないけど、怪我の手当だったり、ご飯を作ったりは出来るから」
神楽ちゃんや坂田さんみたいに戦える力がある訳じゃない。それでも何か出来ればいいと思っている。
「ありがとうございます。……そこにもうひとつ追加しておいてください」
「え?」
「ナマエさんは僕の戻りたい場所になってます。貴女が元気で笑顔でいてくれれば、そこに絶対戻るって力になります。だから、傍にいてください」
窓から差し込む光が新八くんを照らしている。まるで告白のような言葉。私は力強く頷いた。
2025.9.10
いつもと違う枕と布団の感覚に、ここ、どこと眩しさに目を細めながら考える。回らない頭が少しずつ動き始める。少し離れたところで、私以外の呼吸が聞こえて思い出す。そういえば、神楽ちゃんと志村家に泊まりに来てたんだった。
喉の乾きを感じて身体を起こす。お妙ちゃんは気持ちよさそうに寝ているし、神楽ちゃんは布団からはみ出してこれまた気持ちよさそうに寝ている。神楽ちゃんに布団をかけて、音を立てないように廊下に出た。
ちゅんちゅんと小鳥の鳴き声が高い空に消える。澄んだ空気は秋の訪れを感じさせた。
こんな早い時間に起きたの久しぶりかも。散歩にでも行きたくなるくらい気持ちいい。この空気を吸えるならたまには早く起きてみるのもありだ。
たどり着いた台所で水を一杯もらって、来た道を戻る。普段より早い時間の起床と、喉が潤ったことで少しだけ眠気がやってきた。早く戻って二度寝しよう。
廊下を曲がる直前に、静かな空気を斬る音が聞こえた。ブン、ブン、と力強く鳴る音に惹かれるように足を進める。眠気はうっすらと消えていた。
音を辿った先には恒道館道場があり、開け放たれた扉から中を見ることが出来た。そっと覗くと、ひとり、素振りをする新八くんがいた。
名前を呼ぼうとして、口を閉じる。真っ直ぐ正面を見て、木刀を力強く振り下ろす真剣な横顔を邪魔をしたくない。でも傍で見ていたくなって、静かに道場の中に入り、扉に寄りかかる。
それにも気付かず、木刀を振り続ける彼に少し心配になった。入ったのにも気づかないなんて、よっぽど集中してるんだ。私が悪い人だったらどうするんだ。
素振りを続けていた新八くんが手を止め、手拭いで汗を拭き始めたタイミングで、寄りかかるのをやめて声をかける。
「新八くーん」
「わ!ナマエさん、いつからそこに!?」
「ちょっと前から。新八くんが真剣な顔してたから声かけるタイミングを見失っちゃったの。驚かせてごめんね」
驚いた顔をしながら、こちらに駆け寄ってくる彼は、さっきとは違ってなんだか可愛らしい。
「イヤイヤイヤ!……でも見られてたなんて、なんか、恥ずかしいな。ナマエさんからしたら、そんなに面白いものでもないんじゃないですか?」
「そんなことないよ。だって、かっこいい新八くんを独り占めできてたんだから」
「はっ、エェェェェ!?」
カランッと木刀が落ちた。真っ赤な顔で口をパクパクとさせて動けない彼に代わって、落ちた木刀を拾い上げる。使い古された、でも、きちんと手入れされ、しっかりと存在感のあるこれは私が持つのには重すぎる。
「強くなりたいって目標に向かって一生懸命走る姿、とってもかっこいいよ」
新八くんの手を取る。私より大きくて、手のひらの皮が厚い、頑張っている男の子の手だ。この手に何度助けて貰ったか。しっかりと私の記憶の中にあって、思い出す度にほんの少しの恐怖を吹き飛ばすくらいの安心感をくれた。彼の手に木刀を握らせる。
「しっかり握っておかないと」
「あ……はい」
やっぱり、しっくりくる。戦い続けて欲しい訳じゃない。怪我をしてボロボロになってほしい訳でもない。だけど、私の知っている新八くんだと安心にも似た気持ちになる。
「ナマエさん」
大きく深呼吸をした彼の真っ直ぐな目が私をとらえる。
「僕、もっと強くなります。神楽ちゃんと約束してますし。それに……貴女を護りたい」
「うん、新八くんありがとう」
顔が熱くなる。早朝の冷たい空気が余計熱を実感させた。胸の奥から、ぶわっと愛おしい気持ちが花みたいに咲いたのが分かった。苦しいけど嬉しい。私だって力になりたい。
「私も新八くんを護りたい。一緒に戦ったりは出来ないけど、怪我の手当だったり、ご飯を作ったりは出来るから」
神楽ちゃんや坂田さんみたいに戦える力がある訳じゃない。それでも何か出来ればいいと思っている。
「ありがとうございます。……そこにもうひとつ追加しておいてください」
「え?」
「ナマエさんは僕の戻りたい場所になってます。貴女が元気で笑顔でいてくれれば、そこに絶対戻るって力になります。だから、傍にいてください」
窓から差し込む光が新八くんを照らしている。まるで告白のような言葉。私は力強く頷いた。
2025.9.10